国の天然記念物オオワシが絶滅の危機にさらされている。
オオワシは夏にサハリンで繁殖し、流氷が海を覆う前に北海道東部に渡って冬を越す渡り鳥だ。2000年からオオワシの実態調査を行っている北海道・釧路の社団法人「北海道野生生物保護公社」。主任研究員の斉藤慶輔獣医は、毎年、ロシア・サハリン北東部を調査で訪れ、そのたびに危機感を強めている。オオワシの繁殖地が、日本の商社を含む国際資本による石油、天然ガス開発事業「サハリンプロジェクト」の開発鉱区に変貌。調査するモスクワ大教授は「開発との因果関係は不明だが、十年前に比べ相当数の巣が放棄されている」と話している。
一方、越冬地の北海道では鉛中毒に陥るオオワシが後を絶たない。魚を主食とするオオワシが、ハンターが放置したシカの肉の味を覚え、シカの体内に残る鉛弾も一緒に食べてしまうのだ。北海道では、2001年度から鉛弾の使用を禁止したが、現行犯でなければ取り締まれないことなどから鉛中毒の被害は一向に減らない。
去年7月、モスクワ大と斎藤さんらが行った生態調査にHTBが同行。ほとんど人が入り込めないような場所での厳しい調査から我々に突きつけられた現実とは・・・。番組では1年にわたってオオワシを見つめ、油田開発と隣り合わせとなっている繁殖の森と、鉛玉がばら撒かれている越冬の森という2つの聖域で、何が起こっているのかを告発する。オオワシを守るために何が必要なのか、国際間でどんな協力が必要なのか、知られざる大規模開発の実態を検証する。
※2004年5月1日(土)午前10:50〜
「イチオシ!報道スペシャル」にて55分再編集版を放送
特別編集版 第13回地球環境映像祭 入賞
|
オオワシのヒナ。大規模なサハリン油田開発が進められている工事現場のすぐ横にある巣の上で親鳥の帰りを待っていた。
|
(プロデューサー) |
沼田 博光(HTB) |
(ディレクター) |
松倉 英男(HTB) |
(ナレーション) |
榊原 良子 |
(撮影) |
野中 宏也 |
|
阿部 幹雄 |
(編集) |
橋本 康嗣 |
(制作) |
HTB北海道テレビ |
|