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あなたとHTB
このページは平成28年12月18日放送分から引用しています。
森・遠藤両アナ
遠藤雅也アナ
おはようございます。「あなたとHTB」の時間です。
「あなたとHTB」は、視聴者の皆様とともに
よりよい番組作りや放送のあり方を目指すための番組です。
森さやかアナ
今回は、今年10月に開催しました、
第488回 放送番組審議会で審議しました
テレメンタリー2016「野生のいのち 死の連鎖」。
11月に、第489回 放送番組審議会で審議しました
HTBノンフィクション「おはよう。いただきます。さようなら。
~弁華別小最後の一年~」について、お伝えします。
遠藤アナ
最初に10月の審議対象番組「野生のいのち 死の連鎖」です。
遠藤アナ
列車がシカをはね、そのシカの肉を食べに来たオオワシが
事故に遭うという〝死の連鎖〟から絶滅危惧種を
どうやったら救えるのか。番組では、シカやオオワシの生態を追い
〝死の連鎖〟のメカニズムを解き明かしました。
森アナ
最初に、この番組に対して 番組審議会委員から頂いた
ご意見から 評価点をご紹介します。
●「野生のいのち 死の連鎖」というタイトルは
番組の中身をうまく表現している
●列車と並走するシカの大群 よちよち歩きのタンチョウのヒナ
オオワシやオジロワシの雄々しい姿など
テレビの強みが存分に生かされていた
●非常にしっかりした構成の番組だった
鉄分のサプリを使った実験も非常に興味深く
精査に証拠を積み上げていく司法手続の流れを
見ているかのような 鮮やかさを感じた
●新規性があり こんなところによく着眼できた
理系女子 生物系の心をとてもくすぐる
鹿肉に引き寄せられワシまで列車にひかれ
死の連鎖をするというテーマ性や検証の仕方は見応えがあった
●動物のさまざまな死が映し出されるが
過度な演出や効果がなかったため
不思議と悲惨 無惨という感じは受けなかった
遠藤アナ
●生き物の生死を扱った作品としてはやや異色で
個性的な仕上がりのよい作品だった
●ウミワシがシカを食べるようになった原因
シカが線路によく集まる原因が わかりやすく紹介されていた
●多様で複雑な生態系や食物連鎖 人間の生活との問題
それらのロジックを実にわかり易く展開していた
●海でおぼれかけたウミワシ 錆びた線路などをなめるシカ
線路をたどたどしく歩くタンチョウのヒナなどの映像が新鮮
●シカが線路をなめることがオオワシやオジロワシにも
影響を与えている 大変勉強になるいい番組だった
●冒頭で 保護されたワシが七転八倒する姿が
いきなり衝撃的で番組にぐっと引き込まれた
また車窓から見えるシカの数の多さに
ここまでシカが増えているのかと新鮮な驚きを感じた
●道東の雪の原野を疾走するおびただしいシカの群れは
圧倒的な躍動感と迫力にあふれた日本離れしたシーンだった
●ナレーターの髙橋ひかるさんが15歳だとわかって感心した
とても落ちついたトーンで聞きやすかった
●オープニングの問いかけの直後に 意匠の施された
タイトルロゴが示され ごく自然に引き込まれた
森アナ
ここまでは、番組に対する評価点をご紹介しました
ひきつづき、この番組に対して頂いた
要望点 改善点と提言をご紹介します。
《改善点・要望点》
◆ウミワシは中毒で死んだのか 列車に当たって死んだのか
中毒になったから列車に当たったのか
誤解やミスリードを生む展開ではないか
◆鉛中毒にほとんど触れずワシの死を
列車との衝突だけで紹介するのは不十分
◆客観的なデータの比較がないため
なぜ急にウミワシの事故が増えたのかがわからない
◆流氷がたくさん接岸すれば ウミワシは
列車にひかれずに済んだのか 検証が明確ではない
◆人工的なサプリメントで動物にとって
副作用はないのかなと心配になった
◆鉄分のサプリメントを森に置く解決策はあるものの
次のアンバランスな連鎖を生む心配はないのか
◆そもそもなぜシカがこれほど鉄分を欲しがるのか
科学的 動物学的な観点からの説明がほしかった
遠藤アナ
◆風蓮湖の氷下漁と雑魚を分け与える漁師は
この問題の原因との関係ではミスリードになりはしないか
◆最後のナレーションのメッセージが分かり辛かった
