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ドラバラCDの音楽的考察

藤村 | 2004/09/17(Fri) 21:58:16

 「ドラバラ鈴井の巣」から2枚のCDが発売されました。

 「ドラバラ」とは、鈴井・大泉・安田を中心に、他のチームナックスメンバーをはじめ「オフィスキュー所属タレント陣」が総出演のHTB深夜番組。「ドラマ本編」のほか、その「メイキング」や「NGシーン」など撮影中の出来事も「バラエティー」として放送する。ドラマとバラエティーの合体で「ドラバラ」。現在は放送を一旦休止しておりますが、10月14日(木)から新作ドラマを引っさげての久々の復活。

 このドラマ、脚本はすべてタレント陣が書き下ろしています。これまでに制作されたのは以下の作品。

 鈴井貴之脚本「雅楽戦隊ホワイトストーンズ」全3作(1作目のみDVD発売中)
 安田顕脚本「マッスルボディーは傷つかない」(DVD発売中)
 大泉洋脚本「山田家の人々」
 安田顕脚本「アッキー my love」
 藤尾仁志脚本「Have a nice day」
 大泉洋脚本「さよなら朝日荘」

 そして、ドラマの「挿入歌」も基本的にタレント陣が作詞作曲し、自分で歌う。

 「歌」といえば、大泉さんの「本日のスープ」が一世を風靡したけれど、実はそれ以前から彼は自分で歌を作り、歌っていたのだ。ヤツだけじゃない。ミスターも安田さんも、他のナックスの皆さんも。

 そのCDが2枚同時に発売されたというわけだ。

 一枚は、上記作品で使われた歌をすべて収めたフルアルバム「ドラバラ鈴井の巣・コンプリート」。
 そしてもう一枚は、10月14日(木)から放送される新作ドラマの挿入歌を3曲収めた「なんてったってアイドル」。

 あのね。自分の番組じゃないから、オレがそんなに言うこともないんだけど、

 このCDはね、

 「すごくイイ!」

 自信をもって言う。

 「いい!」

 しかしね、「なんであいつらが作った曲がこんなにいいんだろ?」と思うわけ。

 なんでオレ、毎日聞いちゃってんだろ?
 オレだけじゃない。ウチの子供たちまでもが、やつらの歌を大合唱してやがる。

 「なんでだ?」と。

 もちろん、やつらのことを「よく知ってるから」というのが第一にある。だから興味深く聞いてしまうというのはある。でもそれだけで毎日聞く気にはならない。

 やはり、「曲としていいから」聞いてしまうのだ。

 ではなぜ?やつらがそんなにいい曲を作ってしまったのか。

 その理由を自分なりに考察してみた。

 まず、やつらは「アーティスト」なんかじゃないよね。歌が本業じゃない。みなさんと同じく「流行の歌を聞いて」「たまに懐かしい歌を口づさんで」っていうレベルだ。

 そんなレベルの人間が歌を作る。

 当然、ゼロから音楽を作り出すことなんか出来るわけがない。自分の耳に残っているいろんな歌の「残像をつなぎあわせる」という作業しか基本的には出来ないはずだ。アーティストならば、自分のオリジナリティーってものを出さなきゃいけないんだろうけど、やつらにそんな「しばり」はない。どっかで聞いたことがあるメロディーラインをつなぎあわせて全体像を作り上げる。
 言っとくけど、これはでも「パクリ」じゃない。あくまでも耳に残っているメロディーの「残像」を、自分の中で「実像として蘇らせる」という作業をしているのだ。自分の耳に残るメロディー。言い換えればそれは、「誰の耳にも残りやすいメロディー」ということになる。決してオリジナリティーに溢れ、とんがったものではない。

 だから「やつらの歌は、聞きやすくて、子供にもウケがいい」そういう結論に至る。

 とはいえ、「じゃぁ誰にでも出来るか」と言えばそうじゃない。ある種の「才能」が必要だ。

 どんな才能か?

