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十字ギツネを追った6年間

撮影風景 旭川を中心に活躍する写真家、神田博さん。
神田さんは2010年5月、キタキツネの撮影中、13匹の子ギツネの中に色の黒く顔にラインのある不思議なキツネが3匹混じっていることに気づきました。

成長と共にオオカミのような容姿になるこのキツネ、旭川動物園の坂東園長に確認したところ「十字ギツネ」と判明しました。さらに森林総合研究所北海道支所によると、「十字ギツネ」はキタキツネの毛色異変で首から背中にかけて、黒い十字模様が表れる形態のキツネ。ユーラシア大陸でも分布しているが生息数は非常に少ない珍しいキツネでした。

それから神田さんは「十字ギツネ」の撮影を始めました。
「十字ギツネ」は普通のキタキツネと違い警戒心が非常に強く、子供のなかでも受乳の順位が低くなかなか成長せず淘汰されてしまいます。「十字ギツネ」の習性や貴重な生態を写真に収めてきました。

残念なことに2015年6月末、母キツネが車に轢かれ命を落としてしまい、神田さんも撮影を終えることになりました。

このページでは、神田さんが「十字ギツネ」を追った6年間の記録をお届けします。

北の動物たち写真家・神田博の世界

6年間の記録

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    撮影1年目。同時期に産まれても強いものが早く受乳する事で体の成長にも差が出てきます。体もキツネ色に変わります。(2009年5月撮影)
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    新住居は河川敷の堤防でした。 (2009年6月撮影)
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    突然子別れが始まり子ギツネを威嚇します。 (2009年6月撮影)
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    無事に成長し体付きも親と変わりません。 (2009年7月撮影)
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    撮影2年目。春の代表的な野草「エゾエンゴサク」が咲くころ巣穴では子ギツネが産まれます。 (2010年5月撮影)

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    どこにでも手のかかる子供はいるのです。 (2010年5月撮影)
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    巣穴が手狭になると子別れまで3度ぐらい引越しをします。 (2010年5月撮影)
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    成長とともに巣穴が狭くなり表に出て授乳が始まります。 (2010年5月撮影)
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    人に馴れていない時は授乳をしているときの警戒心が一番強いです。 (2010年5月撮影)
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    しかし、毎日観察していると授乳時に人が横に居ても無視するようになります。 (2010年5月撮影)
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    2010年5月、顔に黒いラインの入った少し小さなキツネが 3匹混じっていることに気が付きました。これが十字ギツネでした。 (2010年5月撮影)
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    鼻から首にかけラインが明確。他のキツネより警戒心が強く、なかなか撮らせてもらえません。 (2010年6月撮影)
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    6月ごろになると巣穴から出ることが多くなり兄弟で良く遊びます。(2010年6月撮影)
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    毎年8月中に子別れし、行方がわからなくなってしまいます。 (2010年6月撮影)
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    撮影3年目。キツネの出産は3~5匹が一般的ですが、 ここの母ギツネは多産系なのか毎年8~10匹出産します。今年は13匹も出産しました。 (2011年5月撮影)
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    6月、堤防には菜の花が群生していました。(2011年6月撮影)
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    子別れが近くなると十字ギツネの子は単独行動になり、他のキツネから離れます。 (2011年7月撮影)
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    旭川市江丹別地区の冬は特に寒く、氷点下30度を下回ることもあります。 (2011年12月撮影)
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    江丹別川も全面結氷し、積雪は1メートルを超えます。 (2012年1月撮影)
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    疥癬(かいせん・皮膚病)が蔓延。犯されると死に至ります。 (2012年1月撮影)
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    天気のよい日は雪面で昼寝をしています。 (2012年1月撮影)
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    ペアが完成したようです。 (2012年1月撮影)
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    キツネはハンターの狩猟対象。追われると人を見るなり逃げ出します。 (2012年3月撮影)
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    高台から周囲を見渡します。 (2012年3月撮影)
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    撮影3年目。十字ギツネは毛並みに固体差があり、特にオスは色が薄いです。 (2012年5月撮影)
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    親の十字ギツネの特徴は犬歯が長く、容姿はまるで小型のオオカミのようです。 (2012年5月撮影)
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    キタキツネの母親が近くの国道で車に轢かれて倒れていました。 3頭の子ギツネは育たないでしょう。 (2012年5月撮影)
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    毎朝5時には母ギツネは乳を与えにきますが、この日来ることはありませんでした。 (2012年5月撮影)
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    農家の納屋の中に入れてもらい、撮影開始から3年目にして初めて十字ギツネの授乳のカットを撮ることができました。 (2012年6月撮影)
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    十字ギツネの親は子育ての時期は特に警戒心が強いです。巣穴の前の異変を感じると人の気配がなくなるまで遠くから様子を見ています。 (2012年6月撮影)
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    12月、交尾期を迎えるとオス同士のメスをめぐる争いが始まります。 (2012年12月撮影)
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    川が開いている間は魚などのエサをとることができます。 (2012年12月撮影)
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    何日もエサが捕れないと吹雪でも小動物などを探します。 (2013年3月撮影)
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    吹雪が一段落するとテリトリーを一回り。 (2013年3月撮影)
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    撮影4年目。離農した農家の納屋に9匹の出産がありました。両端の3頭が十字ギツネです。 (2013年5月撮影)
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    母ギツネは特に動きが俊敏。ジャンプ力も強く木に登り小鳥なども襲います。 (2013年5月撮影)
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    ネズミなどの小動物がエサの大半ですが、カモなどの水鳥も捕獲します。 (2013年5月撮影)
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    交尾が終わったのか単独行動です。(2014年3月撮影)
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    ハンターが倒し放置したシカも3日でこの通り。この時期のご馳走です。 (2014年3月撮影)
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    撮影5年目。3頭の十字ギツネが産まれましたが残念ながら2頭は淘汰されました。 (2014年6月撮影)
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    成長とともに巣穴から出る時間が長くなります。母ギツネは近くで見守っています。 (2014年6月撮影)
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    外での活動時間が増しても、寒い日は母ギツネが抱き寄せて暖めます。 (2014年6月撮影)
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    残った十字ギツネは何とか成長し、キタキツネと同じくらいの体型になりました。 (2014年6月撮影)
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    冬期は倒木などの隙間で寝ています。 (2015年1月撮影)
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    1月に入ると交尾期に入りペアとなる相手を探します。 しかし十字ギツネは毛色の違いに違和感があるのかなかなか受け入れられません。 (2015年3月撮影)
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    撮影5年目。十字ギツネの子は無事に成長しました。 しかし、この写真を撮影した翌日、母ギツネは交通事故で命を落とし、子ギツネは全滅。神田さんも撮影を終えることになりました。 (2015年6月撮影)
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