now onair

NEXT

ステレオカメラ購入の巻

藤村 | 2000. 8/10(THU) 18:41


 さて、先週は「ドラマ」のロケハンを敢行。そして今週、ついに嬉野くんの脚本が完成いたしました!

 「この話は嬉野くん・・・たまらんぞ!絶対見たくなるぞぉ!これは!」
 「そうでしょ?」
 「いやぁ、撮るぞぉ!スケジュールも早く決めるぞぉ!やぁるぞぉー!なぁ!嬉野くん!」

 「ん?ああ、そうだね・・・ふう」

 ソファにどっかと腰をおろす嬉野くん。そしてなにやら1冊の本を取り出す。

 「なんだ?その本・・・日英同盟?なんですか?それは・・・」

 「いや、藤村くんあれだね。やはり海洋国家同士の同盟というのは利害が対決しないから・・・」
 「いやいや、そうじゃなくて。なんで今そんな本を急に・・・(まさか!嬉野くん、ここへきて戦争ドラマに変える気か?それも海戦となったら、空母とか出てくんのか?)」
 「もうさぁ、ちょっとは休ませなさいよ。気分転換でしょ、これは。」
 「ああ、気分転換か・・・」

 気分転換に「日英同盟」もないもんだ、と思ってはみたものの、やはりこのところずっと「怖いシナリオ作り」に、それこそ「怖いくらい」没頭していた嬉野くんのこと。確かに、かなり疲れていたんだなぁと思ったのでした。
 
 そんな嬉野くんが、最近また「とんでもないカメラ」を手に入れました。

 6月ごろ、この「スタッフルーム」に自身が書き込んでいた「ステレオカメラ」というやつです。

 ほら!ディズニーランドとか、サッポロファクトリーのIMAXシアターなんかでへんなメガネかけて見ると、びっくりするぐらい「飛び出すやつ」あるでしょ?
 あれの写真版とでもいうやつです。

 写真の場合、ちょっとだけ角度の違う写真が2枚横に並べてあって、それを例のメガネで見てみると、あーら不思議!本当に立体的に見えるのです。

 そんな「飛び出す写真が撮れるカメラ」を買ったのです。あの人は。
 
 「おやおや、それが例の・・・」
 「ん?そうです。これです。」
 「ほーっ。レンズがふたつあるぞ。」
 「そう。これで同時に2枚の写真を撮るわけ。」
 「なるほど。撮って。」
 「え?」
 「撮ってみて」
 「撮れない。」
 「撮れない?なんで?」
 「こわれてる。」
 「壊れてる?なんで?買ったばっかりなんでしょ?」
 「もうこわれた。」
 「なんじゃそりゃ。」

 そうです。このステレオカメラというやつは、えらい昔に生産中止になって、今や「大丈夫か?これ?」ってぐらいの中古モノしか現存しないらしいのです。

 「飛び出す写真」なんてものに興味を抱くのは、たぶん世界中で嬉野くんのほかには、もう2~3人しかいないのでしょう。

 しかし「ぜひ!写真集第2弾の目玉は、飛び出す大泉さんで!」と意気込む嬉野くんは、さっそく修理を購入先の東京のカメラ屋に依頼したのでした。

 待つこと数日。

 修理を終えたらしい「ステレオカメラ」を喜々としていじり回し、

 「さて、何を飛び出させてやろうか」

 ・・・とターゲットを探し求める嬉野くん。
 
 するとそこへ、呼びもしないのに「飛び出す男」が、ふらりと現れたのです。

 「お!なんだ嬉野くん、それ。」
 「おや、大泉さん。ちょっとそこに立ちなさいよ。」
 「だからなんだ?って言ってるでしょう。」
 「すごいぞ、大泉くん。嬉野くんは飛び出すカメラを手に入れたぞ。きみ飛び出すぞ。」
 「オペラグラスかと思った。」
 「いいから立ちなさいよ。」
 「よし。こうか?」
 「あれだ、手をこうグッと前に突き出して。距離感が大事だから」
 「よし。のぉわーッ。」
 「そうそう。あと唇もグッと前に出して」
 「こうか?むぅっ。」
 「ははは・・そうそう。目も。」
 「目も?」

 そして数日後。嬉野くんのデスクの上には、

「すんごい形相で目ん玉をひんむいた男が、こぶしを突き出し、口をとんがらせて静態している」

 という不思議な写真が2枚並んでいました。

 「見てごらんよ。」とメガネを差し出され、「どれどれ・・・」と見てみると・・・

 「うはははは!飛び出てるよ!大泉さんが!うはははは!バカバカしい!」

 小さな写真の中で、えらい形相でこぶしを突き出す立方体の大泉さんが「お菓子のおまけ」のようで笑ってしまいました。

 しかし、これは間違いなく「写真集第2弾の目玉」になるでしょう。

 そして、つい5分前の会話。

 「なに書いてんの?」

 「ん?あなたのステレオカメラの話、スタッフルームに 書いてんの。」

 「あそう。でもあれまたこわれたぞ。」

 「また壊れたの!」

 「ピントが合わなくなった。もうあのカメラ屋のおやじ、許さん・・・。」