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3月27日(月) 山田佳晴(報道デスク)
先日、札幌市内のリサイクルショップを取材したときのこと。店主の男性が、中古の洗濯機に高電圧をかけて検査する。異常なし。すると店主はチョキチョキチョキとハサミで何かを切り始めるではないか。
「なんですか、それ?」
「PSEのマーク」
「なんで切るんですか?」
「いやあ、ちょっとはみ出してるから。スミのほうが」
「でもPSEのマークですよね。自分で切っていいんですか?」
「いいのよ。息子にパソコンで作ってもらっちゃった、1時間くらいで」
法律で定める「認証」が、手作りでもいいのだろうか。経済産業局に確認すると、「いい」という。パソコンを使わず、手書きでもいいのだろうか。経済産業局は、「いい」という。「PSE」と書いていれば。
中古の電気製品に、このPSEのマークが必要になる。安全面での「自己責任」を民間にまかせるためのもので、法律の名は「電気用品安全法」。2001年に施行され、この3月で「猶予期間」が終わる予定だった。
マークがないと中古家電の販売ができなくなる。販売するには、上記のような検査が必要だ。検査の費用は、2000円前後から3000円台が主流だ。
しかし、何と言ってもこれは「ざる法」だ。
マークは手作りでOKなわけだから、「検査なんかしないで、適当にマークをつけるヤツも出てくるよ」という声も業界にはあった。チェック体制はないからだ。不法投棄が増える心配もあった。そして、何より大量の中古家電を抱えるリサイクルショップの経営が成り立たなくなる。廃業する店が出てくるのは間違いないという人もいた。
問題がクローズアップされるようになったのは今年に入ってから。(5年間も経済産業省は何をしていたの?)。リサイクルの業界に加え、中古の楽器も対象になるためミュージシャンらも大反発した。「リサイクル社会」という世の中の動きに、官僚たちが今さらながら気づいたという側面もあった。
その結果、経済産業省は4月以降も「当分の間」中古家電の販売を容認した。「当分の間」がどのくらいかは未定だが、要するに官僚が言うところの「当分の間」だ。
あいかわらず実際の社会の営みを知らない官僚だ、いい加減「官僚主導」にサヨナラしないと日本はダメだ、官僚に負けない資質のある政治家を選ばないとダメだ、とこの稿を結ぼうとしたら、きょうもTVに映るのは偽メール問題の永田議員。週のはじめから脱力してしまった
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