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46歳、両側乳がんになりました⑳ 泣き虫で・・・

コラム

阿久津友紀(HTB報道部)

2020/05/12

検査・告知・手術・仕事復帰・・・誰かのお役に立てればと綴ります。

 HTBノンフィクション、テレメンタリー、御覧いただいたみなさまありがとうございました。

 かなーり揺れる船でしたけれど、一緒に患者の旅を始めてくれた、出会った患者の皆さんに感謝しています。
 様々な感想を頂戴しています。ありがとうございます。同病の方だったり、ご家族だったり・・・。医師の方だったり。
 みなさん、抱える心のうちをお話いただいてありがたいと感じています。ひとつずつお返事を書きたいところなのですが、これからしばらく、時間をかけさせてください。
 今回はいろいろ思う方もいらっしゃると思いますので、無理に最後までお読みにならないでくださいませ。

★★★

まずは同病の方から(Aさんとお呼びします)
『私も2月に乳癌の手術と、その後、放射線治療、今はホルモン剤を服用しています。番組を見て、違和感を感じました。母親の闘病を見守っていたのなら、もっと冷静に受け止めることができるのでは。まして、取材で乳癌を知っているならば、先を見通すことができたのではないかと思い、番組として作りすぎではと感じました。私は、2年前に、親友を乳癌で失いました。彼女の闘病を側で見てきました。だからこそ、見通しをもって闘病できていると思っています。なんだか心に違和感を感じたので、メールを送ります。人の感じかた、受け止め方は違いがあっても、盛ったところはなかったか、番組を見直してもらえたらと思っています。』というご意見を頂戴しました。

 そう思った方がいらしたことは私自身の未熟度です。最初は冷静に受け止めていたはず、でした。両側だったことでいわゆる、初発と再発が一気に来ちゃったという事実、さらに自分が思い描いていた、同時再建ができなくなったころから心の中は右往左往になってしまいました。これまでの知識が選択肢を増やし、不安を増やしていたのかもしれません。母の初発の時期と今はまったく違うと感じています。母とは閉経後と閉経前の治療の違いもありますし、ここから生きていく年数も違う。母のホルモン治療の副作用も見てきたのでこのあたりも冷静になれなかった理由かもしれません。同じようなホルモン治療の方が副作用などで治療を断念されていく姿も見ているのでかえって知っていくと選択肢も増え、悩みも勝手に増やしていたのかもしれません。

 Aさんもご友人を見送られたのですね。それを見て今、ご自身として受け止めておられることも簡単ではなかったのではないかと思います。冷静に向き合っておられることは私も参考にさせていただかなくてはなりません。

 私も大切な友人を手術後すぐ、去年8月に亡くしました。診断された去年の5月に一番最初に乳がんであることを伝えた4つ年上の友人でした。
 5年間、乳がんと生きた彼女は立派でした。同病の方を不安にさせるのは本意ではないのですがステージ1のルミナールタイプの方でした。

 最初に伝えた時、初期からスタートしてもあとは運だ、人間はどうやって死んでいくのか、知っておいた方がいい、できることは今のうちに、やれることは悔いなく、と私に諭すように話してくれました。これまでお父さんを見送り、お母さんや友達を見てきたゆきちゃんだからこそ言ってもいいよね、と言ってくれたストレートパンチ、でした。

(なのでみなさんまで巻き添えすいません)

 私は泣き虫なので、泣きながら聞いていました。冷静ではいられませんでした。その後、彼女はいろいろな整理をしてギリギリまで人と関わりたいと入院せず、入院後はあっという間に旅立ちました。

 もっといろいろ聞きたかった・・・彼女の残した言葉を振り返り、母が14年、私も取材を始めてから20年近くになりますが、知識で知ったことと、実体験がこんなに違うんだと。わかっていてもゆらいでしまう、自分の弱さをかみしめています。まだまだ学びが必要です。

 11人に一人。これだけかかる方がいるからこそ、研究・治療法の革新は日進月歩です。それを信じて、少しでもバタつかないように歩みを進めます。

 本当にご意見感謝しています。まだ編集している時間の夢を見て夜中に起きている、、ほどビビリです(笑)。すいません。

 今後もみなさんから寄せられたご意見にお応えしつつ、
乳がんについて学びを続けたいと思っています。私も遺伝子検査が先延ばしになってます。次はそのお話を。。。

1時間版は未定ですが、30分版はAbemaTVでいつでも御覧いただけるようになっています。AbemaTV内、ビデオのテレメンタリーで検索してみてくださいませ。

この記事を書いたのは

阿久津友紀(HTB報道部)

30分版はabemaTVでいつでも御覧いただけます。