北海道テレビ:HTB online 医TV

2022年11月02日 9時39分

著者名:HTB医pedia編集部

視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)とは②

  

<今回のテーマ>

非常の珍しい難病の一つである「視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)」について解説する4回シリーズの第2回目。第1回目の動画では「国立病院機構北海道医療センター 脳神経内科」の宮﨑雄生先生に、この病気が自分の細胞を間違って本人に攻撃してしまう「自己免疫疾患」の一つで、急な視力の低下や歩行困難、手足のしびれ・脱力感など、人によって症状がさまざまな難病であることを解説して頂きました。第2回目となる今回も、前回に引き続き、宮﨑先生に「視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)」について、その再発の怖さと再発をさせないための治療方法を解説して頂きます。

<再発をさせないための視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)の治療とは>

宮﨑先生「視神経脊髄炎スペクトラム障害の治療は基本的に3つに分かれます。病状が急に進行する時期の『急性期治療』、再発が起こらないように予防するための治療『再発予防治療』、また、後遺症が出た場合などには、『対症療法』といって症状を和らげたり、なくしたりする薬物治療の他にリハビリテーションなど、症状・時期によっても違ってきます」

怖いと言われている再発をするとどのようなことが起こりえるのでしょうか。

宮﨑先生「初めは目の違和感や足先の軽いしびれで発症しますが、1〜2週間の経過で急激に悪化し、視力をほとんど失ってしまう方や、両手足が完全に麻痺してしまう方がいらっしゃいます。早期に脳神経内科を受診し、治療を受けることでこれらの症状は回復することが多いのですが、治療が遅れると後遺症として、失明したり車椅子生活になったりすることがあります」

再発をさせないためにはどのような治療が必要なのでしょうか。

宮﨑先生「視神経脊髄炎スペクトラム障害は、多くの場合、生涯にわたって再発を予防する治療が必要です。具体的にはステロイドなどの内服や、最近承認された生物学的製剤を用いて再発を予防します。
患者さん個々の再発リスクや副作用の出やすさなどを考えて、生涯にわたって無理なく継続可能な治療法を患者さんと相談しながら選択していきます」

<治療している患者さんたちの苦労や悩みとは>

「視神経脊髄炎スペクトラム障害」の患者さんたちは生活面でどのようなことに、苦労や悩みを抱えているのでしようか。

宮﨑先生「生涯にわたって治療が必要な難病を患ってしまったことや、再発への不安から精神的に落ち込む方が多いです。また、視力障害やしびれなどの後遺症に加えて、治療薬の副作用で体重が増えてしまったり、糖尿病などの生活習慣病を発症したり、骨粗鬆症から骨折をしてしまったりと、様々な身体的不調に苦しんでいらっしゃる方が多いです。(しかし)最近治療法が進歩したことで、これら問題も解決可能な場合が多くなりましたので、苦しんでいらっしゃることを積極的に医療従事者に伝えてみてください」

宮﨑先生の解説で、「視神経脊髄炎スペクトラム障害」で重要なのは、再発しないような治療を続けることが大事だということがわかりました。

次回の動画からは2回にわたって、「視神経脊髄炎スペクトラム障害」の患者さんやその家族との闘病生活、そして治療をしながら普段の生活の質(QOL)を上げるためのアドバイスを「さっぽろ神経内科病院」の先生と看護師の方に、それぞれお話を伺います。

取材協力:
独立行政法人国立病院機構 北海道医療センター
札幌市西区山の手5条7丁目1番1号
011-611-8111
https://hokkaido-mc.hosp.go.jp/index.html