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9月26日(月) 山田佳晴(報道デスク)
娘の下の前歯がぐらぐらになってきた。5歳だからちょっと早いけれど、乳歯から永久歯に生え変わるのだろうか。自分がどんな「歯の生え変わり」を体験したのか、ほとんど覚えていないのだが、歯について考えるとき(そんなに深く考えているわけではないですけど)、昔一緒に仕事をしたロシア人女性の言葉を思い出す。
「日本人はぜんぜん歯並びが悪くてだめよねえ。最近少しは良くなってきたかしら」。そのロシア人の取材コーディネーターは、わたしに言った。
たしかに日本人は歯に対する意識が低かった。そのことはよくわかっている。だから、わたしも反論はしたものの、カノジョの勝ち誇った態度を崩すことはできなかった。
欧州やアメリカでは、歯の矯正が当たり前のように行われている。現在封切られている映画「チャーリーとチョコレート工場」に、顔全体を覆うおそろしいカタチの歯列矯正器が出てくる。いかにもアメリカ人らしい発想だ。ロシアも前述の女性のように、歯にはそうとうな自信をもっているようだ。
一方、中央アジアの国の中には、今でも「金歯がクール」と思うひとたちが多い。若く美しい女性がニコッと笑ったとたんに前歯がキラリということがよくある。わざわざ金歯にしているらしい。歯がその国の文化をあらわすこともあるのだ。
昔は「ガムは歯に悪い」と言われていた。ところが今、娘の幼稚園ではみんなでキシリトールのガムを噛んでいるらしい。一般に、歯の矯正を行う子供も増え始めている。日本でも意識は変化してきているようだ。
大の大人が今さらボヤいてもしょうがない。しょうがないとは思うものの、うちの親ももう少し子供の歯のことを考えてくれたら、わたしも歯医者で全身を硬直させた回数がぐんと減っていたかもしれないと思うのだ。
日本人の意識が、もっと早くに変わっていたら。たとえばフレッド・ブラッシーが力道山に噛み付いたときにでも・・・。(今回もプロレスがらみの「オチ」で恐縮です) |