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あなたとHTB
このページは平成28年10月23日放送分から引用しています。
森・遠藤両アナ
遠藤雅也アナ
おはようございます。「あなたとHTB」の時間です。
「あなたとHTB」は、視聴者の皆様とともに
よりよい番組作りや放送のあり方を目指すための番組です。
森さやかアナ
今回は、今年9月に開催しました第487回放送番組審議会で
審議しましたHTBノンフィクション
「選挙?マジか!18歳初めて投票した夏」についてお伝えします。
遠藤アナ
「選挙?マジか! 18歳 初めて投票した夏」は
日本の国政史上初めての10代の選挙権を
通して見えてくる「18歳のリアル」に迫りました。
番組は、大人の論評を交えず、ありのままの18歳を
映しだそうというHTBと朝日新聞の共同企画
「18歳のわたし」から生まれました。
大人の考えを背中で見せられるような番組にという
思いを込めて制作しました。
森アナ
まず最初に、この番組に対して番組審議会委員から頂いた
ご意見から 評価点をご紹介します。
《評価点》
●18歳の若者に選挙という営みがどう映っているのかを
正面から捉えるという意図のものであったとすれば
その視点からは 良い番組だったと思います
●18歳の若者と選挙との様々な関わりをうまく切り取っていて
最後まで面白く見ることができました
●タイトルの「選挙?マジか!」は番組にぴったりで
友達に語りかけるようなナレーションとともに良くできている
18歳の目線を疑似体験して この夏の選挙を振り返る
きっかけとなった 良い番組だったと思います
●若年層の考える過程を密着して取材したという点で
意識把握をしようとした努力はすばらしいものがあると思う
やや不自然ですが 一人一人の自発的行動を
追跡した点においても問題ないと思います
●対照的なスタンスの18歳の2人の若者にフォーカスして
テーマに迫った手法は
30分で見せる話としては 内容が整理された印象があり
わかりやすく視聴者に伝えようという制作側の工夫を感じた
遠藤アナ
●男性と女性 都市と地方 戸惑い派と積極派という2人による
対比的な展開は目配りの面でもよかったと思われます
意識の高低など 一つの尺度で評価しないところは
参政権を扱う番組として適切であったと考えます
●東神楽町の農家の島田さんと立命館の川口さん
こんなすてきな2人によく出会えたなと感心します
子どもたち1人1人のコメントが
今の大人社会をよくあらわしていると思いました
若者の言葉をよく拾い上げているなと思います
●新しく選挙権を与えられた若者2人を中心に構成されていた
島田さんは既に仕事をしていて 川口さんはまだ高校3年生
若者の生き方の多様性が伝わりました
●性別も境遇も目指すものも違う2人に密着することで
18歳の意識がどのように変化していくのかが見られて
興味深かった
●島田さんの短期間で成長する姿に頼もしさと
簡単に影響されてしまうところに危うさを感じました
また川口さんの受験勉強をしながら積極的に
誰に投票すべきかを熱心に研究していた姿に感心した
森アナ
番組に対して番組審議会委員から頂いたご意見から
引き続き評価点をご紹介します。
《評価点》
●島田さんは候補者らと一緒に選挙カーの前に立ち
頑張ろうとこぶしを突き上げます
えっ何故と一瞬思った場面でしたが18歳の若さが
とてもよく伝わるエピソードになっていたと思います
●今回大きく取り上げられた2人の18歳は
未成年有権者の政治参加を期待する大人にとっては
極めて優等生的な例であって
一般的な同世代を反映しているものではないので
最後までなるほど中にはこういう子たちもいるのだ
偉いなという感想に終始してしまいました
●最後の締めくくりで川口さんは「選挙が終わってしまったら
政治の意識が薄まっていく
ずっと見ていかなきゃと思った」と言います
また島田さんは「いろいろなことを調べてみて
意外と政治がおもしろいと思った」と言います
2人から投票後にこんな言葉が引き出せたのは
すばらしいことだと思います
●ナレーションは若者に向けて語りかける口調になっていて
番組を引き立てていたと思います
●この番組は18歳の意識の変化を見せながらも
実は大人に政治にコミットする姿や意味を
もう一度思い出させる番組としても成立していた
遠藤アナ
続いて、番組審議会委員のご意見の中から
要望や改善点をご紹介します。
《改善点・要望点》
◇タイトルの「選挙?マジか!」を目にしたとき
少し違和感を覚えました
若者の言葉を使う人が若者でなければ
やはり違和感が生じます
またはタイトルに「マジ」が入っているからといって
若者が特に番組を見たくなるか少し疑問
◇ナレーションのちょっと上から目線みたいなところだったり
若者はこうであるというような決めつけが番組全般にあること
