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12月12日(月) 山田佳晴(報道デスク)
毎日新聞に「記者の目」というコラムがある。記者の顔写真つきだ。どんな記者がこの原稿を書いているのか一目瞭然。伝える側の責任もより明確になり、読者の安心にもつながる。
欧米の新聞メディアでは当たり前の「顔写真つき署名記事」だが、日本ではまだ定着していない。毎日新聞の取り組みの意義は大きい。
先日、このコラムで、地球温暖化の原因が人為的かどうかは不明だとした記者がいた。数日後、別の記者が「論点がずれている」と反論。問われているのは科学の学説ではなく温暖化への対策だというのだ。
おなじ新聞社の記者が紙面で自説をたたかわせる。メディアとしてなかなかできることではない。
さて、新聞についてである。
新聞は大きな曲がり角に立たされている。
インターネットでニュースを確認すれば、新聞をとらなくても不便を感じない時代になったからだ。
アメリカでは、去年の総発行部数が5500万部。ピーク時だった約20年前から800万部も部数を落としている(読売新聞調べ)。「読者がいまのペースで減っていけば、2043年に新聞はなくなる」という見方も出てきた。
イギリスではこの2年間で、ブロードシート(高級紙)と呼ばれる大判の新聞紙のほとんどが、タブロイド紙の大きさに変えられた。およそ半分の大きさだ。持ちやすいというのが理由だ。
さらに週末にはDVDがオマケでついてくるという。ちょっと前まで、新聞には音楽のCDがついていたのだが、いまでは映画のDVDだ。新聞そのものよりもコストがかかるのではないだろうか。
「高級紙のタブロイド化」も「オマケのDVD」も、販売部数アップのためだ。活字ジャーナリズム発祥の地がどうなっちゃっているの?というカンジである。
日本はどうだろう。読売新聞の販売部数は1000万部を超えた。間違いなく世界でいちばん売れている新聞であろう。朝日新聞は826万部で、イギリスの高級紙をすべてあわせても足元にも及ばない数字である。
日本は宅配制度ということもあり、まだインターネットの影響は大きく出ていないのかもしれない。と思いながら、けさ朝刊が届くのを待っていたら、いつまで経っても来ない。きょうは「休刊日」だった。
先進国では見られない「各社横並びの休刊日」。日本で新聞が末永く発展するためにもなんとかならないだろうか。
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