 彼らは役者だ。役者ってのは、「自分ではない、ある人物を演ずる」言い換えれば「架空の人物を自分で作り上げる」のが仕事だ。その時彼らは、その人物の「一番特徴的なエッセンスを抜き出す」という作業をしているはずだ。例えば「物静かな男」を演ずるにしても、ただ気弱なだけの男なのか。それとも本当は芯が強い男なのか。他人が書いた台本を自分なりに解読していく。その中で「ここだ!」と思う一番特徴的な部分を手がかりにして、そこから逆に全体像を作り上げていく。そして最終的に、ボンヤリとしていた人物像を、ハッキリとした実像として、お客さんにわかりやすく演ずる。

 「特徴的なエッセンスを抜き出す」→「そこから全体像を作り上げる」→「わかりやすいものにする」

 それはまさに、彼らの曲作りと同じ行程ではないか。

 そして彼らは、この能力に非常に長けているのだということが、このCDを聴いてよくわかる。

 特にそれが顕著に現れているのが、安田さんの作った歌だ。

 安田さんが作詞作曲した「ハッスルマッスルブギ」「安田国歌」(「コンプリート」に収録)、そして新作CDに収められた「やっちゃうよ。」この3曲は、とても一人の人間が作ったとは思えない、それぞれ全くジャンルの違う曲だ。普通のアーティストならば、「おまえはなにがしたいのよ!」とどやされるほど音楽に一貫性がない。しかし、驚くことにこれらが全て「出来がいい」のである。聞けばわかる。安田さんは「エッセンス抽出能力」が優れているのだ。

 「コンプリート」に収められている「戦え!白き戦士〜GO!GO!GO!」。タイトルはバカみたいだけど、歌詞は、実に小気味のいい言葉が連なって耳ざわりがとても気持ち良い。作詞はミスター。「あんた作詞家になった方がいいって!」当時は真剣に言ったほどだ。

 笑ったのは大泉さんが初めて作った歌「星空のコマンタレブー」。ヤツは「歌は必ず韻を踏むもの」とでも思っていたのか、一番の歌詞と二番の歌詞がすべて韻を踏んでいる。大部分は「無理くり」だが、ただひとつ、「コマンタレブー」を「遠いふるさと、困った礼文」と韻をふんだのは見事だった。

 「涙はいらない」は、ミスターの作詞。歌うのは、オフィスキューの紅一点・小橋亜樹と佐藤重幸。二人ともまず歌が上手い。特にシゲは「戦え!〜」と同様、ミスターの小気味よい言葉の連続感をよく理解し、実にハキハキと歌い上げる。その歌いっぷりが気持ち良い。歌の特徴をよく掴んだシゲの歌唱センスが光る。

 ウチの末っ子が一番好きなのが、森崎博之作詞作曲、そして自身が大声で歌い上げる「オヤシラズノヨウニ」。そして、「ハッスルマッスルブギ〜森崎先生バージョン」だ。さすが私の血を引いてるだけあって、モリの大声にDNAを刺激されるようだ。

 まぁ、ラーメンと同じように人それぞれ「曲の好み」があるわけで、私にも「これが好き」って曲が2曲ある。
 
 ひとつは「コンプリート」にある「月の裏で」。大泉さん脚本の「さよなら朝日荘」というドラマの主題歌で、明るいドラマの雰囲気そのままにとても楽しげな曲で私は一番好きだ。
 そしてもうひとつは、「なんてったってアイドル」の一曲目「勇気の翼」。新作のドラマの内容については、まだ未発表なので詳しいことは言えないが、この曲はねぇ・・・いいよ。特にね、お父さん。小学校ぐらいまでのさ、男の子がいるお父さん。この歌はね、父と子の歌なんだよ。歌詞がいいんだよ。ドラマ見ればわかるけどね、オレなんかね、泣いちゃうよ。

 で、驚いたのはこの2曲、おんなじヤツが作詞作曲している。オレが「好きだ」と思った曲を2曲とも。

 くそっ!ここまでオレのツボをぐりぐりと押しまくるヤツは誰だ!

