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8月29日(月) 山田佳晴(報道デスク)
「食べ放題」は人柄が出る。レストランやホテルなどの食べ放題で、ひとをさりげなくウォッチング(しげしげ見るのは失礼ですから)するのは興味深い。さまざまなおかずを大量に皿に盛り付け、戻ってくるひとを見ると「おいおい、そんなに食べられるのかい?」とつい心の中でつっこんでしまう。余計なお世話だけれど。
大量に盛りつけられたおかずは、視覚的な満足感につながる。これはまずい。視覚的な満足が胃袋の満足を誘発する恐れが出てくるのだ。開始早々、満足している場合ではないのだと思ってしまう。
食べ放題はホテルなどではビュッフェとも言う。ビュッフェは通常、時計回りで食べ物をとることがマナーとされている。しかし、そんなことは気にしないと、流れに逆流するサケのようなひとも大勢いる。そういうひとが焼きザケなんかを取っているとなんだかオカシイ。
昔、仕事で疲れてくると、なぜかイッセー尾形さんのビデオを借りて見ていた。同じものを何度も借りたものだが、今から思うにイッセーさんのひとり芝居で笑うことが精神的な癒しにつながっていたのだろう。
中でも好きだったのが、「幸せ家族」という芝居。サラリーマンのお父さんが休みを取り、家族で旅館に泊まりに行くという設定なのだが、夕食でお父さんが息子に「刺身や茶碗蒸しのような『ツルツルしたもの』から食べなさい。さきに『かさばるもの』から食べるとすぐおなかがいっぱいになって、あまり食べられなくなるでしょ」という趣旨のことを言う。名言である。
先日、ホテルでビュッフェを堪能する機会があったのだが、ビュッフェというシチュエーションでわたしはいつもこの「お父さん」の言葉を思い出す。だから、最初から炭水化物を中心に大量にテーブルに運ぶひとたちを見ると、つい「おいおい」とつっこんでしまう。それにしても、この日、最初に焼きそばを選ぶひとが少なくなかったのは何故なのか。最初から油の多い焼きそばに手を出すのは得策ではないのだが。
「食べ放題」は人柄が出ると書いたが、自分のおせっかいな性格が露呈してしまった。 |