北海道テレビ:HTB online 医TV

2022年11月07日 9時30分

著者名:HTB医pedia編集部

視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)とは③

  

<今回のテーマ>

非常の珍しい難病の一つである「視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)」について解説する4回シリーズの第3回目。第1回目から第2回目の動画では「国立病院機構北海道医療センター 脳神経内科」の宮﨑雄生先生に、この病気の症状、再発をさせないための治療方法などを解説して頂きました。第3回目となる今回は、「視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)」の患者さんを実際に支えている看護師の立場から、患者さんとともに長年にわたって、この難病に向き合っている「医療法人セレス さっぽろ神経内科病院」の外来師長の宿南澄恵さんにお話しを伺いました。

<視神経脊髄炎スペクトラム障害の患者さんの抱える不安・心配事とは>

「私たち看護師の役割は、患者さんが持つ悩みを伺って、対応策を考え、自分らしい生活ができる、その支えとなることだと考えます」と看護師としての役割を話す宿南師長。

宿南師長によりますと「視神経脊髄炎スペクトラム障害」の患者さんは以下のような再発の不安を常に抱えておられるそうです。
「発症や再発の際につらい症状が次々に出てとても心配だった」
「入院したことで子育てに支障が出た」
「仕事を休んで会社に迷惑をかけた」
「退院した後も、元の生活に戻るのに時間がかかった」

宿南師長 「働き盛りや子育てが多い世代だからこそ、の悩みがあります。見た目には病気だと分かりにくいこともあるので、体調が優れず勤務中に休憩を取っていると、さぼっていると思われてしまうために、任されている業務を無理に行ってしまうという患者さんも多くおられます。また、周囲の人や家族にも分かりにくい症状が続くのもこの病気の特徴なので、ご家族の理解や協力が得られずに不安を抱えてしまっているというお話も伺っています」

<患者さんたちのご家族の抱える不安に対して>

「視神経脊髄炎スペクトラム障害」は突然襲ってきます。患者さんのご家族も不安を感じ、どのように対処すればよいのか悩まれます。

宿南師長 「患者さんのご家族からは、病気の不安に寄りそう大変さについてのご相談をよく受けます。家族関係は奥が深い問題ですので、なかなかすぐに答えは見つかりませんが、患者さんだけでなくご家族にも目を向けながら関わっていくことが私たち看護師の大事な役割だと思っています」

<患者さんが充実した満足感のある生活を送るために>

患者さんが少しでも高いQOL(生活の質)を実現し、充実した満足感のある生活をおくるためには、看護師として何ができるのでしようか。

宿南師長 「(視神経脊髄炎スペクトラム障害の)治療は長く続きます。そのために長期にわたる通院が必要です。病気の不安や症状はもちろんですが、(患者さんとは)お子さんの成長を一緒になって喜んだり、家庭菜園で採れた野菜の話をしたり、家族旅行の話を伺ったりもします。患者さんの生活の中心が病気になってしまわないように配慮しながら、視神経脊髄スペクトラム障害の患者さんの想いを受け止めていくこと、それが患者さんの『生活の質(QOL)』を上げることにも繋がっていくと思います」

<患者さんの伴走者として>

宿南師長 「視神経脊髄炎スペクトラム障害は、症状が安定してからの(病気との)付き合い方が大切です。(患者さんが)困ったときには、主治医の先生だけでなく、私たち看護師や病院のスタッフがそばにいることを忘れないでほしいですね。私たちは『一緒に喜び、一緒に泣き、一緒に歳を重ねる』 患者さんの伴走者でありたいと願っています」

次回は、視神経脊髄炎スペクトラム障害の「患者さんが書か会える悩みと今後の治療の見通し」などについて、医師の立場から「医療法人セレス さっぽろ神経内科病院」の理事長の深澤俊行先生に、お話を伺います。

取材協力:
医療法人セレス さっぽろ神経内科病院
札幌市東区北21条東21丁目2-1
TEL 011-780-5700
http://www.ceres21.jp/