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12月5日(月) 山田佳晴(報道デスク)
ピーク時にはそれぞれ80%台後半(CNN調べ)と70%台(MORI調べ)。
現在はそろって30%台である。
前者がブッシュ米大統領の、後者がブレア英首相の支持率。2人そろってレイムダック(政治的に"死に体")に近い。
ブッシュ政権はハリケーン「カトリーナ」への対応の不手際や側近のスキャンダル、ブレア政権も側近のスキャンダルなどがそれぞれ原因となっている。
しかし、支持率低下の大きな理由は、やはりイラク戦争であろう。開戦に向けて手を取り合って前のめりになっていたこの2人。いま「イラク戦争は間違いだった」という両国民の気持ちが2人の支持率を下げている。
イラク戦争の大義は何だったのか。
大量破壊兵器だったはずだ。ウェポンズ・オブ・マス・デストラクション。2人の演説でこの言葉を何度聞いたかわからない。
イラクの大量破壊兵器がテロの脅威になっていると、アメリカを中心とする「連合軍」が首都バグダッドを空爆し、イラク戦争が始まった。フセイン大統領(当時)に一方的に宣戦布告をして3日後、2003年3月20日のことである。
その大量破壊兵器がなかった、と米英の政府が認めたのは1年以上も前のことだが、現在までに2万7000人から3万人ものイラク国民が犠牲になっている。アメリカ兵の死者は2100人、「連合軍」全体では2300人を超えた。兵士のほとんどはブッシュ大統領の「戦闘終結宣言」のあとに亡くなっている。
一方で小泉総理である。イラク戦争を支持した日本のリーダーだ。
小泉総理の支持率は、去年の今頃は30%台の「低空飛行」だったが(朝日新聞調べ)、この9月の総選挙で6割近くにまで上げている。「郵政民営化」を叫び続けての結果だ。
このひとだけはブッシュ、ブレア両首脳とちがい、イラク戦争の意味も、自身の決断の責任も問われないでいる。
そのうえ自衛隊のイラク派遣は、今月8日にも派遣期間の延長が閣議決定される見通しだ。12月8日は太平洋戦争が始まった日でもある。重大な決断が、アメリカ追従という「大義」のもとであっさり決まろうとしている。
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