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番組審議会だより


 北海道テレビ放送では、番組審議会委員10名の方による放送番組審議会を設け、毎月1回(8月と12月を除く)審議会を開催して、放送番組の内容をはじめ、放送に関する全般的な問題についてご意見を伺い、番組制作の参考にさせていただいております。
番組審議会でのご意見は,番組モニターの方のご意見とともに、2ヶ月に一度第3日曜午前5:05から放送の「あなたとHTB」でもご紹介していますのでどうぞご覧ください。

第453回北海道テレビ放送番組審議会概要

日時

2013年4月18日(木)
15:00~17:00

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審議番組

「ありがとう!チィ先生~カンボジアの子供たちに夢と笑顔を~」
2013年3月17日(日)12:00~12:55

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出席委員
内田和男 委員長
新谷朋子 副委員長
平島美紀江 委員
伊藤千織 委員
大西昌美 委員
烏日娜 委員
真弓明彦 委員
作間豪昭 委員
閔 鎭京 委員
西川祥一 委員
会社側出席者
代表取締役会長 荻谷忠男
代表取締役社長 樋泉 実
取締役 林 亮一
取締役 持田周三
CSR広報室長 国本昌秀
報道情報局長 寺内達郎
編成局長 川筋雅文
CSR広報室部長 岡 仁子
番組担当プロデューサー 多田 健
番組審議会事務局長 四宮康雅

【会社報告】

  • 4/1付、組織の一部変更と人事異動
  • 「チィ先生のちいさな音楽隊」がニューヨーク
  • フェスで銀賞受賞
  • 開局45周年記念ミュンヘンフィル札幌公演、キタラ大ホール満席で成功裡に終了
  • HTB北海道onデマンドスタートから1年
  • 放送番組の種別の公表制度に基づき、(2012年10月~2013年3月)の各第3週の個々の放送時間の種別、種別毎の放送時間を報告
  • ホットラインマンスリーレポート2013年3月
  • 番組モニター報告書2013年3月

【委員の意見要旨】

◇ドキュメンタリーとして抑制が効いた秀逸な作品。音楽や演出で視聴者を泣かせ、または怒らせて人の心を揺さぶることもできたと思うが、その誘惑を我慢し、過度な演出を排しているからこそ、事実が迫ってくる。

◇先生の給料が平均生活費の六分の一と低く、教育に力が入らず副業をしている人も多いと説明したうえで、遊具でぶらぶらする先生たちを映し出したシーンは、カンボジアの教育現場の実情を伝えるうえで効果的。

◇ポルポト政権の爪痕は想像以上で、多くの社会問題、特に貧困、教育、海外支援からの自立など、いまだに根深く巣食っている現実を痛感した。

◇チィ先生の同僚の先生や校長先生など、子どもたちの未来に希望を託せるような良識を持った聡明な大人の素晴らしい表情と、貧困の中で子どもを捨てる親、深夜に子どもを労働させる親などの表情との対比は、私たちに多くを語るものだった。

◇全校音楽パレードはさらっと終わらせ、日々の生活、クリスマスのエピソードなど、小さな積み重ねにフォーカスした構成に好感を持った。

◇国際支援活動の意義や難しさ、活動に参加する人々の志の高さ、徐々に変化を見せつつもポルポト政権の後遺症に苦しむカンボジアの人々、屈託ない子どもたちの笑顔の向こうに垣間見える未来の姿など、広範にわたり考えさせられ、納得させられる卓越した作品。

◇長期間の取材を通して、取材者とチィ先生、ともに暮らす5人の子供たちとの信頼関係が、自然な表情や言葉に表れている。作品のリアリティと説得力を高めていると思った。

◇川遊びのシーンで、チィ先生に子どもを返せと言われる怖さについて質問を投げかけ、暫くの沈黙の後、イヤだけど、イヤだから引き取れないとはいえないという言葉を引き出していた。答えるまでの長い「間」、子どもたちの歓声や水音をバックに、チィ先生の優しさの裏側にある親や教育に対するやりきれなさを思わせる映像として深く印象に残っている。

