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HTB 北海道テレビ放送 会社案内

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番組審議会だより


 北海道テレビ放送では、番組審議会委員10名の方による放送番組審議会を設け、毎月1回(8月と12月を除く)審議会を開催して、放送番組の内容をはじめ、放送に関する全般的な問題についてご意見を伺い、番組制作の参考にさせていただいております。
番組審議会でのご意見は,番組モニターの方のご意見とともに、2ヶ月に一度第4日曜午前5:05から放送の「あなたとHTB」でもご紹介していますのでどうぞご覧ください。

第473回北海道テレビ放送番組審議会概要

日時

2015年4月23日(木)
15:00~16:45

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審議対象番組

「壇蜜古画スペシャル~遠ひ記憶への旅立ち~」

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出席委員
平本健太 委員長
作間豪昭 副委員長
閔 鎭京 委員
渡辺淳也 委員
福津京子 委員
森田良平 委員
古郡宏章 委員
喜多洋子 委員
遠藤香織 委員(レポート)
会社側出席者
代表取締役社長 樋泉 実
常務取締役 田中英也
取締役 寺内達郎
役員待遇CSR広報室長 国本昌秀
編成局長 川筋雅文
報道情報局長 東 直樹
CSR広報室部長 岡 仁子
番組担当プロデューサー 大畑隼介
番組担当ディレクター 海野祐至
番組審議会事務局長 四宮康雅

【会社報告】

  • 喜多洋子氏に放送番組審議会委員委嘱
  • 放送番組の種別の公表制度に基づき、(2014年10月~2015年3月)の各第3週の個々の放送時間の種別、種別毎の放送時間を報告
  • HTB制作「裏切りの復興支援隊」がテレメンタリーの年間最優秀賞受賞
  • 統一地方選挙前半戦の放送対応
  • 113回目の「onちゃんお話し隊」実施

【審議対象番組についての委員意見要旨】

【評価点】

◇とても印象的な番組。今回のSP版を含めた壇蜜古画シリーズは、映像、キャステイング、雰囲気も魅力的だが、なにより企画が素晴らしい。廃墟を見て楽しむというのは関心のない人には理解されにくい世界である。制作者側にこだわりと心の余裕がなければ成立しない企画だと思う。

◇豪雪地帯の美唄の山奥での冬季ロケを敢行されたことに大変驚いた。除雪がなされていないと思われる場所でのロケには相当のご苦労があったと推察する。現場まで到達したことだけでも映像的な価値がある。

◇壇蜜さんは周りにいる人はもちろん、視聴者さえも自分のまったりとしたテンポの中に巻き込んでいく才能のある人だとかねてから感じていたが、この番組を見てさらにその思いを強くした。間合いの取り方が絶妙で、空白の使い方のうまさが彼女の大きな魅力になっている。

◇我路駅の場面、壇蜜さんが「私はちょっと寄るところが・・」といって場面が転換する。しばらくすると、林の中の雪道に立ち尽くす彼女が映り、「確かこのあたりには花街が・・」と話す。突っ込みどころ満載のこんな小芝居でも、壇蜜さんだとギャグにならず、しっかりとした流れのなかで見ることができた。

◇東美唄地区の廃校になった小学校の場面で、校舎1階に張った氷が作り出す幻想的な模様を「サッカーを楽しむ少年」「スキーで滑り降りる少女」と表したところは、作り手の感性の高さを感じた。

◇我路の質店・浴場の煙突・映画館は、イメージ通りもしくはそれ以上の佇まいで、どれもそのままアート作品の様だった。カメラワークが美しさに引き込まれた。

◇壇蜜さんの言葉「寂しいというより心に響く光景」に共感しつつ、未だ出会っていない道内の美しい風景を一緒に旅した気持ちになる素晴らしい番組。

◇壇蜜さんの声はセクシーさを抑えたものになっているが、それゆえに普段テレビに登場するときの彼女のイメージとのギャップから漂う色香があり、番組におおいに魅力を与えていた。

◇廃墟の映像も、萩原義弘さんの写真も、廃墟が自然に飲みこまれつつある様を切り取っているにも関わらず、かつていきいきと人々が暮らしていた時間が止まったままかのように、当時の状況を雄弁に物語っていた。

◇写真家の萩原さんの言葉「形は無くなっても人の思いは残る」は、番組の本質を捉えており、オープニングの「死を迎えた建物」の答えなのではないかと思った。
また、彼の「これだけ多くの人々が働き、日本の土台をつくった産業ですから、人々や施設、産業のことを忘れないで欲しい」という言葉は、今の建物が何を象徴するのか、抱えている課題が一気に深くなり、視聴者として考えるきっかけになった。

◇まちづくりに携わる身として、「まちは生まれまちは死ぬ」という言葉にどきっとした。まちが死なないために、自分に何ができるのか考えさせられた。

◇人口減が進む北海道で、この番組を通して、廃墟の持つ意味をもっと深く捉えておく必要があると感じた。

◇番組の中に「現在は立ち入り禁止です」「所有者の許可を得て撮影しています」というキャプションが入っていたことに、制作者の誠実さを感じた。番組の持つ影響力を考えたとき、多少興ざめであっても、放送倫理の観点からも正しい選択であった。

◇映像の持つ美しさは「開拓魂」時代と変わらない。傾きながらもなお雪の重みを受け止める建物の姿、廃校の中の氷の面白い模様など見どころが多くあった。

◇道内の廃墟を、カメラを余り動かさない、まるで静止画のような画像で映す、あるいは、ゆったりと動くカメラワークで描き出して、見る人にいろいろなことを想像させるという番組のコンセプトは非常にいいと思った。また、映像も音楽もとても美しかった。

◇セクシーさを売りにしていると思っていた、壇蜜さんの抑制のきいたナレーションは非常に味わい深く、映像とマッチしていた。また大変知性的な方なのだと思い、知らなかった一面を見た思いだった。

◇全シリーズを見ている学生によると、今回の壇蜜さんの登場は画期的だと言っていた。特に、全身黒ずくめの衣装で、壇蜜さんが我路の駅に立つ姿は、まるで「銀河鉄道999」のメーテルのようで、過去と現在をつなぐ超越的な存在としてのいにしえへの旅人という存在感を非常にうまく表現していたと大感動していた。

【疑問点・改善点】

◇前置きが無さすぎるためか、何をしたい番組なのか、壇蜜さんが何をしているのか初見では全くわからなかった。

◇旧三菱美唄炭鉱周辺もふくめた、我路のまち全体の俯瞰映像がもう少しあった方がよかったのではないか。

◇街中ではいま、急増する空家を取り巻く問題が顕在化している。番組内では「人が作ったものが自然に吸収される」と表現していたが、人間がつくりだした人工物が放置され、長いスパンで見ても土に還らないものもある。自然環境の視点から大丈夫なのだろうかと気になった。

◇今回、レギュラーではナレーターに徹していた壇蜜さんを出演させ、ナレーションが男性となったためか、番組自体が廃墟を訪ねる単なるドキュメンタリーのようになってしまった、そのことが「開拓魂」時代に持っていた空気感を失わせてしまったようで残念。

【提言】

◇北海道では、もう知る人の少ない歴史など、掘り起こせば面白いところがまだたくさんあると思う。HTB独自の切り口で制作した番組を今後期待したい。

※次回の放送番組審議会は、2015年5月29日(金)です