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10月10日(月) 山田佳晴(報道デスク)
先日、映画を見に行った。同じ列に外国人の男性二人連れが座っていた。アクセントからいって米国人かカナダ人だろうか。映画の本編が始まる直前、2人は大笑いしていた。
2人を爆笑させたのは、公共広告だった。日本語の公共広告の下に、「エブリバディ・イズ・バザード・バイ・ユア・ビヘイビア」と英語の訳文がある。直訳すると「みんながあなたのふるまいで迷惑している」となる。
日本特有のこうした「注意書き」を大声で嘲笑する彼らの品行こそ、わたしゃ迷惑だよ、と言いたかった。国にはそれぞれ文化というものがあるのだよ、と。
でも、彼らの立場で考えてみると、やはり唐突にスクリーンにあらわれる脅し文句のような表現に、「まあ、無理もないか」と思い直してしまった。
異国の地で突然、「あなたのふるまいに…」って言われてもなあ。
思えばこうした直球勝負の公共広告がなんと映画館で多いことか。中でも、映画の海賊版を禁止するキャンペーンは見ていてつらい。少女が涙を流しながら、「映画が泣いている」って…。個人的には、今では映画が始まる前の「拷問」になっている。
「直球」広告の正反対をいくのがイギリスだ。日本と同様、映画の本編の前に「携帯電話の使用禁止」を訴えるのだけれど、文字は出てこない。
画面は、映画「ジョーズ」の一場面。 ロバート・ショー扮する船長が船のうえでキョロキョロするシーンが5秒ほど「利用」されている。背後には「タララ〜ラ、タララ〜ララー」という代表的なケータイの着信音。ただそれだけ。
これから映画を楽しもうというときだ。公共広告はもっとセンスがあってもバチはあたらない。
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