now onair

NEXT

SODANEは2020年6月、サイトをリニューアルいたしました。最新記事は下記よりご覧ください

SODANE

道内初開催!「北の大地で仲間を作ろう! ライティング仕事の広げ方」#ライター交流会@札幌 イベントレポート

コラム

宿木 雪樹

2019/07/20

01.jpg

平成から令和に変わってちょうど1カ月を迎えた2019年6月1日、札幌 #ライター交流会 vol.1が開かれました。記念すべき北海道初開催となった会場は、北海道テレビ放送(HTB)内のコミュニティスペース。道内情報発信の中枢であるHTBで、ウェブメディアや雑誌を中心にコンテンツを制作する道内ライターが一同に集う会を開く......。これは歴史に残る一日になる予感です。

02.jpg

会場には、北海道でコンテンツ制作に関わるライター、編集者やフォトグラファー、イラストレーターなど、38人の申込者が集まりました。札幌、小樽、函館、旭川、北見、帯広と道内各地からはもちろん、東京、福岡(!)から足を運んでくださった方々も。登壇者やHTB関係者も含めると、参加者は総勢50人超。当日の札幌は涼やかな快晴でしたが、会場には熱気が満ちていました。

「道内に帰ったら、酪農をしながらYoutuberになりたい」

03.jpg

第一部のゲストトークでお招きしたのは、北海道出身のライターモンゴルナイフさん。オモコロなど面白コンテンツの企画会社として知られる株式会社バーグハンバーグバーグでライティングや編集、ディレクションを務めています。そして全国各地で#ライター交流会を主催するコンテンツメーカー・ノオトの宮脇淳さんが聞き手となり、密度の濃い話が飛び交いました。

面白いネタはチームワークから生まれる

宮脇:普段、コンテンツや企画はどのように作っていますか?

モンゴルナイフ:社員で輪になって、とにかく「面白いネタはなんだろう」と話し合っています。雑談を交えながらPRにつながるものを探っていく...というパターンが多いですね。

宮脇:バーグさんは天才的なライターが目立ちますが、思いのほかチームプレイなんですね。

モンゴルナイフ: 会話はとても大切です。雑談からもどんどんいい発想・いい企画が生み出されてますから。一人よりもチーム一丸となって面白さを追求するスタイルです。

宮脇:ノオトでも、社員の1人が文化放送(FMラジオ)へ週に1回だけアシスタント業務で通っていて、音声で伝える魅力的なコンテンツの知見を深めています。領域を広げ、アイデアを出し合う場の重要性を改めて感じますね。

ライター・編集者から見た音声・動画コンテンツ

モンゴルナイフ:先日Voicy【※】のイベントに参加し、今後は音声コンテンツのニーズは高まるなと思っています。テキストコンテンツが動画化される傾向もありますし、ライターや編集者が文字の表現だけにとどまる必要はないのかな、と。

宮脇:ライターの仕事はもちろん「書く」ことですが、そこから「出演する」みたいな横展開も一つありそうですね。

モンゴルナイフ:ライターは普段からアンテナを立てて面白い情報をつかもうとしているので、その情報をアウトプットする手段として文字にこだわらなくてもいいかもしれませんね。インタビューやイベントなどで話すことが好き・得意というライターは、これから音声コンテンツで活躍していくのかもしれませんね。

【※】Voicy:「声のブログ」をコンセプトとした音声メディア。各業界で活躍する著名人がラジオのように語る音声が話題を呼び、リスナーを増やしている。

04.jpg

一国一城の主になるチャンスがある地方×SNS時代

モンゴルナイフ:地域で頑張っている人って、名が挙がるのが早いと思うんです。SNSが普及している今、エリアならではの共感を集めて、かつ面白い人は自然と注目されますから。それこそ一国一城の主になれるかも(笑)。

宮脇:なるほど。それに加えて、#ライター交流会のようにオフラインで出会える場があると、地域名と合わせてその人のことを記憶しやすいですし、仕事の依頼もしやすくなります。

モンゴルナイフ:SNSで仕事を探していたり、依頼先を探していたりするライターをよく見かけますが、うまく地域を活用しつつ知名度を上げていば、東京よりも埋もれない人材になれるかもしれませんね。

将来はYouTuber? 道内2拠点生活? 魅力的な将来像

宮脇:モンゴルナイフさんは将来、出身地の北海道に帰る予定はありますか?

モンゴルナイフ:できるなら帰りたいです! 地元の道東と札幌の2拠点生活なんて魅力的ですよね。欲のリミッターを外して願いを言うなら、札幌駅の横にできたタワマンに住みたいですね。

宮脇:(笑)。もしそうなったら、どんなコンテンツをつくっていきたい?

モンゴルナイフ:あ、酪農をやってみたいですね。Web記事で酪農家さんに取材してから牛に愛着がすごくて。YouTubeで「おはようございます、今朝の搾乳風景です〜」って動画を趣味で配信したいですね......!

