now onair

26:05

バスケ☆FIVE~日本バスケ応援宣言~ 富永啓生選手の現地取材第2弾!!

NEXT

湿原の獣医師さん

野生動物の苦難

森を切り開いて道路を造り、電気を通して私たちが暮らす街ができあがってきました。
私たちが多くの便利さを求めてきたその影で、多くの野生動物が傷ついています。人の営みによって野生生物がどれだけの軋轢を受けているか、実は私たちは気づかないことのほうが多いのかもしれません。

野鳥が電線にふれて感電死する事故。

写真北海道ではオオワシ、オジロワシ、シマフクロウといった絶滅が危惧されている大型希少猛禽類の感電事故が後を絶ちません。

オオワシは翼を広げると2.5メートル。日本の電柱や鉄塔の規格では、これだけ大きな鳥がとまることへの考慮がなされていませんでした。翼を広げただけで電線と電線や鉄塔に触れてしまうため、感電事故が頻発するのです。これら大型猛禽類にとってはすべての電柱や鉄塔が命を奪う危険構造物となっていました。


湿原を貫いて走る鉄道。

写真北海道ではオオカミが家畜を襲うとして駆除され、数十年前に絶滅しました。その結果、天敵がいなくなったエゾシカが爆発的に増えました。オオカミから家畜を守ろうとした結果、今では家畜のエサが食べつくされているのは皮肉な結果としかいいようがありません。道路を列をなして横切り、線路を占拠します。
車や列車とエゾシカが衝突する事故が後を立ちません。避けようとしてドライバーが命を落とす事故も続いています。
JR北海道は線路わきにシカの侵入を防ぐための柵をたてていますが、すべての路線を覆うには時間も経費もかかります。そして何よりエゾシカの増加に手が追い付かない状況です。電車にはねられ線路脇に放置されるエゾシカの死骸に小動物が群がります。そしてその肉を狙ってオオワシやオジロワシも舞い降ります。シカの死骸を夢中でついばむうちに次の列車にはねられ死亡する事故が増えています。
人の都合を押し通して生態系が乱れ、想像もしなかった歪みが生まれています。