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12月27日(月) 中添眞(報道デスク)
04年も暮れようとしているところで、思いもかけない大災害です。スマトラ島の沖で、地震国の日本でもおきた事のないM9.0の大規模地震。ショッキングな映像が、次々と送られてきました。大きな被害をもたらした津波の最初の映像は、アマチュアが撮影した家庭用のビデオで撮られたものがほとんどです。いずれも必死の覚悟でテープを回したものばかりで、画像のきれいなプロが撮った映像よりも、災害の恐ろしさを伝えてくれています。しかもその画像は、あれだけの災害を受けた場所から、24時間と経たずに世界を駆け巡っています。映像をどうやって世界に伝えるか。いまは衛星電話が繋がれば、これを経由して確実に送ることが出来ます。一人で行って、一人で撮影し、一人で映像を送ることが出来るのです。
私が特派員として、ロシアに赴任していたときは、特に地方への取材に出かけた際は、映像の伝送は大きな問題でした。通常は、撮影したものはモスクワやウラジオストクなど、しかるべき所へ持ち帰って日本へ伝送です。速報性が求められるものは、取材そのものより、どのように日本に伝えるか、ルートの確保が最も重要でした。取材先の地方のテレビ局がどこにあって、どのようにして大きな都市のテレビ局に伝送するか、その先、日本への衛星伝送は、どのルートを使うのが最も早いか、しかも確実か、いずれも大問題でした。しかも映像は自らが撮るもので、ビデオカメラを持っていて偶然撮影した人がいるなど、考えられませんでした。
誰もが持つようになったビデオで、誰もが目撃者です。しかも衛星電話と言う強い飛び道具まで備わりました。テレビは速報性をいかんなく発揮出来るようになりました。しかし被害を防ぐための情報伝達、救助など、一刻を争うものは、今だテレビほどの素早さを身に付けてはいません。スマトラ大地震は、まだ被害の全容すら見えていません。被害が広がらないことを願わずにはいられません。 |