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HTBスペシャルドラマ「幸せハッピー」 HTBスペシャルドラマ「幸せハッピー」 HTBスペシャルドラマ「幸せハッピー」 HTBスペシャルドラマ「幸せハッピー」 HTBスペシャルドラマ「幸せハッピー」

とにかく地味な話だったのに、ABU賞をはじめとする国際的なテレビ賞を受賞し、国内では文化庁芸術祭賞優秀賞など数々のテレビ賞に輝いた2009年制作のドラマ「ミエルヒ」から、今回3年ぶりに水曜どうでしょうの藤村、嬉野が、またも劇作家青木豪と組んで、再びなんとも言えない雰囲気のドラマを撮りました。
タイトルは「幸せハッピー」。

藤村忠寿は2008年制作の「歓喜の歌」から数えて今回で3作目の監督作品となります。対して嬉野雅道は前作「ミエルヒ」から企画を担当し青木豪とタッグを組んで2作目。青木豪がHTBに書き下ろす脚本もこれが2作目となります。

嬉野はドラマの企画にあたり「そういえば、やりたいことってないんだよ」という立ち位置から腰を上げ、自分のアンテナだけを頼りに毎日あてもなくドラマの舞台になる主人公の町を探し歩きながら企画を練ります。青木豪は「ぼくも書きたいものってとくにないですよ」というスタンスで執筆依頼を待つのだと言います。けれど、最終的に青木豪が書き上げた脚本を読んで嬉野は「あ、そうだ。オレはこういうドラマが作りたかったんだわ」と思ってしまうから不思議でしょうがないと言います。そんな嬉野に青木豪は「嬉野さんは多分ぼくのアンテナ、依り代なんだと思います。嬉野さんを通してぼくに電波が降りて来るんです」と、まるでイタコの口寄せのようなことを言う。
一方、監督の藤村は青木豪の脚本を一読「なんだか分かんねぇな」と言いながら、撮影に入る1ヶ月前まで脚本に手をつけようとしません。監督藤村忠寿が青木豪の深淵にのめり込んで行くのはロケ前1ヶ月を切る日からです。撮影準備が佳境に入りスタッフの動きが慌ただしくなる頃、ようやく監督藤村は、一人、会社の近くのファミレスに出勤するようになり、そこで朝から晩まで脚本のページをめくり、タバコを吹かし、まれにみる集中力で青木豪の本を読み解いていきます。その作業の中で青木豪の書いたセリフのそこここに深い意味のあることに気づき「そうか」と唸る。けれど唸れは唸るほど「やっかいな本だなぁ」と、その深みを映像でどう伝えればいいかと悶絶しながら更に考え始め、またブカブカとタバコを吹かし始めるのです。

音楽は、いきものがかりをプロデュースする本間昭光さん。「歓喜の歌」「ミエルヒ」に続いて3回目の参加、既に藤村組の常連です。本間さんは、音楽プロデューサーながら「ミエルヒ」の時から青木豪のシナリオハンティングにも同行するようになりました。本間さんは製麺所に入ると鳴り渡る機械音のリズムを音符に変換し歩道橋の金属の欄干が鳴る音にEマイナーを感じ、まるで物語の舞台となる町に佇む生活音からイメージを膨らまそうとするかのようです。
そして、ドラマのタイトルにもなった楽曲「幸せハッピー」(作曲 細野晴臣 作詞 忌野清志郎 )を、斉藤和義さんがカバーしドラマのエンディングテーマとして歌うという今回驚愕の事態になっています。

キャスティングは前回の「ミエルヒ」に続き福屋渉が担当しました。福屋は2010年からHTBの営業部長となりましたが、藤村嬉野に「あんたがいなけりゃ、オレらはドラマ作れないよ」と2年以上にわたり泣いて頼まれ会社もこれを了承し組織の壁を取り外し文字通り総がかりの陣形でHTBは今回もドラマ制作に取り組みました。

主演は、日本アカデミー賞最優秀助演女優賞など受賞歴も多い渡辺えりさんです。青木豪の脚本に共感したえりさんは、シーン全体を共演者もろとも引き上げていく迫力の演技を見せています。そして「歓喜の歌」「ミエルヒ」と藤村組の作品のたびに手堅い演技を見せ脇を支えてくれる根岸季衣さん。他に大谷亮介さん、酒井敏也さん、金沢碧さん、吉本菜穂子さん、占部房子さん。そして、ひとつ間違えればエキセントリックな狂人にも見えてしまいがちな清志という難しい役柄を志賀廣太郎さんが抑制の利いた演技で見事に演じています。また、子役の菊地梨希ちゃんは札幌の児童劇団フルーツバスケットに2012年4月に入ったばかりという経歴ながら、幸という重要な役を見事な感性で演じています。

そして、大泉洋、安田顕に代わり、今回はミスターどうでしょうこと鈴井貴之さんが、サプライズな友情出演をしてくれています。
2012年HTBスペシャルドラマ「幸せハッピー」に、どうぞ、ご期待ください。