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ハロプロ出身・鈴木愛理がソロ歌手として北海道に帰ってきた意味

アイドル

乗田綾子

2019/01/15

2018年の音楽シーンに"15年目の新人"として颯爽と登場し、テレビやSNSで大きな注目を集めた、女性ソロアーティスト・鈴木愛理さん。

そんな彼女の単独ライブが先月8日、初めて北海道でも開催されました。会場はZepp Sapporoです。

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写真:鈴木愛理オフィシャルHPより

2002年にわずか8歳で芸能界入りした後、2017年6月まではハロー!プロジェクトのアイドルグループ・℃-uteのエースメンバーとして活躍し、その歌唱力の高さとともに、「アイドルが憧れるアイドル」として長く支持され続けた彼女。

その人気はグループの解散後も、そして東京から遠く離れた北海道でも全く変わらず、会場には最高気温マイナス5度を記録する冷え込みの中、会場を埋め尽くすたくさんの"AIRI MANIA"(鈴木愛理ファンの愛称)たちが駆け付けました。

「SODANE」では今回、そんなソロアーティスト・鈴木愛理さんの記念すべき初北海道公演の模様とともに、実は彼女と北海道の間にずっと続いていた、ある"縁"のお話もご紹介します。

オープニングからすでに貫かれている、鈴木愛理の"譲れないこだわり"

開演時刻の訪れとともに照明が消されたZepp Sapporo。その直後、おしゃれなオープニングナンバーの『THE BRAND NEW LOOK』とともに、ファッショナブルなベージュのコートに身を包んだ鈴木愛理さんが登場すると、会場は一気に盛り上がります。

ファッション誌「Ray」の現役モデルであり、常々SNSでボディメイクについても積極的に発信している彼女ですが、いざこの目で見ても......ビジュアルが最強!

しかも驚かされるのは、人形のような可愛さで歌い踊るその足元は、よく見るととても高いヒールの靴であるということ。

これは女性としての美しさとかっこいいステージパフォーマンスを両立させるという、「アイドル界最強」と言われた℃-ute時代の信念を、彼女はそのまま今もソロとして貫いているのだそう。

またもう一つ、彼女のステージの大きな特徴となっているのがバックバンドの演奏。この"生バンド"スタイルも、やはり彼女がハロプロ時代に所属していたアイドルユニット・Buono!で、バンドと作り上げるライブ空間の楽しさを10年に渡り経験していたことから、愛理さん自身が、ソロのステージにも取り入れたいと提案したのだそうです。

ソロライブでついに実現した、ファン待望の○○タイム

昨年6月にリリースしたデビューソロアルバム「Do me a favor」の収録曲だけでなく、多数の新曲を織り交ぜながら、PARALLEL DATEというツアータイトル通り"デート"の世界観の中で進んでいく、北海道ライブ。

どれだけ曲数を重ねても歌声がブレるどころか、どんどんパワーアップしていくのは、さすが実力派のハロプロ育ち!

そしてライブの中盤には、アイドル時代からの愛らしさそのままに、コミカルな寸劇を交えながらの楽曲披露シーンも。

ちなみにこの日の札幌ライブでは"ご当地サプライズ"として、ジンギスカンと北海道限定販売のビール・サッポロクラシックがステージに登場!会場に集まった沢山の道民ファンからは大きな歓声が上がりました。

またこのライブ中、客席の温度がもう一段高くなったのが、突如発表された"ライブ中のスマホ撮影タイム"!

彼女自身がライブのために書き上げた楽曲『No Live, No Life』の披露中は、客席からのスマートフォンでの写真撮影が全面解禁になることが、バックバンドのメンバーから告げられます。


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写真:2018.12.8 鈴木愛理「PARALLEL DATE」北海道公演/筆者撮影

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写真:2018.12.8 鈴木愛理「PARALLEL DATE」北海道公演より/筆者撮影

しかも嬉しいのは、この時撮影した写真は、SNSでのシェアも全面OKになっていること!

