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今年8月10日、北海道に上陸した台風10号は、国内のサラブレッドの8割を生産する優駿の里、日高に観測史上かつてない集中豪雨をもたらした。急峻な山肌を立ち木ごと崩し、流木が橋げたにたまって川をふさいだ。濁流が溢れ、人、家、愛馬を飲み込み、そして牧場を泥で埋めた。不明・死亡11人、被害総額は既に781億円あまりに上っているが、今後さらに膨らむ見通しだ。
被災から一ヶ月。カメラはすべて泥に流された2つの農家の復興にかける姿を追った。
そのひとつ競走馬を育てる牧場主の田端千代春さん(40)は、馬が流され牧草が泥で埋め尽くされた。牧草地がもとに戻るには3年かかるという。そして、多くの馬は、競走馬の命とも言える足に傷を負った。怒りをどこにもぶつけようもなく田端さんは言葉を失ったが、ここでまけてはならないと奮起し傷ついた馬の治療に全力を尽くしながら再起を目指している。
一方、酪農家の佐々木茂さん(54)は、牧場を道路、水道、電気を寸断され完全に孤立した。飲み水がなく泥水をすする牛の姿を呆然と見つめながら佐々木さんは、無念の思いに涙を流した。乳牛は乳をしぼらなければ乳が炎症を起こす。被災のストレスで死亡する牛がでるなか、病気の牛もミルクを絞っては捨てる日々が続く。
今回の台風は、長引く不景気をもろに受けて疲弊した馬産地に台風が追い討ちをかけル結果となった。ぎりぎりのところでふんばってきた農家を容赦なく襲った台風。夢を再びつかむために、歯をくいしばり復興にかける被災地の姿を伝える。
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8月10日、台風10号は日高地方に 大きな被害をもたらした |
(プロデューサー) |
沼田 博光(HTB) |
(ディレクター) |
工藤 史彦(HTB) |
(ナレーション) |
永井 くみ子 |
(撮影) |
高屋 祐司 |
(編集) |
笹森 大玄 |
(制作) |
HTB北海道テレビ |
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