北海道テレビ:HTB online 医TV

2020年10月08日19時11分

著者名:HTB医pedia編集部

【医療のミカタ】気になる女性の手の痛み・しびれ

  

「医療のミカタ」、今回のテーマは気になる女性の手指の痛みやしびれについてです。
ある程度の年齢になった女性が手指の痛みやしびれに悩むことが多いということで街の人々にお話しを聞いてきました。

<手指に痛みやしびれはありませんか?>

街頭インタビュー
東区80代女性 
Q:「手の痛みや痺れの症状はありますか?」
A:「ときどき、あっ、痛いなと思って。この関節です。痛いな痛いなと思っていて、痛みが無くなったら(指先が)曲がってるんですよね。あれっと思って」
Q:「お医者さんにはかからなかったのでしょうか?」
A:「うん、かかりませんね」

西区70代女性
A:「この間、中学のときの同級生と電話で話したら、指がチクチク痛くなっているって」

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<中高年の女性に多い手指の痛み>

なんと中高年の女性,特に更年期以降の5割以上の方が手指の痛みやしびれで悩んだ経験があるということです。
この手指の痛みは関節リウマチなどがよく知られていますが、実は様々な原因や症状が潜んでいて,その中でも代表的なものがこちらです。

<手根管症候群>

まず一つ目は「手根管症候群」
手首を通る神経が手根管というトンネルに圧迫されて起こる病気です。
親指から薬指にかけて痛みやしびれに襲われます。
手や指の強いしびれや痛みに襲われ、ひどくなると親指の付け根の筋肉がなくなり悪化した場合は手術が必要です。

<ばね指>

次に「ばね指」という病気です。
指は腱によって曲げたり伸ばしたりすることができます。腱の浮き上がりを押さえる腱の鞘(さや)=腱鞘(けんしょう)という腱が通るトンネルがあります。
この腱と腱鞘で通過障害がおこると指の付け根に痛みや腫れが出ます。
これを腱鞘炎と呼びます。腱鞘炎が進行すると「ばね現象」が起こります。ばね現象とは指を伸ばそうとするとピン!と張ってしまいスムーズに動き辛くなることです。
これがばね指です。
治療は、腱鞘内にステロイド注射をして症状を押さえたり、手術で腱鞘の一部を切開して通過障害を取り除く方法があります。

<変形関節症>

そしてもう一つは変形関節症です。
指の第一関節が腫れたり曲がったりして痛みを伴うこともある「ヘバーデン結節」や指の第二関節に起こる「ブシャール結節」、
そしてCM関節症と呼ばれる親指の根元の関節に起こる「変形関節症」。
いずれも40歳代以降の女性に多く発症がみられます。

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<専門医に教えていただきました>

手指の痛みについて詳しいことを整形外科の専門家にお聞きしてきました。
札幌医科大学の整形外科教室射場浩介准教授は手外科の専門医です。

射場先生:「外来で診察しますと、圧倒的に女性が多いというのが現実です」

射場先生は手指の痛みやしびれに悩む中高年の女性がとても多いと感じています。

:「変形性関節症とはどんな病気なのですか?」

射場先生:「変形性関節症というのは軟骨がすり減ってきてそれと同時に炎症が起き、関節が腫れて痛くなるという病気なんですけど、親指のここの付け根に関節に変形が起きることがあります。

指の第一関節に出来るのをへバーデン結節と言います。第2関節に起きるのはブシャール結節という名前なんですが、親指の付け根に関しては整形外科の中では比較的手術を選択することが多いです。第一関節第2関節に関しては手術後固定することでかなり動きが制限されてしまいますから積極的に手術をすることはあまりないというところが本当のところです」

<手術を受けた方の声は?>

8年前射場先生が親指のCM関節症の手術をした石狩市の白石純子さん(仮名)

:「どれぐらいの痛み?」
白石さん:「はじめのうちは普通に家事ができたんですけど、先生に診てもらうようになる手前はエンピツが持てない、ハサミが持てない、あと包丁が持てないで、これは限界だなと思って病院に相談に伺いました。」

痛みが出て2年ほどは、我慢しながら装具をつけて家事をしていましたが、水仕事などをする際に装具が邪魔になり手術に踏みきったそうです。
「まさか初めての診察で手術といわれるとは思っていなかったのでちょっとびっくりしてしまいました」

射場先生は、手指の痛みやしびれに悩む人が更年期世代以降の女性に多いのは、女性ホルモンの減少や加齢、そして手を使い過ぎることのストレスや負担が溜っていることが原因かもしれないと考えています。

射場先生:「白石さんの日々の仕事の中でどんな動きが必要かを考えて、関節の悪い骨を削り、金属を骨の中に埋め込んで固定しています。握ったり、つまんだりすることが痛みなくできています」

白石さん:「痛みは全くないし術後の経過もよかったです。一週間で退院したので思ったより楽でした。射場先生は有り難いです。私にとっては神様みたいな(方です)」

手指の痛みやしびれ放っておくと大変なことになる可能性があるのでまずは整形外科を受診しましょう。
射場先生によると、女性の5割が手指の痛みを訴えていて、そのうちの1割しか病院を受診しないという状況だということです。そして女性ホルモンの減少が手指の痛みやしびれと関係もあると考えられるということで婦人科の専門医にお話を聞いてきました。

<手指の痛みと女性ホルモンの関係>

札幌西レディースクリニック寺澤勝彦院長
「ひとつの原因として婦人科的なホルモンの低下が原因となり、そういう症状が起きているということがいえます。いちばん効果も高いと言われているのがいわゆる「ホルモン補充療法」です。
HRTといいます。これはホルモンが減った分を補ってあげればいいでしょう、という単純な発想ですけれども、関節痛などを明らかに改善するということがエビデンスレベル(科学的根拠の信頼性の度合)が高いことが
明らかになっています。大豆イソフラボンに代表されるような「エクオール」という物質があり、日本ではかなり普及しています。エクオールを飲んでみたら非常に効果が高かったという患者さんも結構います」

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<エクオールとは>

エクオールという言葉を初めて聞いたという人が多いかもしれませんが、サプリメントとしても手に入る「エクオール」。大豆由来の食品に含まれる大豆イソフラボンが自分自身の腸内細菌により変換されてできる物質が「エクオール」です。その成分が更年期世代以降の女性の健康のカギを握ることがわかってきました。
ただこのエクオールは中高年の日本人女性の場合、約50%しか腸の中で作り出すことができません。
若い女性になりますと20%から30%にまで下がりますが、女性ホルモンが豊富な状態にあるので手指に痛みが出ないということです。

エクオールが自分の体内で作れるかどうか検査もできるということです。
女性の手指の痛みは放っておくと手術が必要になったり関節が変形することもありますので早めの受診をお勧めします。

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