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嬉野くんの趣味

藤村 | 2000. 6/28(WED) 10:57


 嬉野くんが、いつのまにやら「私の趣味」について、たいへん興味深い文章を書いてくれていたので、私も感謝の意を込めてひとこと。

 「どうでしょう班」4人のうち、ミスター、嬉野くん、私の3人は、それぞれ趣味は違うが、「凝り性」で「物欲が旺盛」だという共通点がある。欲しいモノがあれば、その写真を日々ニヤニヤしながら眺め、結局無理してでも買ってしまう。

 しかし、残るひとりは「全くの無趣味」。まあ、正しくは「テレビを見ること」と「それに出ること」が、大好きなので、それに対する情熱というのは、我々の趣味熱を大きく上回る。

 あるロケ中、彼が突然「アッ!しまった!」と言いながら、沈痛な表情を見せた。
全員が「どうした!大泉くん!」といろめきたった。
「なにか、大事な用事でもあったのか?」社長であるミスターも、突然ロケ日程を組み、有無をいわさず拉致をしてしまったことに、問題がやはり生じたか!と案じた。
「いや、大丈夫です。なんとかします・・・。」彼は気丈にふるまう。
「大泉くん、本当に大丈夫なのか・・・?」
「ええ、ぼくがいなくても、なんとかなります。この前おふくろにビデオの予約録画の方法は教えましたから。いや大丈夫です。」

「それはなんだ・・・大泉くん、単に録画を忘れたってことか・・・キミは・・。」

「そうです。めちゃイケの。」

それっきり、ミスターはしばらく無口になり、窓の風景をただながめていた。

 さて、嬉野くんの趣味である。   「カメラ」だ。
いつも半分寝ながら長時間回し続ける「デジカメ」ではなく、「写真」の方の「カメラ」だ。

 編集作業中でも、ちょっと目を離すと「M型ライカのすべて」とか「こだわりのスナップカメラ徹底研究!」などという雑誌をうれしそうに眺めている。

「なにしてんだ嬉野くん」
「あっ。いや・・」といって雑誌を閉じる。
またしばらくすると、なにげなく雑誌をめくる音がする。
「だから嬉野くん・・・」
「いや、藤村くん、このカメラ見てごらんよ。ほら、これ」
「いやだから、あんたこそ、こっちの大泉くんのバカ面を見なさいって。編集してんだから今!」

 そんな嬉野くんが、数ヶ月前「ローライフレックス」という大昔のカメラを手にいれた。箱メガネみたいに上からのぞきこむやつだ。そしてデカイ。そして操作が面倒くさい。

 その買ったばかりの「ローライフレックス」を、彼は「四国88ヶ所」のロケに持ってきた。
「おい、嬉野くん、それで撮るつもりか?そんなデッカくて、めんどくさそうなヤツで撮るつもりか?」
当然の疑問を、大泉くんも僕も彼にぶつけた。
「いや、君たち知らないだろう。これで撮った写真はすごくいいいんだぞ。ほら!大泉くんそこに立って!」
そそくさと、ご自慢のカメラをのぞきこむ嬉野くん。
「そうかい?いい写真ができるのかい?よし、じゃあ撮れよ嬉野くん!」
「おりゃー!」勢いよくポーズをつける大泉さん。
「ばか!動くな!ピントが合わないだろ!」
「なんだ?動いちゃだめなのか?」
「このカメラは微妙なんだ。じっとして。ああダメ!動くな!」
すっかり動きを奪われて、死んだような表情になった大泉さんの姿を、それでも嬉野くんはご満悦で写しとったのである。

しかし、やはりそれでは「イキイキとした被写体の表情」がひとつも撮れないことを、じょじょに自覚した彼は、いつのまにか「ローライフレックス」をバッグから出さなくなった。

結局、ぼくの全自動コンパクトカメラが200枚ほどの写真を撮ったのである。