テレメンタリー2004「川底が語る サケ先生の知床日誌」
 
魚と話が出来る研究者、小宮山英重さん(55)。
「砂が柔らかい。ここにサケが卵を産んでるよ」、「ここでは産卵直前にクマがメスザケを襲ったね」
素人にはただ石が並んでいるようにしか見えない川底を、園芸用の棒でつつき、石の並びやコケの生え方を見ながら、その川で生物が織り成す様々なドラマを、小宮山さんは語りだす。

 小宮山さんは、長年北海道の川を渡り歩き、鋭い観察力で独自の調査法を作り上げた。論文重視の学会と一線を隔し、毎日のように川に入る。研究者の間では「最も長い時間、川と魚に向き合い、魚と話す学者」として知られている。現在は、道東の河川でサケ・マスの遡上の様子を調べているが、直線化された河口、魚の遡上を阻むダムと、ここ30年で変わり果てた北海道の川を歎いている。

「何千年もかけて魚たちが上流に海の栄養を運び、それを糧に豊かな森が作られてきた。今、その循環を人間が断ち切ったとすれば、蓄えを失ったところから森が欠けていく」

 世界遺産登録の候補地として期待が寄せられている知床で今、魚の生態を知り尽くした研究者がサケが森を耕すサイクルの重要性を訴え始めた。

14回地球環境映像祭入賞作品
2005年度科学放送高柳記念奨励賞 受賞作品


写真
(プロデューサー) 沼田 博光(HTB)
(取材)  高橋一之(HTB釧路支局)
(ハイビジョン撮影) 青木幹雄
(編集) 伊藤陽一
(ナレーター) 森さやか(HTB)
(制作) HTB北海道テレビ



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テレメンタリー2004「川底が語る サケ先生の知床日誌」 2004年12月19日(日)深夜0時55分〜1時25分 放送
HTB制作・放送日時違いテレビ朝日系列全国ネット