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『胃ろう』患者と家族 それぞれの選択...食べる力取り戻すきっかけにも

2016年6月23日放送

札幌市清田区の女性(60歳)は、90歳になる寝たきりの母親を自宅で介護しています。
母親は「胃ろう」をしています。
1日に3回、胃に直接、ゲル状の栄養剤を流し込みます。
「体に穴を空けるというのは抵抗があるかもしれないけど、
母は前から少しでも長く生きたいと言っていたので‥。」
母親は8年前、突然歩けなくなり認知症と診断されました。
わずか数か月で食事も、会話も不自由になりました。
病院ではなく家で過ごさせてあげたい。女性は母に胃ろうをつけることを決めました。
「最初は不安だったけど、ご飯作るよりワンタッチポンよ!と看護師に言われて、
気持ちが明るくなった。」
女性の母親は、手術からの7年間で体重が12キロ増え、
硬直していた手や足も少しずつ動くようになりました。
表情も豊かになり、時折、笑うことも。一緒に暮らす中学生のひ孫も介護を手伝います。

厚労省の調査では、国内で胃ろうをしている高齢者の7割以上が寝たきり状態です。
本人の意志がわからない場合、判断は家族に委ねられます。
しかし最近、"胃ろうは無意味な延命治療"というイメージが根付きすぎて、
本来、胃ろうが健康状態を保つのに一番いいという患者でも
点滴栄養を選ぶケースが非常に増えてきている...と話す医師もいます。

胃ろうは「一度つけると外せない」という治療ではありません。
厚労省の調査では、胃ろうを付けた人の4人に1人が
口からの食事に戻る可能性のある人でした。
しかし、実際に介護施設で食事の訓練を受けた人は半数以下に留まっています。

十勝の清水町の特別養護老人ホームに暮らす83歳の男性は
リハビリにより、胃ろうを外すことが出来ました。
おにぎり1口から食べる訓練を始め、胃ろうの手術から7か月後に外すことができました。

国は、むやみな胃ろうを少なくし、リハビリの機会を増やすため、
おととしから、胃ろう処置に対する診療報酬を大幅に下げ、
口からの食事に戻る患者が多い病院には報酬を足すことにしています。
胃ろうが高齢者にとってよりよく生きるための治療となるように。模索は続いています。

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