北海道テレビ:HTB online 医TV

2022年01月18日15時07分

著者名:HTB医pedia編集部

正しく理解しよう「血液がん」① 白血病

  

<今回のテーマ>

今回から「医TV」は3回にわたって「血液がん」にスポットをあてます。「血液がん」とは血液細胞ががん化して起こる病気で「血液がん」のほとんどをしめるのが、「白血病」・「悪性リンパ腫」・「多発性骨髄腫」の三種で、三大血液がんとも呼ばれています。第1回目となる今回はそのうちの一つ、「白血病」について社会医療法人北楡会 札幌北楡病院 血液内科の診療部長 太田秀一医師に解説して頂きました。

<白血病とは>

血液は骨髄の中でつくられるのですが、「白血病」は、骨髄の中に有る造血幹細胞から血液がつくられる過程で、遺伝子に傷がついて白血病細胞が増えていくことによって発症する「血液がん」です。「白血病」は、進行が早い「急性白血病」と、進行が遅い「慢性白血病」の大きく2つに分類されますが、急性、慢性ともに共通して、それぞれタイプ別に急性または慢性のリンパ性白血病と骨髄性白血病があります。

<白血病の症状と診断>

「白血病」は骨髄の中で異常な白血病細胞が増えてしまうことで、正常な造血機能の低下をもたらし、白血球、赤血球、血小板のそれぞれが減少してしまいます。白血球が減少しますと感染症にかかりやすくなり、赤血球が減少すれば、貧血や倦怠感をもたらし、血小板の減少は血が止まりにくくなるといった症状が起こり得ます。そこで「白血病」の診断では、骨髄検査で白血病細胞の特定を行い、その数を確認するとともに、遺伝子検査によって変異遺伝子や染色体変異の特定を行い、治療薬の検討に入ります。

<白血病の治療>

「急性白血病」の場合、生命にかかわることになりますので、診断後、即時に薬物療法を開始し、白血病細胞を限りなくゼロに近づけていく治療を行います。また、「白血病」の診断での遺伝子検査で特定の遺伝子に異常がある場合、分子標的治療薬によってほぼ治癒するケースもありますが、分子標的薬の目標となる遺伝子変異が無い場合は、抗がん剤や放射線治療を組み合わせて、白血病細胞を限りなくゼロにしたところで、白血球の型(HLA)が合致(半合致)したドナーから造血幹細胞移植(骨髄移植・臍帯血移植・末梢血移植)を行い、造血機能を回復させていく治療を検討します。

<白血病の早期発見>

「白血病」を早期に発見するためには、健康診断を受けることがなにより大切です。健康診断では血液検査が行われますので、血小板、ヘモグロビン、白血球や血小板の数値が著しく減少しているような場合、または血小板やヘモグロビンが減少すると貧血になりやすくなりますので、度々貧血になるような症状がある場合、早期に医療機関で診療を受けることが必要です。

次回の「正しく理解しよう血液がん」は、「悪性リンパ腫」について解説します。

取材協力:
社会医療法人北楡会 札幌北楡病院 血液内科 
札幌市白石区東札幌6条6丁目5-1
TEL:011-865-0111
https://www.hokuyu-aoth.org/