夏の約束
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主演4人撮影イメージ写真
  プロデューサー・ノート    

 昨年8月末に全国放送いたしましたスペシャルドラマ「夏の約束」は、平成14年度文化庁芸術祭においてテレビ部門ドラマの部優秀賞を受賞いたしました。

 HTBでは第6作目となる、2000年「ひかりのまち」からプロデューサー自らが企画 ・原案から手がけるオリジナルドラマという制作スタイルを切り拓いてきました。 「ひかりのまち」では観光都市・函館のもう一つの顔をベースに、独居老人と心の交流をすることで成長する少女の姿を通 じて、また「丘をこえて」(2001年)では少年が白日夢のように経験する、死んだはずの姉が真夏の一日だけ帰ってくるという奇跡のファンタジーを通 じて、それぞれ“家族”の形の在り処、絆の大切さを描き出しました。 「夏の約束」は知床半島の付け根にある小さな港町、ウトロ(斜里町宇登呂)を舞台に、気づかないうちに母親や故郷と心の隙間を抱える娘と母の心模様を縦糸に、迫る老いと向きあう親の不安、家族のぬ くもりを求める少女のせつなさを低音部に描いた家族の愛情物語です。家族とは何でしょうか?同じ屋根の下に一緒に暮らしていれば家族たりえるのでしょうか?いや遺伝的につながっていればそれは親子であり、家族なのでしょうか?昨今の悲惨なニュースを聞くたびに、家族であることの意味、家族の形の在り処が今ほど試され、また問われている時代はないと思います。 

  知床に佇んだ時、最果ての風情がそうさせたのか、私の心には遠く離れほとんど
没交渉同然となっている親のことが猛烈に思い出されました。“遠く離れ老いていく親への思い” そのことがこのドラマのモチーフとなりました。家族とはそれぞれが努力して一緒に作り上げるたった一つの長い物語だと思っています。親子だから言葉に出来なかったことがあります。家族だから伝わってると(自分勝手に)思っていたこともあります。「愛してる」って、たったそのことが伝えられなくて、伝わらなくて、求め合っていてもすれ違い、葛藤するのが家族ではないでしょうか。まして遠く離れて暮らしている親子であればなおさらではないかと思うのです。家族とはお互いを思い合う気持ちの形のことだと思います。その在り様が伝えられた作品になって たのであれば、これほど嬉しいことはありません。 

 今後もキー局とは違った形で、スタイルで、ドラマが持つ人間表現のエネルギーをこの北海道から発信し続けたいと願って止みません。何卒ご声援いただけますようお願い申し上げます。

平成15年1月吉日
北海道テレビ ドラマプロデューサー 四宮 康雅
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