【テレビ初証言】牧場での過酷な日々「飲み水に虫やごみが…」長年続いた“障害者虐待” 北海道恵庭市
2024年10月18日 22:51 掲載
HTBが取材を続ける、恵庭市の牧場での障害者虐待の問題。住み込みで働いていた3人が牧場などを訴えた裁判が続く中、過酷な状況を目の当たりにしていた男性がテレビカメラの前で初めて証言しました。
中度の知的障害がある佐藤さん。子どものころから好きだったというラジコンですが、およそ2年前まで、自由に楽しむことができなかったと言います。
佐藤さん(仮名・60代):「やっぱりやりたかったよね、ラジコン」。
恵庭市にある遠藤牧場。佐藤さんを含む知的障害のある3人が、長年住み込みで働いていました。毎日、朝から晩まで休みなく働いても、給料はなし。牧場の一角にあるプレハブ小屋が、佐藤さんの住まいでした。
佐藤さんがおよそ20年、最も長い人でおよそ45年続いた牧場での生活は、過酷なものでした。3人が暮らしていた部屋に水道はなく、ストーブも使えない状態だったといいます。
遠藤牧場で働いていた佐藤さん(仮名・60代):「『燃料も高くなったからもう(ストーブ)駄目だ』と言われて。(Q.冬、寒い日もあると思うが、布団にくるまるだけで大丈夫だった?)いや、布団にくるまっても、ちょっと同じことだね」。
佐藤さんらは去年8月、牧場と恵庭市を相手取り裁判を起こしました。劣悪な環境で住み込みで働かされた上、20年間で障害年金5000万円以上を牧場に搾取されたと訴えています。また、恵庭市も障害者虐待を隠ぺいしたなどとして、合わせておよそ9400万円の損害賠償を求めています。
遠藤牧場での劣悪な環境を目の当たりにした人が、HTBの取材に応じました。
遠藤牧場に出入りしていた男性:「飲み水として豚舎の向かいに漬物樽があったんですね。くんだ水で体を拭いたり、飲み水として使っていたのを見たんですよ。木のふたはあったが、虫やごみが浮いていたり、それをできるだけよけて入れているようなところを見てしまったので」。
3人を心配した男性は、度々、弁当の差し入れをするなどして、サポートしていたということです。
遠藤牧場に出入りしていた男性:「朝ご飯は変わらないと聞いていたし、昼夜も同じものを出されることも多々あった。ごはんの上に卵がかかっていて、その上からお湯がかかっているという説明を、ずっと何十年も聞いていますね」。
提訴から1年以上。問題の実態解明は進まず、双方の主張は平行線のままです。これまで牧場側は、「労働の対価」についてこう説明しています。
牧場側の答弁書:「報酬としてはないが、お菓子、ジュース等の提供をしていました」。
また、恵庭市側は虐待の認識はなく、隠ぺいもしていないと主張しています。
佐藤さん(仮名・60代):「お金のことは、早くみんなにも返してほしいと思っています」。
牧場という閉鎖的な空間で長年続いた障害者虐待。HTBではこの問題を追ったドキュメンタリー番組を制作しました。
彼らは、障害者だから救われなかったのか?
テレメンタリー2024「沈黙の搾取 見過ごされた障害者虐待」は、21日(日)深夜1時15分放送です。(※日時違い全国放送)