 |
12月10日(金) 中添眞(報道デスク)
きょう10日、北海道新幹線が動き出します。政府、与党の合意がなされることで着工が決まります。青森から新函館までの建設費がおよそ5000億円。青函トンネルが既に新幹線を見越して設計されているため、同時に着工が決まる見込みの、北陸、長崎の両新幹線より一歩先を行っていると言えます。それでも計画では開通まで、10年以上かかることになっています。その時には、鉄道を取り巻く環境も変わっていることと思います。時代に遅れた乗り物になっているかもしれませんし、環境に配慮した乗り物として、飛行機に代わって脚光を浴びているかもしれません。
新幹線の開通と共に、それまで地域の足を担っていた鉄道は、隅に追いやられます。先月、出張で長野県へ行ってきました。長野新幹線の開通で、併走する信越線は、JRから分離され、ほとんどの区間を、第三セクターのしなの鉄道となりました。赤字鉄道のしなの鉄道は、長野市周辺を外れるとお客はまばらです。長野県は、スカイマークエアラインズの社長だった人物を引き抜き、しなの鉄道のトップに据えました。アイディアを尽くして、厳しい運営を乗り切ろうというわけです。
信越線がしなの鉄道に替わったと共に駅弁としての「峠の釜飯」は消えました。軽井沢と横川の間の碓氷峠は、急勾配で、鉄道の難所でした。そこで出される駅弁「峠の釜飯」は、全国に知れ渡った有名駅弁でした。しかし新幹線と共に、碓氷峠の鉄路は廃止され、信越線は分断鉄路になってしまったのです。貨物は鉄路からトラックへ移りました。
新幹線の開業で、長野は東京の買物圏、通勤圏になりました。北海道新幹線の開通で、函館は、札幌より仙台の方が時間距離は短くなるでしょう。新幹線は「夢」も運んできますが、「現実」も運んできます。 |