北海道テレビ:HTB online 医TV

2020年04月01日16時24分

著者名:HTB医pedia編集部

正しく理解しよう「C型肝炎」~注目される飲み薬による治療~

  

<今回のテーマ>

今回の「医TV」は、飲み薬による「C型肝炎」の治療について、帯広厚生病院検診センター/センター長の新智文さんにお話を伺います。

<肝臓の働き>

肝臓には大きく三つの働きが有り、①栄養素を分解、合成する「代謝機能」、②代謝で生じた毒素の「解毒機能」、そして③消化に必要な「胆汁の合成・分泌機能」という、生命にとっては無くてはならない臓器です。

<肝炎とは>

「肝炎」は、肝臓の中で8割を占める「肝細胞」が壊れていく状態で、日本人の肝炎の多くが「ウィルス性肝炎」といわれています。現在、「ウイルス性肝炎」には「A型」、「B型」、「C型」、「D型」、「E型」と五つのタイプがあることが分かっていますが、中でも1989年に初めて発見された「C型肝炎ウイルス」による肝炎が、慢性肝炎の原因の7割を占めています。

<C型肝炎の感染の原因>

肝臓は"沈黙の臓器"と昔から言われていますが、「C型肝炎」も進行段階ではほとんどの場合、自覚症状はありません。「C型肝炎」の感染は、輸血や血液製剤の投与によるものに加えて、最近では消毒していない針による入れ墨や針治療、性的接触など、血液と体液を介したものも主な原因とされています。そこで、過去に輸血や血液製剤の投与を受けたことが無くても、健康診断で一度でも肝障害を指摘された方や、近親者に「C型肝炎」の陽性者がおられる方は、「C型肝炎」の疑いがありますので、病院で「C型肝炎」の検査を受けることをお勧めします。

<C型肝炎の検査>

「C型肝炎」の検査は、血液検査によって、「C型肝炎ウイルス」の感染によって生成された抗体を確認し、その検査結果で抗体が「陽性」と判定された場合、血液中に「C型肝炎ウイルス」が存在するかどうか、「PCR」と呼ばれる、更に高感度な検査を行います。

<C型肝炎の治療>

「C型肝炎」の治療について、以前はインターフェロンという「C型肝炎ウイルス」に対抗する物質を注射する治療が一般的でしたが、最近では、「C型肝炎ウイルス」の遺伝子に直接作用して、ウイルスの増殖を抑制し排除する飲み薬(DAA 直接作用型抗ウイルス剤)を服用するだけの治療が行われるようになりました。この飲み薬による治療は、患者さんが8~12週間服用することで、95~99%の方々が副作用も無く、「C型肝炎ウイルス」を駆除できますので、「C型肝炎」検査の上、陽性と判定されれば、治療を受けてください。
※「C型肝炎」に対する飲み薬は、飲み忘れが続くと、血液中の薬の濃度が低下し、「C型肝炎ウイルス」が再び増殖する危険性がありますので、医師の指導を守り、正しく服用してください。また、「C型肝炎」に対する飲み薬による治療は日本消化器病学会認定消化器病専門医にご相談ください。

「C型肝炎ウイルス」に対する飲み薬による治療は公費助成の対象となりますので、お住いの地域を管轄する「保健所」や「自治体保険担当部門」にお問い合わせください。

取材協力:
帯広厚生病院
帯広市西14条南10丁目1番地
TEL:0155-65-0101
https://www.dou-kouseiren.com/byouin/obihiro/

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