北海道テレビ:HTB online 医TV

2019年12月17日13時18分

著者名:HTB医pedia編集部

食生活などが関係する病気①脂肪肝

  

<今回のテーマ>

「医TV」は今回より3回にわたって、食生活などが関係する病気について紹介していきます。第1回は「脂肪肝」の原因と予防について、国家公務員共済組合連合会 斗南病院 消化器内科医長の庵原秀之さんにお話を伺います。

<脂肪肝の原因と進行のプロセス>

肝臓は主に、①食べ物などから吸収した栄養素を分解・再合成する代謝、②お酒などに含まれる有害物質の解毒・分解、③脂肪の消化吸収を助ける胆汁の合成・分泌を促すはたらきがあります。
肝臓の細胞に中性脂肪が多く蓄積された状態を「脂肪肝」といいますが、「脂肪肝」の中でもお酒が原因となる「アルコール性脂肪肝」と、アルコールを摂取していなくても脂質の多い食事などが原因となる「非アルコール性脂肪肝」の二つがあります。「脂肪肝」は特徴的な自覚症状が無いため、以前は、それほど悪い経過を辿るものではないと考えられていましたが、現在では、「脂肪肝」から「脂肪性肝炎」、「肝硬変」、そして「肝臓がん」にまで至る病気という認識になっていますので、きちんとした検査が必要な病気となっています。

<脂肪肝の診断>

前述のとおり、「脂肪肝」は特徴的な自覚症状が無いので、自ら進んで健康診断や人間ドックを受けなければ発見することができません。「脂肪肝」などによる肝障害がある場合は、健康診断や人間ドックでの血液検査で、「GOT」、「GPT」、「γ-GTP」、「ALP」のいずれかの数値が上昇していることがあります。また、血液検査で異常が無くても、肥満や糖尿病、脂質異常などのリスク因子がある場合には腹部エコー検査で肝臓を精査することが必要となります。腹部エコー検査では、腎臓より肝臓が白い場合に「脂肪肝」と診断されます。

<脂肪肝の治療>

「脂肪肝」に対する治療薬はありません。従って、「アルコール性脂肪肝」であれば、お酒を飲むことを控えていただき、「非アルコール性脂肪肝」であれば、食事療法や運動療法で体重を減量させることを心がけてください。なお、「非アルコール性脂肪肝」の方が体重を約7%減量させれば、肝臓に蓄積した中性脂肪や炎症を抑えるといわれています。

取材協力:
国家公務員共済組合連合会 斗南病院
札幌市中央区北4条西7丁目3-8
011-231-2121
http://www.tonan.kkr.or.jp/

医TVの放送内容はこちら >>