ホーチミンのノボテルホテルに着いた時、初めて味わった感覚。
それは今まで感じて来た旅の達成感では無く、得も知れぬ虚脱感であった。
「終わった」
ぼそりと自分自身の中で空虚に呟いた。
ともに旅して来たホンダドリーム(日本名カブ)のスタンドを下げた時、
まわりの空気もどんよりとし重いものを感じた。
大泉洋は目を真っ赤にはらし、そして藤村Dは号泣しだした。
その時、僕は鈴井貴之という個人である事よりも
『ミスターどうでしょう』である事を思い出した。
あのまま一個人であれば、僕も溢れんばかりの涙を流していたであろう。
でも、僕はミスターだ。
ミスターは、ここで泣いてはいけない。
沈着冷静に物事を判断し行動しなければならないのだ。
これが本当の終わりであれば、僕は恥も外聞も忘れ、鼻水を流しながら泣いたであろう。
でも、まだ先は長い。
なにせ、一生この『旅』を続けるのだから。
6年。
どれぐらいこの『一生どうでしょう』の中で来たのだろう。
まだまだだろう。あと30年は続けなければならない。
「そうだよね嬉野さん。いつかチーム70’Sで2ケツやるんだからね」
僕は嬉野Dが構えるカメラに向かいそう呟いた。
だからミスターとしては涙は流してはいけないと思った。
6年間、本当にありがとうございました。これだけ支持してもらえるとは番組スタート当初、考えもしていませんでした。
本当に、感謝、感謝、感謝!!
でも、終わったわけではないので「またいつか!」という言葉で一端しめたいと思います。
巨人も優勝したことですし、心置きなく放送を楽しみます。そしてきっと鈴井貴之
個人としては、泣いてしまうのかもしれないな、、、。
「じゃ!またいつか!」
25日深夜0時 自宅にて
ミスターどうでしょう