北海道テレビ:HTB online 医TV

2018年04月26日10時23分

著者名:HTB医pedia編集部

~かかりつけ医の光と影~

  

〈今回のテーマ〉

日本では現在、医療費を削減するために最初から 大きな病院(専門医)を受診するのではなく、身近な医療施設の利用を 勧めようとしています。最初から大きい病院へ受診すると、高度な医療設備を利用することとなり、医療費が高くつき、結果、国の財政を圧迫するからです。 一方、諸外国では、かかりつけ医の受診を義務化していることで問題が起きている例もあります。 今回は、かかりつけ医の光と影として、二つの側面から、取材を行いました。

〈地域密着型!身近なかかりつけ医〉

札幌市厚別区の住宅街に、夫婦で、地域住民に寄り添った診察を行うSAM CLINIC(サム クリニック)があります。 外科・麻酔科などを担当する清水研吾先生と、耳鼻科を中心に診る奥様の理恵先生。 サムクリニックでは、日頃から患者さんの幅広い相談に応じています。 住宅街にあるという特性から、"咳が止まらない""ちょっとかゆい"などといった、簡単な受診から、最近の健康に関する相談など、老若男女問わず、また診療時間に限らず、できる限り患者の要望に対応することを心がけているということです。

■清水先生

「(理想のかかりつけ医は)患者さんと一緒にフランクに話せる関係で、ずっと何十年も患者さんをよく知っているという関係が一番いい」 「住宅街にあって、我々はここに住んでいますから、どんな時間でも電話がかかってきたり ピンポン鳴らして、どうですか。と患者さんが来られることが多いです」

■定期的に検査に訪れる80代女性

「(いつも同じ先生に診てもらえるのが)いいですよ、もし先生がお答えできなかったら大きい病院に紹介してもらう」

■6歳男児の母親(40代)

「(大きい病院だと診療時間外は診てもらえないので)電話して、いれば診てもらえるのが、すごく助かる。」

<かかりつけ医制度による弊害も・・・>

一方で、かかりつ医制度を推進するイギリスでは弊害も発生しています。

【NHS=国民保険サービスとは】

イギリスにある無料の医療制度で、患者はどんな病気でも、まずは登録しているかかりつけ医を受診します。かかりつけ医は患者から症状などを聞き取り、必要があれば専門医を紹介するという仕組みです。救急の場合を除き、かかりつけ医の許可なく専門医を受診することは出来ません。この制度では、登録した一つの診療所しか受診できないため、イギリス国民は診察まで長時間待たされることが日常茶飯事です。

■女性市民

「とても気がかりな症状があってすぐ診てもらいたいときもできないのです」

■男性市民

「(受診まで)3日か4日かかるかな?無料の制度で患者が多いからね」


こうした背景には医療費が無料というイギリス特有の事情もあります。患者の自己負担が無く、すべて税金で運営されているため、医師の数や設備が最低限に抑えられていて、殺到する患者に対応できていないのです。
患者があふれ、診察までの待ち時間が伸びたことで、深刻な事態が生じています。
研究機関の調査によるとイギリス国内のガン患者のうち、毎年少なくとも2400人が、専門医の診察までに時間がかかりすぎたことで死亡した可能性があるということです。
イギリスでは医療費がすべて税金で賄われているからこそ、無駄を削減するための「かかりつけ医制度」が活用されていると言えます。しかし、効率化が重視される一方で制度の不備が多いのも実情のようです。

<今後はどうなる・・・?>

■札幌市医師会 松家治道 会長

「日本はフリーアクセス(どこでも受診ができる)だから、信頼関係が築けなければ、次の病院へ移ることが出来、そこから大きな病院の紹介も可能。 国は登録制にしたくて、そこに持っていく危険性があるので緩やかな制度でなくてはならない。かかりつけ医はあくまでも患者さんと医師の間にあるもので、制度として どうこうするものではない。(札幌市医師会としては)登録制でフリーアクセスを阻害する形にはしたくない」

診療科にとらわれず身近で気軽に相談できる存在が『かかりつけ医』です。
国としては自分でドクターを選べない、登録制のかかりつけ医制度を模索する動きがありますが、各地の医師会は患者がそれぞれ自分に合ったドクターを探せるよう、反対の立場をとっています。
今後の制度設計に注目が集まります。