◇田中千草さんが人生のすべてを賭けて、ポルポト政権が破壊しつくした状況に飛び込んでいく勇気ある行動に感動した。自立する力を子どもたちに求め、教師の意識改革を促し、自ら行動することで、求められる教師像、子どもたちに対する責任感を理解させていく姿が、カンボジアの先生のインタビューを通じてストレートに伝わってきた。

◇森さやかさんのナレーションは、声、トーンともに映像にマッチしていた。音楽も控え目で好印象。

◇前半でカンボジアの歴史や現状に触れ、チィ先生の活動を紹介、次に日本でのバザーなど経済的背景を説明し、自ら子どもを引き取り育てていることを紹介、後半では子供たちの夢が語られ、チィ先生の意思を継ぐ少女が教壇に立つシーンで終わる・・過不足のない番組構成が素晴らしい。

◇世界共通言語といわれる音楽を介在させたこと、周囲の人的資源や人脈を最大限に活用し資金を集めるエピソードには、彼女の知恵が光る。また危険を顧みず、家庭訪問し、子どもたちを学校に通わせない親を説得するシーンには勇気が溢れている。子どもたちに優しく接する姿には愛が満ちている。

◇全編にチィ先生の溌剌とした明るい性格と生き生きした表情が映し出されていた。特にクライマックスとなるシーンはないが飽きずに見ることができた。重い内容ではあるが、非常にエンターテイメント性に優れた作品に仕上がっている。

◇チィ先生が教師や学校、親に働きかけていく姿、骸骨を映像にはさみこみポルポト政権の残虐性に触れるなど、豊富なエピソードがテンポよく構成されている。子どもたちの折々の笑顔に救われ、重い内容ながら明るい気持ちで見ることができた。「全ての子どもを救えているわけではない」などの安易な揶揄を跳ね返す力に溢れ、彼女の覚悟のほどが画面から伝わった。

◇カンボジアでは、「子どもたちは未来を担う財産」という意識があまりにも低く、国や家の維持のためには、あるもの、あるひとすべを使おうという状況が如実に描かれていた。過去の誤った政治が生み出した歴史が、今にどれほどの悪影響を及ぼしているのか、大変わかりやすく伝えてくれた。

◇「貧しいけれど夢がないわけではないのです」というチィ先生の言葉が深く心に残る。子どもたちの輝く笑顔、音楽や勉強に一生懸命頑張る姿、夜中の空き缶拾いなどの手伝いのため勉強時間がないと訴える様子など、純粋な子どもたちに胸を打たれた。高学歴だが熱心に勉強しないといわれる、日本の子供たちの現状を踏まえると、学校の教育現場でも使える番組ではないか。

◇田中千草さんという北海道出身の日本人の存在を知り得たことが大きな喜びであり、広く世間に紹介した意義は深く、作品を高く評価したい。

◇チィ先生が子供たちと一緒に食卓を囲む、何ともいえない明るい温かい光景に心打たれた。このような家族そろって食事をすることが、今の日本では失われつつあるのではないだろうか。また、絵葉書作りのシーンでは、子どもたちに役割を与え、成し遂げる様子がつぶさに描かれていた。子どもたちと少し距離を置き、見守るチィ先生の姿に、子育ての真髄を見る思い。

◇第一弾で語られていたのであろうが、チィ先生が、なぜ海外青年協力隊でカンボジアへ赴き、そのまま居ついたのか、本作でプロセスの一端を説明して欲しかった。

◇最後にチィ先生の養子になった高校生が教壇に立つシーンで終わるが、話の強さがなく説得力に欠けていた。

◇仏教国でありながら、クリスマスを祝う意図、里子やストリートチルドレンにプレゼントを渡すが、不公平はないのか、サンタの格好で、バイクタクシーで街を走る様子は贅沢に映るのでは・・など疑問が残る。

◇このドキュメンタリーから視聴者に発信されたメーセージを、日本社会においてどのように応用すればよいのかまで視点を広げ、提示できたら良かったのではないか。

◇引き続きチィ先生の取材を継続し、あわせてODAやJICA事業の光と影、ボランティア活動の限界など、さまざまな側面を掘り下げた番組制作に期待したい。

◇子どもの問題は大人の問題である。カンボジアだけでなく日本にもあてはまる普遍的な問題提起がなされている。広く国内外で視聴されるべき良作。

※次回の審議会は、2013年5月30日(木)です。