40代以上の我々はそれを是として
予定調和として受けとめているわけです
そこに政治の問題を掘り下げるときのスタンスについて
もう少し考える余地があるのではないか
◇よく聞くと社会に対してこんな不安や要望がという場面で
マスキングテープに書いた若者の意見の映像がありましたが
そこも子どもたちの生の声を出せたらよかった
森アナ
◇「涼しい顔をしていても聞けば不満や意見はいっぱい出てきます」
とのナレーションには違和感を覚えました
街頭のインタビューで
そういう声は一つも紹介されていなかったからです
世間で「若者からこういう声が多いと聞くよね」
という内容を並べたような印象です
◇もっと家族の中で語られたり
仲間の間で語り合っていないのかなと疑問に思いました
そんな場面もあってもよかったのではないかと思った
◇とても残念だったのは 今回選挙権を得た若者が
先に選挙権を持っている自分たちの親たちと
この選挙についてどのような話をしたのかが
番組では触れられていなかったことです
これらの若者が親と政治や選挙に関し
どう向き合いどんな話をしているのか
あるいは全くしていないのか密着し
インタビューでもっと掘り下げて欲しかったです
遠藤アナ
◇一つ首を傾げたのは 徳永候補と握手をした後のシーンで
「18歳を生かし切る真由さんです」というナレーション
本人はそういうつもりはないのではと感じました
◇女子高校生が立候補者達に質問をしていく点は新鮮ですが
目新しい事ではないでしょう
日本では政治的知識や経験値ギャップが
個々のレベルで大きいのが原因であり
興味がないことが普通であるという捉え方は
間違っていると思う
◇2人の登場人物は何となく平均的な18歳から
ややかけ離れた存在のように思えました
番組のコンセプトは初めての選挙を迎えた18歳のリアルであり
取材対象が平均像から乖離しているせいで
何となく納得感が得られなかった
◇戸惑い派と積極派の対比法はわかりやすいが
多くの新しい有権者の戸惑い あるいは無関心を
この番組はしっかり捉えられたのだろうか疑問
◇これは未成年者だけの年代の問題なのではなく
日本の国民の問題
特に18歳などの未成年層にのみクローズアップされる
問題ではありません
森アナ
番組審議会委員のご意見をご紹介していますが、
引き続き 番組に対して要望や改善点、
そして今後の番組づくりに対して頂いた提言を紹介します。
《改善点・要望点》
◇ナレーションの口調は 18歳に対しいかにも大人目線で
失礼なのではないかと思います
また「18歳はこんな時代を過ごしてきた世代」
という資料映像は本当に必要だったのか疑問
◇これは誰を主たるターゲットとしてつくられた番組なのか
エンディングは「正解なんてない 君たちが変えられる
それが18歳選挙権」というナレーションで結ばれていますが
年齢にかかわらず 選挙を真面目に捉えている人が
多くないから投票率が低いのであって若者批判は筋違い
◇番組全体としては無難なまとまりになっていた印象があります
その分この番組が誰に何を訴えたかったのかやや不明確
制作側の問題意識がいま一つ見る側に伝わりにくかった
◇内容がやや雑多であるという印象を受けました
拓銀の経営破綻から最近までを振り返るシーン
あるいはTPPの話題や農産物直売所のシーンがありますが
30分足らずの尺でこれらの挿入が効果的なのかどうか疑問
遠藤アナ
◇取材ディレクターが和弥君のお父さんに
「ぶっちゃけどうですか」と問いかけるのが
ノンフィクション番組の取材の言葉としては
文字どおりぶっちゃけ過ぎていて少々不適切に感じました
◇真由さんの「選挙事務所に行ってみたい」という希望を聞いて
一緒に行きましたという場面にはとても違和感がありました
どんなに積極的な18歳でも女子高校生が1人で
選挙事務所に行くということは想像できません
そこに取材側の誘導があったのではないでしょうか
ノンフィクションと言えないのでは・・・
森アナ
《提言》
★今後も選挙を取り上げる番組を制作するならば
投票に行かない人行けない人の真実を深く掘り下げてほしい
★本作の放送時刻は深夜帯となっていますが
放送時間帯に検討の余地はなかったのでしょうか
HTBノンフィクションは良心的で丁寧な番組づくりをしているだけに
この点は残念に思いました
★今後も若者やその他世代も含めた主権者を定点的に観測し
社会を映し出すような番組づくりに取り組んでほしい
★若年層が選挙に興味を示すよう 選挙認知度の
アンケートを行って選挙について伝達することを望む
★身近に政治を語れる場所をつくっていくということが大切
そんなことも番組で取り上げていただけると良い
遠藤アナ
「あなたとHTB」、次回の放送は、
10月と11月開催の放送番組審議会での
放送番組審議会委員の皆さんのご意見を紹介いたします。
放送は12月18日(日)午前5時5分からとなっています。