北海道テレビ:HTB online 医TV

2019年10月02日16時05分

著者名:HTB医pedia編集部

食生活の欧米化により増加 「大腸がん」の早期発見

  

<今回のテーマ>

今回の「医TV」は、食生活の欧米化により増加している「大腸がん」の早期発見について、「独立行政法人国立病院機構 鹿児島医療センター」の消化器内科医師 前田拓郎さんにお話を伺います。

<増加する大腸がん>

国立がん研究センターがん対策情報センターによる2018年の部位別のがん罹患数予測(罹患数は毎年新たに「がん」と診断される患者数)では、男性、女性の罹患数を合計すると、「大腸がん」が最も多く、1975年と比較した場合、推計で約8.4倍の152,100人の罹患数となっています。「大腸がん」増加の主な原因は、肉食などを中心とした食生活の欧米化、肥満、ストレス、飲酒、喫煙などが挙げられています。

<大腸のはたらきと日本人に多い大腸がんとは>

大腸には小腸から送られてきた内容物から水分を吸収し、固形化した便として排泄するはたらきが有ります。日本人に多い「大腸がん」は、大腸のうち、直腸とS状結腸に発症するがんが多く、この二つの腸のがんが、「大腸がん」全体の約70%を占めています。

<大腸がんの発症メカニズム>

「大腸がん」は、大腸の粘膜にある細胞の遺伝子が変異して、良性の腺腫(ポリープ)から、がん細胞に変異していきますが、その過程は長い時間を経る為(人によって数年から10年程度)、定期的な健康診断を受けることで、早期に発見することが可能な「がん」です。

<大腸がんを早期に発見するためには>

早期の「大腸がん」において、その症状はほとんどありませんが、便に含まれる微量の血液(ヒトヘモグロビン)の有無を調べる「便潜血検査」によって、「大腸がん」を発見することが可能です。「便潜血検査」は大腸がん検診として市町村単位で行われていますが、北海道の大腸がん検診の受診率は、全国平均39.1%に対して、34.1%という低い結果となっています(2016年国民生活基礎調査)。また、大腸がん検査を受けて陽性と判断されれば「大腸内視鏡検査」が必要となりますが、北海道では、陽性と判断された方の中で実際に「大腸内視鏡検査」を受ける方は、全体の63.7%と少ない結果となっています。

<大腸内視鏡検査の負担軽減と診断精度を向上させるために>

「大腸内視鏡検査」について、肉体的・精神的に負担を感じられる方もおられますかと思われますが、今日の大腸内視鏡は、内視鏡自体の太さも細くなり、素材が柔らかくなったことでスムーズに動くようになりましたので、挿入時や挿入中の痛みが、以前より軽減されたものとなっています。また、診断の精度も、視野角が広くなり、画像の拡大・強調、超音波の導入も手伝い、良性、悪性の判定や、大腸壁への深達度まで精査できるようになっています。

「大腸がん」は早期に発見し、適切な治療を受ければ、治る「がん」です。
北海道では市町村ごとに大腸がん検診を行っていますので、検診を希望される方は、お住いの市町村役場(保険担当部課)までお問合せください。

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