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2018年11月08日16時47分

著者名:HTB医pedia編集部

「医療のミカタ」本当は怖い骨粗しょう症

  

<今回のテーマ>
70歳以上の女性2人に1人が発症しているという骨粗しょう症。
放っておくと寝たきりになるリスクも高まるという骨粗しょう症の最新治療と予防法について「札幌医科大学医学部 整形外科 射場浩介准教授」にお話を伺いました。
あなたもいつのまにか骨折していませんか?


<骨粗しょう症とは...>
骨がすかすかになりちょっとしたことで骨が折れてしまう骨粗しょう症。
気がつかないうちに骨折しているケースも少なくなく、1280万人もの人が発症していると言われています。
背骨がボキッというよりクシュッとつぶれる感じで半分以上の方が痛みや自覚症状を感じないのです。
骨粗しょう症による骨折の疑いは、身長が2センチ以上縮んだ・背中や腰が曲がってきた・背中や腰に痛みがあることでわかります。


<寝たきりになる危険性と生命にも関わる影響について>
厚生労働省の調査では、認知症や脳卒中、衰弱に次いで骨折・転倒が介護の必要となった主な原因となっています。
一番気を付けないといけないのは大腿骨の近位部の骨折、放っておくと寝たきりになってしまうどころか全く動けなくなってしまうので生命にも関係してきます。
活動のレベルが下がってしまうことでいろいろな他の臓器にも影響し、生存率が明らかに下がることがわかっています。


<骨は生まれ変わり続けている>
骨は硬いので一度つくられるとずっと変化しないように見えますが、丈夫な骨を保つために3カ月に一度、古い骨が壊されては新しい骨が作られ、生涯にわたって生まれ変わり続けています。このバランスが崩れると新しい骨を作る作業が間に合わなくなり、骨がもろくなってしまう、これを骨粗しょう症と呼んでいます。


<どんな人がなりやすいのか>
閉経後の女性、エストロゲンという女性ホルモンをつくっている機能が落ちてしまうと、骨をつくる大事なホルモンなので、骨が急激に弱くなってしまうのです。


<骨粗しょう症の検査>
専用のX線を使って骨密度を測ることが出来ます。全身と股関節、腰椎、腕を測ります。
検査は10分~15分です。
骨密度が20代~40代の人と比べて70%を下回ると骨粗しょう症です。


<骨粗しょう症の治療法>
最近だと半年に1回、1年に1回注射すればいいという薬もあります。有効な薬の選択肢が増えてきています。
治療のヒントは宇宙にもありました。無重力では骨に負荷がかかりません。そのため宇宙飛行士は宇宙へ行くと骨粗しょう症患者のおよそ10倍の速さで骨が減少します。
運動は筋肉を使い、骨にも負荷がかかります。骨は負担がかかると負けないように強くなりますが、逆に負担がかからないと骨は薄くなります。
適度な運動も骨粗しょう症改善へ効果があることがわかっています。


<自宅で出来る予防法>
【運動】
片足立ち(1日3回左右1分間ずつ)
スクワッド(足を肩幅に開いて、膝がつま先より前に出ないようにおしりを引いて、深呼吸をするペースで1日3回1セット5、6回)
※つかまるものがある場所で行ってください


【食事】
牛乳(カルシウム)・魚(ビタミンD)・納豆(ビタミンK)
※ビタミンDは日光に当たると体内でもつくられるので、日光浴も大事になります