このような「ライブ中のスマホ撮影」、海外アーティストの来日公演では一般的とも言いますが、アイドル時代には実現していなかったこの発想を柔軟に取り入れているところには、独り立ちした彼女自身の、ライブに対する非常に前向きな姿勢も感じることができました。

ハロプロ出身・鈴木愛理がソロアーティストとして北海道に帰ってきた意味

一年半前の、2017年5月。鈴木愛理さんは実はここ北海道で、アイドルグループ・℃-uteのメンバーとして、同じZepp Sapporoのあのステージに立っていました。

そして当時すでに解散を発表していた℃-uteは、そのライブが、北海道で歌う最後のステージでもありました。

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写真:℃-uteオフィシャルブログ「北海道のブログ(あいり)」より(2017.5の北海道公演の模様)

幼い頃から「自分の歌で人に勇気や笑顔を与えたい」という夢を一心に追いかけ、ハロプロのアイドルとして多忙な中でも、その夢を曲げずにずっと活動していた愛理さん。

しかし℃-uteの解散が正式に発表された直後、記者会見で今後の展望を問われた彼女は「キャスターとかマルチタレントになりたい」と、一度それまでとはまったく違う内容を自身の夢として話し、多くのファンを驚かせます。

夢とグループ解散の狭間で揺れていた、本当の気持ち。その後、やがて彼女はブログを通じ、ファンにありのままの気持ちを打ち明けることになるのですが、実は愛理さんが自分の本心を語ったそのタイミングこそ、最後にZepp Sapporoで行われた、あの℃-ute北海道ラストライブの終了直後でした。

「私の昔からの夢は『自分の歌で、人に勇気や笑顔を与えること』でした。これは、本当に昔から変わらないこと。
いつか話したかもしれないけど 本当に好きなことだからこそ自信持って、『これがやりたいんです!』って言えなかったんです」
℃-uteオフィシャルブログ「今後の活動について(あいり) 」より

23歳の若さで早くも訪れた第二の人生のスタートと、好きな夢と純粋に向き合うほど「無理だろって言われるかもしれない」といつしか自分の心に積み重なっていった、大きな不安。それでも愛理さんはその長い葛藤を乗り越えて、今度は自分の言葉で、ファンに改めて自分の本当の意思を伝えました。

「だから、決めました。わたしは、歌い続けます!!!!」
℃-uteオフィシャルブログ「今後の活動について(あいり) 」より

その強い決意の直後に綴られていたのは、「かっちょいいだけじゃない、どこか可愛さも兼ね備えた、そんな歌手になれたらなと思ってます」「アイドルでやってきたこと、無駄になんてしたくない」という言葉。

そして2018年12月、自分が本当に叶えたかった沢山の夢とともに、彼女はもう一度、この北海道の同じステージに、帰ってきてくれました。

高いヒールや生バンドの採用など、まさに「アイドルとしての活動を誇りに」ステージに立ち続ける"15年目の新人"鈴木愛理。

"かっこよくて可愛い"彼女の歴史はこうして再び、北海道でも、また新たな始まりの時を迎えたのです。

約2時間の"パラレルデート"を終えて

ソロアーティスト・鈴木愛理による夢のような約2時間の"パラレルデート"が終わった後、印象的だったのは、ファンが頬を緩ませて「元気をもらったね」とポジティブに語り合っていた姿。

彼女の夢を叶えようとするエネルギーは、きっとこの日のライブでも歌とダンスからたくさん広がり、多くの人の大切な思い出や励ましになっていたのではないでしょうか。

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写真:鈴木愛理オフィシャルinstagramより(北海道公演終演後・2018.12.9投稿分)

ちなみにこの日の北海道公演のMCでも、愛理さんは北海道のファンに、こんなことを伝えています。

「2018年は3月の初めに再始動して、6月にデビューして、(すぐにソロとして初の)武道館もあったわけでしょう。いろんなことを考えたの。なんか、あっという間すぎるのに、内容はぎっしり充実していて。だからね......2019年は勝負の年だと思っていて。いろいろやりたいこと、次のライブは何をやろうとか、もうこのツアーの途中ぐらいからは、ずっと考えていて、話したりもしていて。」(鈴木愛理)

「ファンのみんながね、日常生活の中で疲れてきたときに、その疲れの気持ちを前向きに発散できるようなライブ、そして非日常を味わえるライブにこれからもしていきたいなと思っているので。もしお時間あったらまた来て欲しいのと、鈴木もまた、札幌に来れるように。」(鈴木愛理)

願わくば地方でのライブを、そして北海道公演を、この2019年にも実現してほしい!

Zepp Sapporoの客席にいた私もソロアーティスト・鈴木愛理の新しいステージに励まされた一人として、そんな明日を、この北海道でまた楽しみに待っていようと思います。

この記事を書いたのは

乗田綾子

北海道在住のライター。著書『SMAPと、とあるファンの物語』(双葉社)の他、『月刊エンタメ』『週女PRIME』等でも執筆中。HTBで一番好きな番組は夜のお楽しみ寝落ちちゃん。Twitter/ @drifter_2181