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HTB 北海道テレビ放送 会社案内

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番組審議会だより


 北海道テレビ放送では、番組審議会委員10名の方による放送番組審議会を設け、毎月1回(8月と12月を除く)審議会を開催して、放送番組の内容をはじめ、放送に関する全般的な問題についてご意見を伺い、番組制作の参考にさせていただいております。
番組審議会でのご意見は,番組モニターの方のご意見とともに、2ヶ月に一度第4日曜午前5:05から放送の「あなたとHTB」でもご紹介していますのでどうぞご覧ください。

第477回北海道テレビ放送番組審議会概要

日時

2015年9月24日(木)
15:00~16:50

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審議テーマ

HTBノンフィクション「“狂走”の果てに 砂川5人死傷 飲酒運転の悲劇」

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出席委員
平本健太 委員長
作間豪昭 副委員長
閔 鎭京 委員
渡辺淳也 委員
福津京子 委員
高橋留智亜 委員
森田良平 委員
古郡宏章 委員
遠藤香織 委員(レポート)
喜多洋子 委員
会社側出席者
代表取締役社長 樋泉 実
常務取締役 田中英也
取締役 国本昌秀
役員待遇コンテンツ事業室長 川筋雅文
報道情報局長 東 直樹
編成局長 福屋 渉
CSR広報室長 岡 仁子
番組担当プロデューサー 山田佳晴
番組担当チーフディレクター 金子 陽
番組審議会事務局長 四宮康雅

【会社報告】

  • 9/4~6「HTBイチオシ!まつり」が5万人強にご来場いただき無事終了
  • 秋の番組改編について概要説明

【審議対象番組についての委員意見要旨】

<評価点>

●総じて、しっかりとした周囲からの現場検証がなされている、道路事情が分かりやすく説明されている、飲酒運転がなぜ起きるのかなども含めて、その経緯と結果がよく伝わる映像だった。経緯を知ることで、自分たちが犯してしまいがちな落とし穴を十分に理解できる。飲酒運転をしてはいけないと強く考えさせるきっかけになっている。

●6月の事故発生から2ヶ月で、よくここまで取材できたと思う。大野アナウンサーのトーンを抑えてナレーションは番組テーマともマッチしており、適任と感じた。声に安定感と安心感がある。

●なぜ、このような痛ましい事故が起こってしまったのか、なぜ事故を防ぐことができなかったのかを冷静に考えようとする、制作者の真摯な姿勢が見られるしっかりとしたドキュメンタリー番組だった。

●冒頭の100キロの衝撃はとてもショックな映像だった。加えて事故を再現して夜の道を走る映像がリアリティーに満ちていた。

●飲酒運転が常習化しており、悪いことだと思っていないということを市民の声として拾っていた。また、砂川の市議会議員のコメント「全くこんな大きな報道になるとは思っていなかった」は、飲酒運転の罪の意識のなさを象徴していた。

●今年、北海道で一番ショッキングかつ悲惨なニュースを取り上げた見応えのある力作。30分の枠内で、事故の様相にとどまらず、数多くのインタビューを通じて、その背景まで掘り下げた丁寧な番組づくりを高く評価したい。

●お盆期間の土曜夕方、視聴者に見せたい番組を、多くの人が見ることが出来る時間に放送したことは、局の関心と意気込みを感じる英断。

●砂川市民のひとりが、「みんなわかっていても見て見ぬふりをしている」と本音を吐露していた。今回の事件の本質を物語っていて、地元テレビ局だからこそのパワーを感じた。

●亡くなられた恵さんの、生前の動画は、彼女の明るさや誠実さがよくわかるもので、同級生の話や告別式の場面を通して、友達や知り合いを亡くした悲しみも十分に伝わった。同乗者の言葉には反省の色がなく、罪を逃れようとする気持ちがにじんでいた。視聴者に、飲酒運転は犯罪であり、運転を止めなかった同乗者も共犯者であるとの意識改革を促すものだった。

●飲酒に焦点を当てた構成は、飲食店関係者ら地元の人たちへのインタビューもふんだんに交え、地元地域で飲酒運転が常態化している問題点を伝えていた。昨年7月の小樽飲酒ひき逃げ事故の遺族が、砂川の事件現場を訪れた場面も取材しており、番組に厚みを与えていた。

