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5・31 「原付西日本制覇 第2夜」

藤村 | 2000. 6/ 2(FRI) 11:06

 徐々に、旅が本格化してきました。
やっぱり「張子の虎事件」ですな。
ああいう「不慮の事故」は、いつ起きるかわからない。
でもやっぱり「落ちる瞬間」の映像がないと、話としてまとまらない。
だから、たいへんなのは嬉野くんです。なんせ、一日中カメラを回しっぱなしなのです。こんなこと普通のバラエティ番組では、絶対にあり得ないことです。ドキュメンタリー番組でもやらないでしょう。防犯カメラじゃないんだから。あまりにも無駄が多すぎる。
しかし、「一瞬」を逃さないためには、これ以外方法がありません。
 大泉くんが、そんな嬉野くんを見てフト言いました。
「嬉野くんは、あれだろ、僕らが事故るのをずっとそうやって待ってんだろ。申し訳ないけど、そんなに簡単に起きないぞ。だって起きちゃったら死んじゃうもの」
 その通りです。しかし、2週目までにも、カットした中にいくつか危ないことがありました。
1、よそ見をしてて、しばらく対向車線を走っていた大泉さん。
2、路肩に勢いよく乗り上げたミスター。
3、立ちゴケしそうになり、ギリギリのところでふんばった大泉さん。
4、なき砂の浜の駐車場で、後輪が思いっきり砂に埋まり、コケそうになったミスター。
5、城崎温泉を出発する朝、カブを出そうとして転び、バックミラーを壊した大泉さん。
6、後ろからトラックに追い越され、ぶつかりそうになった大泉さん。

2週目までの行程だけでも、こんだけありました。しかし、編集して見せるためには、その前後のセリフがちゃんと「笑える」ものでないと、なかなかうまくいきません。難しいです。

 さて、カットしたお話の中からひとつ。

初日、京都を出発し「いのしし雑炊」を食った時のこと。
食い終わった後、放送でミスターが
「一時間かかりましたね」と言ってました。なぜ、昼飯に一時間もかかっちゃたのか?

「ぼたん雑炊」の看板を見つけた我々。「いのしし」とは珍しい!さっそく店に入ってみる。

「こんちわー!」
奥からのっそり、おやじが出てくる。
「いいですか?やってます?」
「やってるでぇ」
内心、疲れきったおやじの姿を見て「ちょっと、失敗したか、これは」と思ったが、とりあえず「ぼたん雑炊」と「鹿刺し」を注文。

30分経過。ぜんぜん出てこない。いやな予感がしてVTRを回し出す。
「出てきませんなあ」
「大丈夫かい?藤村君。僕らまだぜんぜん走ってないよ。こんなとこで足止めくうとマズイぞ」

しかし、そこへ雑炊を持ったおやじが現れた。
「おまっとさん」
「いやあ、きたきた」
「おたくら、ここ来るの始めてか?」
「そうです」
「そらあ、待っとるのなんぎやったのぉ。」
藤「あれですか、今日なんて早い方なんですか?出てくるの」
「おお、早いもんや、みんな日ぃ暮れても待っとるで」
「!!」
「あれか?鹿刺しも食うか?」
藤「食いますよ」
「冷凍してあんのやけど...大丈夫か?」
藤「ああ、大丈夫ですよ」
全員「!!」
「そうか、ほなやるか」とぶつぶつ言いながらおやじがまた奥へ消える。
大「おい、藤村くん。キミ大丈夫って言ったけど...あのおっさん明らかに、時間かかるぞって言ったんだぞ」

確かに、あの一瞬、私の脳裏に「ここで時間くって、日がくれちゃったら、あせるだろうなあ」という悪魔的な思考がひらめいたのは事実。

しかし、その後おやじががんばって15分ほどで「鹿刺し」の登場となり、一時間ほどで食事を終えたのでした。
あれが、2時間以上かかってたらネタになったでしょう。

ちなみに、「ぼたん雑炊」山椒がピリっときいて、今でも思い出すほど美味かったです。