宮脇:今回のイベント、ライター交流会なんだけど......(苦笑)。

モンゴルナイフ:すみません(笑)。あと、地域で頑張っている人が孤立しないような、応援できる拠点を作れたらいいですよね。スナックとかバーみたいなみんなで集まれる場があったらいいですね。

笑いに包まれながらあっという間に終了したゲストトーク。普段はネット上で面白さに振り切っているモンゴルナイフさんの思考を知ることで、ライティングにこだわることなく発信することの大切さに気づき、将来の展望が拓けていくような感覚が高まりました。

「どう頼んだらいいかわからない発注者が多い」

05.jpg

続く第二部では、4人の道内在住ライターによるトークセッションが行われました。

登壇者は、なかしべつ観光協会と根室観光連盟の事務局長を務めながら道東の情報発信をする佐崎リョウさん、小樽の地元情報とキャンプやアウトドアに関するライティングを続けるアウトドアライター高松未樹さん、取材音源から記事を執筆するスタイルで全国から依頼を受ける札幌在住ライターの相良海琴さん、東京と札幌の2拠点生活で、双方のニーズに応えるコンテンツ作りを目指す宿木雪樹さんの計4人です。

それぞれ全く違ったスタイルで、道内のライティング仕事をする4人で、それぞれの営業スタイルや仕事内容、ライフスタイルなど、リアルな会話を交わしました。

地元の情報をプラスアルファと共に泥臭く伝える営業方法

佐崎:まずは道東の記事をウワーッと集中的に書いたんです。200記事くらいかな。それを持って、大手の道内発信メディアに売り込みに行ったところから、ライティング業がスタートしました。

高松:私は自身のブログで小樽の情報発信をしていて、知り合いのつてで「この記事読んだと店舗で言えば○%割引」というキャンペーンを企画したことがあります。これは、大好きな地元にいるからこそ発信できる情報ですね。

積極的な情報発信で、ブランディングと営業のシナジー効果を高める道内ライターたち。地元のどこを発信するべきかわかることが強みになっているとのことでした。

道外の仕事をとるコツはニーズを明確に出すこと

相良:私は「あえて取材しない」スタイルが仕事を引き寄せています。家の中で仕事がしたいという私の願いと、音源をもとに記事を書いてほしいというクライアントのニーズが、良い形でハマったんです。

宿木:東京に行くと、「北海道でアレを記事にしたいんだけど、旅費と経費がね......」という相談があります。それを引き受けて、北海道で取材する。道外のニーズをいかに道内で満たすかが、仕事を獲得する鍵かもしれません。

道外の仕事を引き受ける二人は、クライアントのニーズを自分の生活スタイルにはめることが仕事の内容を決めています。

06.jpg

自分から提案する、自分からSNSで発信することの重要性

佐崎ライターにどのように発注すればいいのか困っている企業が多いのは、地方の一つの特徴だと思います。財源はあるけれど、どう活用したら良いかわからない。そういう企業に、「あとは任せる」と言われるくらい具体的な提案を出すことが大切です。

相良:私はいわゆる"営業"は特にしていませんが、何ができるかを自分のSNSで発信していたことで、これまで仕事依頼が途切れることなく続いています。Facebookのコミュニティに入ったり、Twitterで「音源から記事化します」と伝えたり。自分ができることをきちんと表明するのは、ライターにとって最低限必要なことですね。

道内ライターがクライアントのニーズをつかむ方法

高松:例えば、同じスポットの紹介記事であっても、そこに「家族で楽しめるポイント(子連れOK)」みたいに読者を意識した視点を加え、単なるまとめ記事とは違った深い内容を伝えられるのは、その地域に根ざしているライターの強みだと思います。

佐崎:インバウンドの需要や道内各地の観光価値が高まり、「なんとかして地域の情報を出さなければ」という使命感を抱いている地方自治体は少なくありません。その使命感に対して、抜本的な解決策を提案できるライターが求められています

宿木:それは、ライティングより"編集"に近い仕事を含むのかもしれませんね。その地域の情報をどのように編集するかを意識し、全体的なビジョンを導きながら伴奏する。そんなライターを目指すことで、ニーズにあった道内ライターになれるのではないでしょうか。

それぞれのポジションや仕事内容から意見が交わされたトークセッションでは、特に潜在的なニーズに対して積極的な動きができるライターの在り方が話題の主軸となりました。これは道内だけでなく、地域に根ざして活動したいライター全員に通じる課題かもしれません。

質疑応答タイムにサプライズゲストが!

07.jpg

一部・二部を終えて、会場内から登壇者への質疑応答が行われました。「道内のことを伝えるメディアとはどう出会ったら良いか」など、ライターとしての活動領域についての質問から、「どうしたら良いライターと出会えるのか」という依頼側の悩みまで、多様な質問が寄せられました。

その後のライトニングトーク(参加者のPRタイム)では、「北海道情報を伝えるメディアを運営している」「地方の中小企業をフォローアップする事業を展開している」など、参加者自らが意欲的な活動についてアピールしていきました。

08.jpg

また、今回#ライター交流会の趣旨に賛同し、開催に協力してくださったHTBの高橋啓人氏からは、マスメディアの現状や課題解決に向けたHTBによるオンラインメディア「Sodane」設立の経緯に関するプレゼンテーションが行われました。デジタルメディアを中心に執筆するライターたちの領域は、今後マスメディアと積極的に融合しながら、地域情報を届ける一端を担っていくというビジョンが見えてきます。

09.jpg

このようにメディアやコンテンツについての意見が飛び交う会場に、いきなりHTBマスコットキャラクターのonちゃんが登場し、盛り上がりは最高潮に。テレビでおなじみのonちゃんが目の前に......。感動のあまり、写真撮影の手が止まりません。

多様な背景を持つ参加者同士の交流タイムが終わり、北海道初の #ライター交流会 は無事に終了しました。

大きな盛り上がりを見せた#ライター交流会@札幌、次回開催をお楽しみに!

北海道初の#ライター交流会開催によって、道内には多くのライターやメディア運営者、そしてフォトグラファーやイラストレーターなどが一同に集まることができました。この会で出会えた人から、今後新たな出会いや仕事の機会が醸成されることを願っています。

そして、今後も道内で情報発信に携わる人々の輪が広がるよう、継続的に #ライター交流会を開催していきたいと考えています。コンテンツの手法問わず、柔軟な形で魅力的な北海道を発信していけるコミュニティを築ければと思います。

次回開催もお楽しみに!

この記事を書いたのは

宿木 雪樹

関連記事