北海道テレビ:HTB online 医TV

2019年12月16日16時33分

著者名:HTB医pedia編集部

高齢者が注意すべき感染症②肺炎

  

<今回のテーマ>

「医TV」は前回より3回にわたって、これからの季節に高齢者が注意すべき感染症について紹介していきます。第2回目の今回は高齢者に多い「肺炎」の原因と予防について、札幌市保健所 感染症担当部長の山口亮さんにお話を伺います。

<日本人の死亡原因における肺炎の現状>

2016年の厚生省の調査によれば、「肺炎」は日本人の主な死亡原因のうち、「がん」、「心疾患(高血圧症を除く)」に続き、三番目に多い病気です。「肺炎」は元気な高齢者が突然発症し、生命の危険にまで及ぶ、高齢者にとっては大変怖い病気です。高齢者が発症する「肺炎」のうち、最も多いのが「細菌性肺炎」で、「細菌性肺炎」は「肺炎球菌」、「インフルエンザ菌」、「黄色ブドウ球菌」のいずれかの感染によるもので、そのうち、「肺炎球菌」の感染によるものが最も多くなっています。(その他の「肺炎」としましては、「ウィルス性肺炎」、「非定型肺炎」、「誤嚥性肺炎」などがあります)

<肺炎と風邪の症状は似ているので注意が必要>

「風邪」の症状と、「肺炎」の症状は似ていますが、「風邪」が上気道に炎症を起こし、咳や痰、発熱があるのに対して、「肺炎」は主に肺胞に炎症が起こりますので、風邪に似た症状に加えて、呼吸がしづらい、呼吸回数が多いなどの症状が現れます。しかし、高齢者の「肺炎」の症状は、発熱も微熱程度で、呼吸機能の低下も自覚しづらい、という「肺炎」の典型的な症状がみられないという特徴があります。

<肺炎球菌による肺炎の重症化の予防>

高齢者が「肺炎」に罹りますと重症化しやすいので、「肺炎」の症状がみられたら、適切な治療を早期に受けることが大事ですが、「肺炎」に罹る前に「肺炎球菌ワクチン」の予防接種を受けておくことも、重症化予防に最も適切な処置となります。国は「肺炎球菌ワクチン」に対する公費助成を2014年10月から実施しており、2019年3月に終了する予定でしたが、接種率が低いことから、2024年3月まで5年間延長されています。「肺炎球菌ワクチン接種」の公費助成は初回接種のみとなりますが、2019年度(2019年4月から2020年3月まで)に、65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、100歳以上になられる方々が対象となり、また、今まで接種を受けたことの無い方であれば、年齢を問わず、公費助成による接種が可能です。(ワクチンの効果は経年で低下しますが、長期間効果が持続します)

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