北海道テレビ:HTB online 医TV

2019年11月01日14時45分

著者名:HTB医pedia編集部

~正しく理解しよう 腸内フローラとビフィズス菌~腸内環境を整える「大腸活」

  

<今回のテーマ>

今回の「医TV」は、腸内環境を整える「大腸活」について、帝京平成大学健康メディカル学部健康栄養学科教授、松井輝明さんにお話を伺います。

<腸の分類と働きとは>

「腸」は、「十二指腸」、「小腸」、「大腸」の三つに大きく分類されます。「十二指腸」は肝臓や胆のう、すい臓から分泌された消化液によって脂肪や糖質などを消化し、「小腸」は胃や十二指腸で消化されたものから栄養やミネラルを吸収し、「大腸」は小腸から送られた食物の残りかすから水分や電解質を吸収し便として排泄します。このうち、「大腸」は最近、腸内フローラと呼ばれる細菌叢(細菌の集まり)の検出によって身体的・精神的な健康の維持を行うのに欠かせない器官とまでいわれるようになっています。

<大腸内の細菌叢(腸内フローラ)とは>

大腸内にある細菌叢は、善玉菌:2、悪玉菌:1、(善玉でも悪玉でもない)日和見菌:7の割合で、細菌が花畑(フローラ)のようにきれいに並んでいます。健康な人であれば、善玉菌、悪玉菌、日和見菌がこの割合でバランスよく存在していますが、不健康な人ですと、腸内細菌自体の数や種類が減り、悪玉菌が増え、善玉菌が少なくなっています。

<大腸劣化の原因>

炭水化物の摂取を控える「炭水化物ダイエット」は、エネルギーとなる糖質を不足させ、脳の活動や身体活動の低下を招くだけではなく、善玉菌のエサとなる食物繊維も不足させることになりますので、悪玉菌が増加し、「大腸」の機能を劣化させます。また、過剰なたんぱく質、動物性脂肪の摂取も、悪玉菌のエサになってしまいますので、悪玉菌の増加を招き、「大腸」の機能を劣化させます。

<大腸劣化による主な疾患>

「大腸」の機能が劣化すると、大腸がんや炎症性腸疾患といった「消化器疾患」や、糖尿病や脂質異常症などの「生活習慣病」を招き、また、免疫が低下することで起こる「感染症」や、肌荒れやニキビ、湿疹などの「皮膚疾患」にかかることもあり、最近の研究によると認知症にも関与していることが報告されています。

<大腸内の細菌叢(腸内フローラ)をバランスよく維持するためには>

「大腸」内の細菌叢(腸内フローラ)をバランスよく維持するために、「大腸」の中には、悪玉菌を抑制し、抗炎症作用があり、太りにくい体質にさせることができる「短鎖脂肪酸」という物質があります。この「短鎖脂肪酸」は、大腸内の善玉菌である「ビフィズス菌」によって作られます。「ビフィズス菌」の摂取とともに、「ビフィズス菌」のエサとなる水溶性食物繊維やオリゴ糖も摂ることで「ビフィズス菌」をより増やし、「短鎖脂肪酸」も多く産生させることが出来ます。

<ビフィズス菌と乳酸菌のちがい>

一般的に「ビフィズス菌」と「乳酸菌」を同一に考える傾向がありますが、二つは全く違う菌です。「ビフィズス菌」は主に大腸内に生息し、短鎖脂肪酸と乳酸を作りますが、「乳酸菌」は主に小腸に生息し、乳酸のみを作ります。


<大腸がんの予防のためにも>

食生活の欧米化によって増加している「大腸がん」の予防にも、大腸内の細菌叢(腸内フローラ)を整えることが大切です。「ビフィズス菌」は年齢とともに減る傾向がありますので、「大腸」の機能強化、「大腸活」のためにも「ビフィズス菌」の入ったヨーグルトを選び、大腸で短鎖脂肪酸をより多く作りましょう。

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