水曜天幕團本陣へ

口上書 北海道最強!夢のエンターテインメント・ユニットがついに誕生!
HTBの藤村忠寿D.と嬉野雅道D,という「水曜どうでしょう」コンビと、札幌を中心に圧倒的な人気を得ている劇団ユニットTEAM-NACS(チームナックス)5人とのコラボレーションが遂に実現。
黄金のコラボレーション・ネームは”水曜天幕團”。
挑むのはかつてないスケールの大きなサムライ・エンターテインメント!題目は「蟹頭十郎太」!
何と時代劇に挑戦です!
北海道テレビが開局35周年企画としてこの10月にお贈りするドリーム・プロジェクトにご期待下さい!

  藤村D 「チームナックスの皆さんとお芝居を作りたい。」
そんなささやかな希望が今回、やたらデカイ規模で実現することになりました。

「水曜天幕團」。

ミスターが言った「テント芝居とかおもしろそうですよね」という一言から、すべてが始まりました。さすがミスターだと思いましたよ。だってね、既存の劇場で芝居を打つのではなく、わざわざテント小屋を建ててそこで芝居を打つ。言うなればそこに「異空間」を出現させるわけです。これは胸が躍りますよ。
そして嬉野先生が書いた原作は、バリバリの時代劇。これまたイイですよぉ。だってね、時代劇ってのはある意味「現実離れ」してるわけですよ。ちょっとした「空想の世界」ですよ。でもね、決して「SFの世界」とは違う。ちゃんと「現実世界のリアルさ」も見事に同居している。これはもう芝居の世界にうってつけなんじゃないかと思うんです。セリフのひとつひとつが「ウソくさくて浮世離れ」していても、どこか見てる人々に「リアルさ」も植え付けていく。まさに、時代劇マジックと言えます。ねぇ、そうでしょう。
今回の出し物、題名は「蟹頭十郎太」。「かにあたま」と読みます。戦国時代に生きたひとりの旅の浪人のお話でございます。お話はもう、浮世離れしています。「もののけ」だって登場します。なにより衣装が現実離れしてます。そりゃ全員、着物ですもん。羽織、袴に具足をつけて、腰には刀を差してます。この衣装だけでも皆様を現実世界から逃避させます。でも、蟹頭十郎太の言葉は、どこかリアルで「うん。そうだよな」とうなづいてもらえる。そんなお芝居を目指しております。
「水曜どうでしょう」というバラエティー番組を作っていた人間が今、おこがましくも「お芝居」を作ろうとしております。大泉さんはじめ、ナックスの面々、さらに札幌で劇団をやっている方々には、「なにをこしゃくな」と思われることでしょう。しかし、お芝居は本当におもしろいと思います。だから「オレにもやらせろこの野郎」と思う次第でございます。決して我々は奇をてらったことをしようなどとは考えておりません。芝居自体はストレート。泣いて、笑って、驚いて。そして最後にはスカッとする。演劇をやっている人々であれば「今さらこっぱずかしくてできねぇよ」という芝居をぶちかまします。 いやぁ、楽しみだ。早く観たいよ。水曜天幕團。
 

  嬉野D 新潟で蜷川幸雄先生の「シェークスピア」劇を見て、涙が流れて仕方がありませんでした。 そらぁぼくも年を取って泣き虫になってはいますよ。でも、ぼくはね、テレビや映画では味わえない初体験の感動を全身で受けたんだと思うんですよ。カーテンコールに出てきた役者さんに惜しみない拍手を贈りましたもの。泣きながら。もう、手を叩かずにはおられない。「ありがとう!生きてて良かった。あぁ、お芝居ってなんて素敵なんだろう」思いましたよ、本心から。これだったらやりたい。背伸びして、爪先立って、両手を伸ばして、せめて天下の蜷川先生の足の裏をくすぐることができたらいいじゃないですか。ぼくの中の出発点はそこだったな。さっそく構想を練りましたよ。まず主人公の名前を鷲頭十郎太と命名しました。二枚目ですよ。ところがその名前を見て藤村先生がおかしなことを言い出すんですよ。「あいつ(大泉さん)の頭ってさ、昔、カニみたいだったじゃん。」ぼくは、嫌な予感がしたんですよ。「鷲の頭で、わしずでしょ、蟹の頭って書いたらなんて読むんだろう」藤村くんが聞くんです。ぼくは答えましたよ。「かに・あたまかい?」「かにあたま!」よっぽどツボに入ったんですね。一人で笑ってるんですよ。もうだめですよ。もう主人公の名前は蟹頭ですよ。「シェークスピアはどうなるのよ。蟹頭でシェークスピアはやれんだろう!」「黒澤先生の『用心棒』って映画あったでしょう。」「『用心棒』?何の話だよ。シェークスピアだろ。」「最後に『あばよ』ってセリフで終わるんだよなぁ」「最後に『あばよ』って言うのか!シェークスピアが!言わねぇだろ!」なーんつって、まぁね、いろいろありましたよ。でもね、最終的に藤村くんがまとめた台本は良い物になりました。プロデューサーの四宮さんを入れて三人で書いた甲斐がありましたね。笑わせながらも、しっかりと泣きのシーンもあるんです。ぼくはね、台本読んだだけで泣きました。「良かった。良かったねぇ十郎太。辛い人生だったものねぇ。でも生きてて良かった。生きて行くうちには良いこともあるんだよねぇ」もう頭の中にイメージが出来上がってますから、読んだだけで泣いてしまう。後はね、ぼくらのお芝居を見ていただくみなさんにこの気持ちが素直に伝わるように、役者さんたちと一緒に、そのイメージを丁寧に作り上げて行く。それがこれから始まる稽古で、ぼくたちがやりとげなければいけないことなのだと肝に銘じております。テレビ屋という、謂わば演劇界の埒外にいるぼくらだからこそ今時こんなオーソドックスな芝居が出来るんですよ。それくらい物語もテーマも素朴なの。でもその素朴なテーマは、今の時代にも依然として有効なものだとぼくは思っています。このお芝居はね、蟹頭十郎太という一人の不幸な男の再生の物語です。けれど、その悲劇の主人公、蟹頭十郎太の頭の形はちっとも悲劇ではない。あんな頭で大泉さんは悲劇の主人公を演じきらねばならない。満場の涙をさらわなければならない。出来るのか大泉洋。危うし大泉洋。だが、そんな無謀な足かせを敢えて主人公に嵌めて舞台へ放り出すのが「どうでしょう」演出家の藤村忠寿の面目躍如たるところなのだと、彼に7年も付き合ってきたぼくは今、改めて思い、そしてなにやら感慨深くなるのです。  

「水曜どうでしょう芝居プロジェクト「水曜天幕團」に関するウラ話はココ!」
2003/08/25 夢のテント芝居集団「水曜天幕團」ここに参上! [藤村]
2003/07/29芝居公演への道! [藤村]
2003/06/17 水曜どうでしょうプレゼンツ「TEAM−NACS芝居公演」 [藤村]


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