●地域全体で意識を変えていくことは簡単ではないが、変えなくてはならない。札幌と地方都市との経済の格差、倫理観の違いを理由にするのではなく、出来ることをこつこつと実行していく必要があると強く感じた。

●6月に発生した大事故を追跡するノンフィクション番組を制作し、飲酒機会が増えるお盆の時期、家族や親せきが集まり、視聴率の高い時間帯に放送いただいたことに感謝したい。一向になくならない悲惨な飲酒運転、ひき逃げ事件について、限られた時間内にまとめ上げた制作者の心意気を感じることができた。

●目撃者、両被告人の知人、地元の人たち等、多数の人物へのインタビューを中心に構成されていた。通り一遍の事件取材を超えたものであり、よくぞここまで取材したなと唸らされた。足で稼いだ取材の集積であり、番組に厚みを与えていた。

●加害者の親戚や知人など、加害者の背景事情にも踏み込んで取材し、谷越被告が親思いと言われる人物であること、一人の被告人が仕事熱心な人物であることを報じていた。ネットでは殺人鬼などと表現される両被告人に対する報道として、大変冷静で公平であり、誰もが交通事犯の加害者になり得ることを浮き堀りにしていた。

●これまでに放送番組審議会で、何度も大きな事件や事故を速報で終わらせるのではなく、きちんとフォローアップする必要があるとの指摘がなされてきた。今回はその課題に応える作品だったと思う。

<要望・改善点>

●海外で行われている速度規制モニターやアルコール検知モニター付の自動車を導入するなど、性悪説に立った対応策を講じてほしい。交通外傷での医療費や保険費用を考えると、費用対効果は決して高くないと思う。今後、ドキュメンタリーとしてぜひ大きく取り上げていただきたい。

●被害者や被告人家族のプライバシーにあそこまで時間を割く必要があったのかやや疑問。被告人の生い立ちなど目新しい情報ではあったが、今回の事件・事故の理解に不可欠な要素であったのだろうか。ドキュメンタリーにあらためて織り込む必要性は薄いのではないかと思う。

●飲酒運転は、止めることができない飲食店、見て見ぬふりの住民など、地域社会全体の問題でもある。番組では個人を中心に問題を投げかけていたため、個別の事例として終わってしまっていた。小樽~砂川と連続で大事故が起きているのはなぜなのか、個々の意識の甘さだけで片付けられる問題だったのか疑問である。

●「同乗者が初めて語った」というナレーションが冒頭にあるが、残念ながら、同乗者から事故内容に関わる発言は引き出せておらず、物足りない中身だった。

●飲酒運転がなくならない原因を視聴者にしっかり突きつけるような取材・構成にしてほしかった。市民の諦め、飲酒運転の市会議員でさえ他人事のような無責任さ、人口減少による不況、被告人の生い立ちなど、取材対象が絞られず、ありきたりな質問で終わっていることから、原因がぼけてしまい、これからどこに向かっていいのかわからないままになっていた。

●2007年6月、道交法が改正され、飲酒運転幇助罪という飲酒運転者の周辺に対する罰則法ができたこともぜひ紹介してほしかった。

●両被告人は飲酒運転による危険運転ではなく、高速度運転か赤信号無視による危険運転で起訴されたと思う。そうであれば、番組名とのマッチングがいささか気になる。この点を正確に報じつつ、飲酒の事実がありながら、飲酒危険運転で起訴されなかったのか、事故後、時間が経ってから出頭する場合、アルコールの影響により正常運転が困難だったという立証が難しく、飲酒運転での起訴が難しいことにも番組で触れていくという視点もあったのではないか。

<提言>

●飲酒運転を撲滅するための有効な方法とは何なのか、今回の事件をきっかけに、テレビ局として長期に追い続けるテーマなのではないかと思う。海外の事例、具体的に効果を上げた施策など、さまざまな視点を含めた続編に期待。

●事件・事故に反応し、背景や問題点をドキュメンタリーとして伝えることは、テレビ局の一つの使命であるとともに、テレビメディアの力を示す大きな武器でもある。ぜひ今後も続けていただきたい。

※次回の放送番組審議会は10月22日(木)開催予定です。