函館の小さなフレンチレストランでシェフとして働く次郎(水橋研二)は、幼稚園教諭をしている聡子(北川智子)との結婚を控えていた。ごく普通
の若いカップルだが、 たった一つ違っていたことがあった。それは次郎が11年前に別
れた父に結婚式の招待状を出したことだった。母の友子(永島暎子)は憤慨し、義父の吉岡(岩松了)はとまどうばかり。兄の一郎からも「誰も喜ばないことはやめとけ」と意見されるハメに。結婚して家族を持つまでになった自分を知って欲しいだけだと考えていた次郎は、意を決して同じ函館で仕立て屋を営む父(小林薫)に会いに行くが、父は「オレが出席するわけにはいかない」とにべもない。
次郎はあることを考え、婚約者の写真に託して自分の思いを伝える。それは結婚式に自分が着るモーニングを父に仕立てて欲しいというものだった。父は式に出席できない自分の身代わりのように次郎の服を仕立て始める。そこには店を畳んで函館を離れなければならないという次郎の知らない父の事情もあった。そんな折、友子が家出をしてしまい、事態は次郎の思惑を超えて広がっていくのだった・・・。 |
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