激論!どうする北海道

脱“消滅” 地方再生の一手とは

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パネリストの主な発言

【討論①】人口減少問題はなぜ?その現状は

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十勝圏の人口は全部で約36万人。母体となる帯広市は、ピーク時の2000年に約17万3000人だったが、これまでで5000人ほど減っている。自衛隊の縮小で5000人くらいがいなくなっているなどといった、色んな要因がある。しかし、農業を主体とした産業の中で、付加価値をつける工場など事業所も増えてきていて、全道の中では、人口を何とか維持しているというような状態にある。

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他地域よりも早く喜茂別町に"人口減少"が訪れるだろうということは想像がついていたので、早めに動いていた。新規就農も行ったし、企業誘致も3社目が決まったところ。所得と出生率には一定の関係性があるだろう。福祉施設も誘致したが、給料などで課題があり出生に結びついていない。観光面では人が増えていく可能性があるので、後志は変化のあるバランスだと思っている。

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"人口減少"は見えていたことかもしれないが、896の市町村が消滅する可能性があるという日本創成会議のレポートは衝撃的だった。これは地方に力を注いでいかなければ、我が国の存続に関わるということ。そういう強い危機感を持って、地方創生に取り組み始めたところ。遅いかもしれないが、今ここでしっかりと地方創生をやっていかなければ、我が国の将来は非常に困難なことになる。

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日本創成会議のレポートは、数字の事実であることは確か。私はしかし、課題があると思う。あれを発表することによって、全国の市区町村の皆さんがやる気をなくしている。確かにあれは数字だが、頑張ればもっと違うところがあるんだと発信していきたい。幸いにも私が町長をやっていたニセコ町は今、消滅可能性の自治体に入らないギリギリのところ。それが何なのかを考えたい。

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人口が減ること自体はそんなに大したことがなくて、何も対策を取らなければ120万人が減るといわれているが、1950年の北海道の人口って実はそれくらい。1950年はそれでもちゃんとやっていたのだから、"人口減少"でひっくり返るはずがない。人口を無理やり増やすことを目標にするのではなくて、所得をいかに確保するかというほうが、私ははるかに重要だと思う。

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"人口減少"は日本全国の問題だが、それは多分、我々の戦後からの生き方の問題。ベビーブームがあって、個人的な幸福を追求して都会に出て行って、働いて生産性あげてということを考えたはず。ところが、個人的な幸福を追求するあまり、子供を作ることについて、例えば2人作ると生活が成り立たないとか考えるようになった。戦後の個人主義を我々が獲得して、それを追求した結果だ。

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今までの働き方というのが、基本的にサラリーマンが男性の正社員で、専業主婦の妻がいることを前提にしてきた。それが男性の所得や雇用自体が不安定になる中で、成り立たなくなってきているが、では共働きでできるかというとそうでもない。出生率が低いのは、女性が仕事か育児かというのが、トレードオフ(片方を犠牲にする)になってしまっているところに、かなり要因がある。

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専門職の女性が多いということもあるが、出産後、時短で働くスタッフが多い。会社には女性が4500人くらいいるが、その中で、育児休暇も含めて時短を取っているのは500人ほど。やはり、そういうスタッフが働きやすい、その今、働いているスタッフも自分が将来そうなると思ってやっていってもらわないと、次が見えてこない。お互いの助け合いについて、スタッフには思ってもらいたい。

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北海道はこの5年間で、海外からの観光客が倍になった。数の問題ではなくて、そこで落とす消費額も考えなければならない。観光を含めてサービス業に就職する学生が極めて少ない。観光業に従事する人の年収が低いし、土日も無い。今の若者はその中で働こうと思わない。こういった観光で働ける人が減ってきている中で、本当に受け入れ態勢は大丈夫なのか。懸念するところではないか。

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結婚、出産、子育てをどうやって担保していくかという話だが、コントロールできる要因は2つ。時間的なゆとりをどう創るかと、後は所得的な部分。どう高めていくかが必要だが、第1子からか、第3子から支援するのかみたいな、4軸くらいに大体分かれていて、どの組み合わせが理想的か、新潟では検証している。北海道もそれに取り組んで、企業も巻き込みながら検証するのが重要。

※敬称略、肩書は当時