水曜天幕團本陣へ

 時代は戦国。乱世であった。隙あらば他国の領土かすめ取ろうと、人間たちが、あたかも飢えた虎狼のように牙を剥いている時代であった。そのような時代に主人公・蟹頭十郎太(大泉洋)は、下総は鷲頭国の領主、半角斎の嫡男として生まれた。その頃は、名前も鷲頭十郎太と名乗っていた。鷲頭は小国ながら豊かな国であったが、隣接する強国、斎藤家の脅威に常にさらされていた。領国の行く末を案じた半角斎は斎藤家の次男を幼い綾姫の婿に迎え姻戚関係を結ぼうとした。しかし、そのことが鷲頭家を滅亡へと追いやるのだった。運命の日。鷲頭は入り婿行列に扮した斎藤家武士団のだまし討ちに遭い、あっという間に城下は蹂躙され、殺戮の修羅場と化したのだった。業火の中、十郎太は年端のいかない妹、綾姫の手を握って追っ手から必死に逃れる。しかし混乱の最中、綾姫は十郎太とはぐれ生死もわからないままとなってしまうのだった。

惨劇から13年の月日が経った。十郎太は姓を蟹頭、名を小十郎と変えて、放浪の旅を続ける浪人となっていた。帰る国を失い、家族や家臣を失い孤独にさいなまれる十郎太を支えていたのは、悲劇の前夜、父・半角斎が言った言葉だった。 「十郎太。この世は戦国じゃ。力に勝る者に弱者が蹂躙される。是非もないことじゃ。だが、お前が腰に差している刀は人を斬るためにあるのではない。愛するものを守るためにこそ剣は活かされる。 もし万一のことがあっても、決して恨むまいぞ。復讐は、殺戮を呼ぶだけじゃ。乱世こそ人の世。人として人間らしく生き抜いてくれ。生きろ!この戦乱の世を、人として生きてみろ!

 十郎太は今や父の形見となった銘刀・備前長船を封印し、刀を抜けない侍となっていたのだった。十郎太は自分に問い続ける。「この戦乱の世で人として生きるとはどういうことなのか……」と。

 ある日、十郎太が、たどり着いた神州という国では、世継ぎである桜姫(三輪ひとみ)の婿取りの儀が行われようとしていた。 十郎太は、ふとした事件をきっかけに知り合った一国一城の主にならんと侍としての大志を燃やす安藤源八(音尾琢真)と共に、神州家の婿取りに立候補することになる。 だが、繁栄を極めていたかに見えた神州家の内部には、家臣の佐伯重定(佐藤重幸)沼部黒龍丸(安田顕)当主・無ニ斎(森崎博之)と その後妻・築山らを巻き込んだどす黒い陰謀の火種がくすぶっていたのだった。 それは人の心の闇につけ入ろうとするまがまがしい物の怪の仕業であった。命を狙われる神州家の当主、無ニ斎と不吉な予言に翻弄される運命の姫、桜姫。物の怪との闘い、十郎太は自らの生き様に答えを出すことができるのだろうか!?  スケール豊かに描くサムライ・エンターテインメントの幕が今開かれる!

1532年(天文元年) 鷲頭十郎太、半角斎の嫡男として下総・鷲頭で生まれる
1534年(天文三年) 織田信長、信秀の嫡男として尾張で生まれる
1541年(天文十年) 綾姫、半角斎の長女として生まれる
1542年(天文十一年) 徳川家康、松平広忠の嫡男として生まれる
1544年(天文十三年) 綾姫と隣国・斎藤鬼丸の次男、鬼虎との婚儀まとまる
斎藤親子の計略にかかり鷲頭国は滅亡する
十郎太と綾姫の兄妹は安藤弥七に命を救われるが、
綾姫は人攫いに遭い十郎太と離れ離れに
十郎太の放浪始まる
1547年(天文十六年) 神州無ニ斎の奥方が逝去
1549年(天文十八年) 無ニ斎、築山を後妻に迎える
信長、美濃・斎藤道三の娘濃姫と結婚
家康、今川の人質として駿府へ
1551年(天文二十年) 信長が織田の家督を相続。秀吉、故郷を出奔する
1557年(弘治三年) 蟹頭小十郎と名を変え、諸国放浪の末、神州国にたどり着く
桜姫の婿取りの儀が開かれる
1560年(永禄三年) 桶狭間の戦い。信長、天下盗りの第一歩をしるす

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