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2022年11月23日 0時00分

著者名:HTB医pedia編集部

国井&谷口の教えて肥満症のコト! 1時間目

  

<今回のテーマ>

この動画は「肥満症」への理解を深めるために、今回から2回にわたって「肥満症」についてクイズ形式で解説していきます。第1回目となる今回は、「肥満症」の定義、「肥満」と「肥満症」の違いなどについて解説します。

<日本で「肥満」と定義されるのはBMI(注1)いくつから?>

BMIが25以上の人は「肥満」と定義されます。例えば、身長160㎝の方で、64㎏以上あると、64㎏ ÷ [1.6m × 1.6m]=BMI 25となるので、「肥満」に該当します。また、BMI 25以上であることに加えて、「内臓脂肪の蓄積」や、「肥満に関連する健康障害」などが既に有る場合は、医学的に減量が必要な「肥満症」と診断されます。「肥満症」と診断される肥満に関連する11の健康障害(注2)には糖尿病や高血圧のほか、月経不順や睡眠時無呼吸症候群など、いくつかの健康障害は健康診断で知ることができますので、健康診断を定期的に受けるようにしましょう。

注1)
BMI=体重 (kg) ÷[身長 (m) × 身長 (m)]

注2)
日本肥満学会編:肥満症診療ガイドライン2016より「肥満に関連する健康障害」
①耐糖能障害(2型糖尿病・耐糖能異常など)
②脂質異常症
③高血圧
④高尿酸血症、痛風
⑤冠動脈疾患(心筋梗塞・狭心症)
⑥脳梗塞、脳血栓症、一過性脳虚血発作(TIA)
⑦脂肪肝(非アルコール性脂肪性肝疾患、NAFLD)
⑧月経異常、不妊
⑨睡眠時無呼吸症候群(SAS)
⑩運動器疾患:変形性関節症(膝、股関節)、変形性脊椎症、手指の変形性関節症
⑪肥満関連腎臓病

<BMI 25以上の人で「肥満」と「肥満症」が違うことを知っている人はどれぐらい?>

ノボ ノルディスク ファーマ株式会社が実施した、全国のBMI 25以上の男女9,400人への調査によれば、「肥満」と「肥満症」が違うことを知っている人は29.2%でした。BMI 25以上の方は「肥満」に該当しますが、上述の内臓脂肪蓄積や肥満に関連する健康障害が無い方は「肥満症」には該当しません。しかし、「肥満症」に該当しない「肥満」の方でも、治療を受ける必要は無いものの、これ以上体重を増やさず、体重計に乗る習慣を心掛けるようにしましょう。

<太りやすくなった原因は何時代?>

人間が太りやすくなった原因は、石器時代まで遡ります(注3)。石器時代は食糧の供給が不安定だったため、食べ物が有るうちに多くのエネルギーを脂肪として体に蓄積できる人の方が生き延びやすかったためです。現在は食糧が豊富であることから、現在の環境とのミスマッチが肥満の原因のひとつといえます。
注3)
Qi L & Cho YA. Gene-environment interaction and obesity. Nutr. Rev. 2008; 66(12):684-694.

次回は、「肥満」と遺伝子との関係や、「肥満」の方が抱える悩みや偏見などについて解説します。
肥満症についてさらにもっと詳しく知りたい方は【肥満症を知る】で検索してみましょう。

肥満症を知るサイト:https://www.truthaboutweight.global/jp/ja.html

制作協力:ノボ ノルディスク ファーマ株式会社
医師監修:学校法人香川栄養学園 女子栄養大学特任教授 津下一代