 わかってるぞ・・・にょういずみ!おまえだろ!

 と思ったら・・・違ったんだよね。

 音尾琢真。

 音尾先生ですよ。

 目と目の間は離れちゃいるが、オレの気持ちは離さない音尾琢真大先生ですよ。

 もうさ、先生がディナーショーやるっつったらオレは間違いなく行くね。5万円ぐらいふんだくられて、メシ食いながら延々2時間先生にこの2曲を繰り返し歌われたってオレは行くね。そのぐらい先生の作る歌はいい。

 ところが、だ。

 大先生とは違う側面攻撃で、オレの魂を揺さぶる曲がもう1曲あるんだよね。揺さぶるっていうか、胸ぐらひっ掴んで投げ飛ばすぐらいの勢いですよ。

 「そう来るかッ!」っていう。

 新作「〜アイドル」に入っている「飲むしょ朝まで」。

 演歌ですよ。小橋亜樹が歌う演歌ですよ。

 まさかぶさいくの演歌にやられるとは思わなかったね。でもこの歌はね、ただの演歌じゃないですよ。ある意味「ニュージャンルの演歌」ですよ。

 だいたい演歌って言えば「男と女の悲しい恋」とか「漁場に生きる男の生き様」とか、そんなものを唄ってるわけじゃない。ところがこの歌は違うんだよ。ある意味「女の生き様」ではあるけれど、なんていうかな・・・歌の始まりがね、小橋の「語り」から入るんだけどね、そっからもうバカげてる。

 「私は、幼いころに父親を亡くし、母親が女手ひとつで育ててくれました・・・」

 そうかそうか。かわいそうにな。

 「だけど、私には素敵な仲間がいます」

 よかったな。

 「そんな仲間と、酒さえ飲んでいれば、私は、私は、幸せなんです」

 アル中か!おまえは!酒「さえ」って・・・おまえもうちょっと他に言い方ないんか。

 で、歌の方はと言えば「聞くに耐えない酒飲み女どもの惨状」が切々と歌われる。

 一番、女3人が「朝まで焼酎飲んでる」
 
 二番、女3人が「昼から風呂入って焼酎飲んでる」

 三番、女3人が「温泉行って焼酎飲んでる」

 目を覆うばかりの三十路女3人の日常を、やたら明るく歌い上げるのだ。途中に入る語りがまた、北海道弁丸出しでバカ丸出し。

 女3人が今夜は一人の家で飲もうという話になる。そしてそのまま泊まっていけばいいと・・・。

 「・・・したけど、泊まる準備してきてないもん」
 「あんた泊まる準備って、いつもパンツもはかないで寝てるべさ」
 「いや、あんた見たの?」
 「見たのって、あんたが全部出して寝てんだわ」

 もう目も当てられない女どもの所業である。

 すごいな。これを演歌にするとはすごいな。これは世に言う「結婚できない負け犬女たち」を歌った歌じゃないか。それを「演歌」で、しかも「あっけらかんと」歌い上げる。その感性が鋭い。

 作ったのは誰だ!

 作詞作曲・・・大泉洋。

 さすがだ!さすがはにょういずみ。度肝を抜いてくれる。この曲は、ヤツが小橋の実体験を元に作ったそうだ。女3人とはつまり、小橋とメイクの諸橋と、そしてバカスタイリスト小松のことだろう。そういえば「ジャングル・リベンジ」の時、前枠の衣装を発注しようと思ったら「今、小橋たちと定山渓温泉に来てんだわ」と言われた。そうか、あん時の歌か。

 「負け犬演歌」とでも言うのか。

 しかしこれは、決して女たちを哀れむ歌ではない。

 むしろそんな女たちをやさしく見つめる歌だ。

 まぎれもなく女たちを元気づける歌だ。

 素晴らしい。

 是非一度、聞いてみて欲しい。

 ※CDについての詳しい情報は、「ドラバラ」のページをご覧下さい。

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