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つべつ西洋軒の絶品ごはんを追う!|女満別でお米を作る江口ファームのこだわり米

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全国の地方の魅力を発信しているローカルメディア「ふぉろかる」 編集部です。

連載企画「ひがし北海道のグルメのルーツを探れ!道内ぐるっとグルメグリ」の第一弾にて紹介した津別町の「つべつ西洋軒」で、道内産の野菜、豚、お米などのこだわりを聞き、さらにその食材の生産地に足を運ぶことにした「ふぉろかる」編集部。

今回は「つべつ西洋軒」にお米を届けている大空町女満別の江口ファームが舞台です。北海道のお米の魅力や米作りについて、江口ファームを経営する江口美世司さんに聞きました。

前回の記事:つべつ西洋軒の豚丼の豚肉を追う!|オホーツク北斗ポークができるまで~株式会社ミートテックの挑戦と今

努力を重ねておいしくなった北海道米をみんなに届けたい

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――「つべつ西洋軒」の豚丼を食べてきました。たれのしっかりした味に負けず、お米の甘さを楽しめたのが印象的です。

江口さん:ありがとうございます。「つべつ西洋軒」では、うちで作ったお米「ゆめぴりか」と「おぼろづき」をブレンドしています。食のプロとして、米の味を活かしてくれているのでしょう。

――「つべつ西洋軒」にお米を届けるようになったきっかけは?

江口さん:私がお世話になっている車の整備工場の人からの紹介なんです。紹介を受けた後、一緒に仕事をしている息子から直接「つべつ西洋軒」に江口ファームの説明をしてもらい、うちの米を取り扱ってもらうことになりました。

――親子でお米の魅力を届けているんですね。お米を江口さんが自分で販売するようになったのはいつ頃でしょうか?

江口さん:米を自分の手で直接販売するようになったのは、平成元年ごろのことです。農作自体は先代、先々代から続けてきた生業なので、江口ファームには70年以上の歴史があります。

――長くお米作りに携わってきて、感じる変化はありますか?

江口さん:かつての北海道米はブランド力がなく、本州のコシヒカリやササニシキには敵いませんでしたが、何年も試験と品種改良を繰り返し、品質を高めてきました。温暖化などの影響もあり、今、北海道米の味は自信をもって全国に届けられるレベルになっています。特に「ゆめぴりか」は本州でも大人気で、押しも押されもせぬブランド米です。

気候の変化は、収量の安定にもつながっています。私たちがお米作りを始めた当初は3年に1回程度は平年作(※)を下回っていたのですが、ここ最近は8年以上連続で平年作以上の収穫高がありました。

(※平年並みの作柄。過去五年の年間収穫高の最高と最低の年次を除く、三か年の年間収穫高の平均を指す。)

――お米作りをこれほど長く続けてきた理由を教えてください。

江口さん:うちは米でいこう、という覚悟があったからです。

過去を振り返れば、お米の値段が下がり続けて、いわゆる"豊作貧乏"に悩まされた時代もありました。今だって、野菜と比べてお米は販売価格が安いです。それでも、お米と野菜を工夫して作り分けながら、お米の販売を続けています。

お米を自分で作って売りたいと願うのは、やっぱり農業が好きだからじゃないでしょうか。自分で作ったものを消費者に届けて喜んでもらえることは、一番のやりがいですね。

長年続けられる無駄のないお米作り

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――お米作りでこだわっていることは何ですか?

江口さん:化学肥料を6~7割に抑え、たい肥等の有機肥料を活用しています。大空町は気候柄、本州に比べて農薬の使用量が少なく済む地域です。土地の特性や気候に恵まれている部分を活かしたお米づくりをしています。

――農家だからこそ見える、お米の魅力を教えてください。

江口さん:野菜は同類の作物を同じ場所で育て続けると連作障害が起きますが、お米は何百年、何千年と同じ場所で作り続けられます。連作できることは、魅力のひとつです。

稲は米以外の部分、藁やもみ殻も余すことなく活用できる作物です。私の場合、もみ殻を炭にして農協の資材課に出荷しています。カビの抑制など、炭の殺菌効果を求める農家さんから需要があるんです。

――ロスなく、持続的に必要とされる作物なんですね。その分、一年中大変そうです。

江口さん:季節関係なく忙しいですよ。ここまで夢中でやってきて、ようやく経営も軌道に乗ってきました。今はとにかく人手が足りない......それが一番の課題です。

米もレタスも大人気!網走管内一の農家を目指して

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――「つべつ西洋軒」以外にはどんなところにお米を届けていますか?

江口さん:例えば、女満別空港に新しくオープンした「奥芝商店」では、うちのお米を使ってもらっています。札幌の名物スープカレーが食べられる場所として、観光客に人気だそうです。

特殊なものとしては、学生に田植え体験等を提供するプロジェクト「田んぼの学校」にも協力しています。昨年11月は、東京世田谷の本校で行われた収穫祭に足を運び、生産者みずからお米を販売しました。来場者数4万人と大盛況で、準備していたお米があっという間に完売しました。

――お米と並行して作っている野菜も大人気だとか。

江口さん:主な取引先ですと、コープやセイコーマート、キューピーの子会社などに野菜を届けています。たとえばレタスの場合、全国のスーパーやコンビニのサラダ商品のために、最大で1日6,000~7,000玉の収穫をする予定です。その忙しさといったら、もう果てしないです。

――販路拡大が順調なのも、届ける味が確かなことの証ですね。

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江口さん:おいしいお米作りを続けていくことはもちろんのこと、野菜作りでも網走管内一のレタス農家を目指しています。そして、消費者の皆さんに直接、その味を届けていきたいです。これからも、交流会などを通じて新しい人と出会えるのを楽しみにしています。

――江口さん、ありがとうございました!

確かな歴史を重ねながら米作りと向き合い、農業を持続していくための工夫と人とのつながりを大切にしてきた江口さん。道東の気候と土地、そして人に育まれた味わいは、いま全国へとさまざまな形で広がっています。

※新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、ふぉろかる編集部は2020年5月現在、取材を自粛しております。次回作の掲載時期は未定です。

この記事を書いたのは

ふぉろかる編集部

ライター集団が作るスモールビジネスのための情報発信メディア。 地方で頑張る皆さんを応援するべく活動中。 どうやったらもっと売れるの?全国の人に想いを届けたいのに方法がわからない!という方のサポートを行っています。 運営会社:ふぉろかる合同会社(https://follocal.info/

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