「命を守るために」というメッセージで終わってほしかった
◆番組最後の「私たちにできることがきっとあるはずです」との
ナレーションに強い違和感があった
問題を視聴者に丸投げされている印象を受けた
具体的に私たちにできることが語られるべきであった
《提言》
☆取材者の驚きと探求心がそのまま番組になったような感じで
それが視聴者の驚きともうまくリンクしている
取材者の純粋な驚き 視聴者に伝えようという熱意に
裏打ちされたドキュメンタリーを今後も期待する
☆できるならテーマを少しずつ切り分けて
このような北海道でしかつくれない番組を見せてほしい
☆野生動物を保護するという観点では
シカだってワシやツルと区別はないはず
こうした視点が入ると番組全体の説得力が増し 格調も高まる
森アナ
続いての審議対象番組は
「おはよう。いただきます。さようなら。~弁華別小最後の一年~」です。
森アナ
「イチオシ!」のシリーズ “カメラマンスケッチ”で放送を重ね、
道内最古の木造2階建て校舎に別れを告げる
子どもの姿を追い続けた 「成長」と「別れ」の記録です。
遠藤アナ
この番組に対して番組審議会委員から頂いた
ご意見のうち評価点からご紹介します。
《評価点》
●どこか映画的 あるいはドラマ的な映像のおかげで
ありきたりで地味な内容なのに 飽きることなく最後まで見られた
●映像の美しさが印象的で 独特の映像が
番組全体の雰囲気と非常に良く合っていると感じた
●光と色彩が美しく日常に徹した映像に引き込まれ
そこに含まれた多様な情報に気づかされる
●あくまでも記録として描くことに徹し
余計な分析や感慨を加えずに描こうとした姿勢が見えた
●1年を通じた長期取材により被写体の自然な表情や
姿をとらえることができていた
●子どもたちの自然な姿だけを映し出すという
制作スタイルには 一種の潔さを感じた
森アナ
●過疎地教育の現状や歴史ある木造校舎のことなど
多様な切り口があったと思う
しかし制作者がそういう選択をしなかった結果として
静かで温かな雰囲気にあふれた番組ができたと思う
●「見せられる」ではなく 良いものを「見る」心地よさの中で
自然と これからを考えさせるところが非常に好ましい
●木造校舎の様子など大変懐かしく拝見した
自分と同世代の人間にはそう感じる人が多いのではないか
●登下校時に職員室に「おはようございます」「さようなら」と
声を掛けていく子どもたちの姿が清々しく癒された
●学芸会で地域の人が見守る場面では
地域の方の表情がほんとうに優しくて涙がでてきた
●この小学校のなんとも温かい人間関係は
どこから生まれてくるものなのか
いじめや不祥事など学校を巡る
明るい話題が少ない昨今 心が洗われた
遠藤アナ
●最後の廊下のシーンで フレームアウトした先生と
飛び跳ねながら去っていく2人の子どもが詩的で印象的
●さわやかで希望を感じさせる 素敵なエンディングだった
●ナレーションは短いセンテンスを重ねていて聞きやすく
番組の内容にとてもよくフィットしていた
●ドキュメンタリーが深刻で
重々しいものばかりではないことを教えられた
森アナ
ここまでは番組に対する評価点をご紹介しました
ひきつづき、この番組に対して頂いた
要望点、改善点と提言をご紹介します。
《改善点・要望点》
◆「最古の木造2階建て校舎」か「最後の1年の子どもたち」を
みせるのか 軸足がはっきりしない
◆生徒の名前をテロップに載せていましたが
何人いるか数える暇がなくて 生徒数が気になった
◆児童数が何人いるのかは 番組の終盤にようやく示される
もっと前半部分に知りたい情報だった
◆ありきたりの説明かもしれないが
なぜ閉校に 追い込まれたのかという説明もほしい
◆閉校になった後 残った5年生以下の子どもたちが
どうなるのかについて説明は不可欠だった
◆もう少し伝えたいメッセージを
はっきりさせてもいいのではないか
《提言》
☆説明を押し付けないことで
見る人に余地を与えて結果を出す
同じ手法でぜひ次のモチーフを見せて頂きたい
☆時間を拡大した続編で見てみたい
遠藤アナ
「あなたとHTB」、次回の放送は、1月に開催される、
第490回放送番組審議会における
委員の皆さんのご意見を紹介いたします。
2017年 2月 26日(日)午前 5時 5分から放送です。