2019年08月08日15時43分
札幌駅前 樽見おしりとおなかのクリニック ①痔について考える
<今回のテーマ>
今回の「医TV」は、「痔」について「札幌駅前 樽見おしりとおなかのクリニック」の院長 樽見研さんにお話を伺います。
<痔の主な分類>
「痔」は大きく分けて三つの症状があります。一つは、肛門のクッションの機能を果たす内痔核がうっ血することで肥大し脱出する病態「いぼ痔(内痔核)」。二つ目は、排便時のいきみや硬い便などによって肛門上皮の皮膚が裂ける病態「切れ痔(裂肛)」。三つめは、感染などによって肛門の周囲に腫瘍を作り組織に穴が開いた病態「あな痔(痔ろう)」となります。これらのうち、「いぼ痔(内痔核)」の方が、患者のおよそ半数を占めています。
<いぼ痔(内痔核)の主な原因>
「いぼ痔」になる主な原因は、便秘や下痢といった「便通異常」や、排便に時間がかかる、排便時にいきむ、といった「排便習慣」に加えて、長時間に渡って立ったり座ったり、重いものを持ち上げたりするような、お尻に負担のかかる仕事や、食生活の上で、野菜の摂取が少ないといった「生活習慣」によるものでも発症することがあります。
<いぼ痔(内痔核)の症状>
「いぼ痔」の初期の症状は、排便時に肛門から鮮明な赤色の出血があります。「いぼ痔」の症状が徐々に進行していきますと、内痔核が腫れて肛門から脱出し、肛門付近に痛みやかゆみ、粘液の漏出といった症状があらわれてきます。
<いぼ痔(内痔核)の診断と治療>
「いぼ痔」の診断は、発症部位が肛門という体の外側から確認出来る部位になりますので、まずは視診や触診を行った上で、直腸肛門鏡によって症状を精査します。
「いぼ痔」の治療は、症状が初期の段階であれば、薬物療法や「いぼ痔」を悪化させるような生活習慣の改善などで治すことができますが、薬物療法で治らないような進行期であれば、注射療法や結さつ切除術などの外科的治療によって治していきます。外科的治療のうち、「いぼ痔」」の進行の程度が低い場合には、注射療法によって血流を低下させ、痔核の縮小をめざしますが、注射療法のみでは根治出来ない場合には、脱出している痔核を切除する結さつ切除術という痔核手術も合わせて施し、根治させます。
<痔を重症化させないために>
「痔」はお尻という場所にあるためか、受診をためらう方々も多くおられると思いますが、早期に受診すれば、投薬によって早期に治る疾患です。肛門からの出血などの痔を疑う症状がみられたら、恥ずかしがらずに、肛門科の受診を早めに受けることが大切です。
取材協力
札幌駅前 樽見おしりとおなかのクリニック
札幌市中央区北4条西3丁目1 札幌駅前合同ビル9F
TEL 011-209-2241