スペシャルドラマ そして明日から
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プロデューサー・ノート
 
 北海道テレビ(HTB)は2000年の作品からプロデューサー自らが企画・原案を手がけ、北海道の地方都市を舞台にした「家族の形」をテーマとするオリジナル・ドラマを制作してきました。「そして明日(あした)から」は私が手がける4作目、そして北海道テレビとしては第9作目のスペシャルドラマです。昨年「夏の約束」というドラマを作った直後から、息子から見た父親の話をドラマにしたいとずっと考えていました。それは私の父が病気で人が変わったように塞ぎがちになって、本当は話したいことがたくさんあるのにちゃんと話せない関係になってしまったことも少なからず影響を与えていたように思います。「そう言えば父親とちゃんと話をしたことなんかないなぁ」そんな思いがこのドラマを作るスタート地点となりました。何となく函館を舞台にしようかなと・・・そんな思いで街を歩いていると一軒の古びた洋服店が目に止まりました。紳士服の仕立て屋さんでした。私の父は仕立て屋ではありませんでしたが、学生服の店をやっていて幼い頃は、仕事場でチャコを引き、生地を裁断していたランニング姿の父の姿をよく覚えています。聞けば、最盛期には150軒を超える紳士服店が函館にはあったそうですが、昨年に組合も解散し、現在は数軒のお店が細々と営業をしているものの、今年中には全部なくなるだろう。そんな話だったと思います。仕事場に入らせていただいた時、私が感じたのは父の匂いでした。
 別れた父親に結婚式の招待状を出した主人公の家族に巻き起こる小さな心の波紋。出席出来るはずもない父は自分の身代わりのように礼服を仕立て始める。そして父もまた人生の岐路に立っている。そんなドラマを作りたいと岩松了さんにお願いしたのは昨年の11月のことでした。岩松さんは次郎を取り巻く人物の糸を幾重にも織り上げ、言葉少ない会話の中に再生し始めた親子の情愛が滲むシナリオに仕上げて下さいました。ドラマのタイトルは吉田拓郎さんの名曲「今日までそして明日から」から岩松さんが名づけたものです。主人公・次郎がなぜ11年前に別 れた父に出席できるはずもない招待状を送ったのか。その理由を想像していただけたなら、これほど作り手として幸福なことはありません。「親子のきずなは変わらない。でもそれぞれが人生の選択をしてゆくのだ」と。
北海道テレビ ドラマプロデューサー 四宮康雅
     
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