北海道テレビ:HTB online 医TV

2021年08月16日 9時44分

著者名:HTB医pedia編集部

特集企画「健康と栄養」 糖の作用について考える

  

<今回のテーマ>

コロナ禍でお家時間が増えたことにより、活動量が低下して体重が増加した、または体重の増加が気になって糖分を控えたことで逆に疲れやすくなった、と感じられた方は多いのではないのでしょうか。糖分は体を動かしたり、考えたりするため(脳)のエネルギーとして必要な栄養素である一方で、過剰に摂取すると糖尿病等の原因にもなります。今回の「医TV」は糖の作用について紹介します。

<糖の分類と働き、糖尿病の推移とは>

糖は栄養学のうえでは、炭水化物に分類されます。炭水化物はエネルギーになりやすい「糖質」と、エネルギーになりにくい「食物繊維」と大きく二つに分かれます。「糖質」の中には、消化・吸収されやすい「ブドウ糖」や「果糖」等が有るのに対し、消化・吸収されにくい「オリゴ糖」などが有ります。消化・吸収されやすい「ブドウ糖」を摂取すると、すぐに血糖値が上昇してしまいますが、すい臓からインスリンというホルモンが分泌されることで血糖値が下がります。しかし、「糖質」を過剰に摂取することで、高血糖状態が長く続くと、すい臓からのインスリンの作用が低下して、生活習慣病ともいえる「2型糖尿病」を発症してしまいます。

<糖質のエネルギー量>

代表的な糖質であり消化・吸収されやすい「砂糖」は、1グラムあたり約4Kカロリーのエネルギー量が有ります。一方で、消化・吸収されにくい糖質である「オリゴ糖」の中には、「砂糖」に近い甘みを持ちながら、「砂糖」の半分ほど、1グラムあたり約2Kカロリーのエネルギー量を保持する「フラクトオリゴ糖」があります。「フラクトオリゴ糖」は野菜(ごぼう・玉ねぎ等)や果物(バナナ・桃等)に多く含まれています。

<フラクトオリゴ糖の特徴>

「フラクトオリゴ糖」は一般的な糖分と比較すると、摂取しても胃や小腸で消化・吸収されにくい性質があります。胃や小腸で消化・吸収されにくいことから、「フラクトオリゴ糖」は、血糖値の上昇を防ぐとともに、善玉菌(乳酸菌・ビフィズス菌)のエサとなって腸内環境を改善させ、腸内を発酵させますので、短鎖脂肪酸の増加やカルシウムなどのミネラルの吸収も高める働きがあります。

<糖質は体にとって不可欠な栄養素>

糖質は体にとって大事なものではありますが、摂りすぎてしまうと様々な病気の原因となりますが、「フラクトオリゴ糖」については、その特徴を理解すれば、病気の予防やダイエットに役立てることができます。


取材協力:
札幌保健医療大学 保健医療学部栄養学科
札幌市東区中沼西4条2丁目1番15号
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